冬時間のパリ
19/12/17(火)
オリヴィエ・アサイヤスの新作は、私小説作家の夫と政治家秘書の妻、作家の担当編集者である夫と女優の妻、冬のパリを舞台に4人が絡み合う。作家をヴァンサン・マケーニュ、女優をジュリエット・ビノシュが演じるのがゴージャスな味を出している。
不倫などフランス的なところも多いが、電子書籍の台頭に悩む編集者が浮気するのがデジタル担当の部下だったり、私小説作家が本屋のトークショーで観客に昔の彼女のことを書いたことを責められるシーンなど、ネットの普及により変わりゆく現代の様相を炙り出し、4人の関係に結び付けているのが巧い。絡み合う4人の言葉や身振り、その思考に身を任せる体験は、冬休みの贅沢な御馳走になるだろう。
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