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豊原江理佳・前山剛久らが手話を交えてパフォーマンス「ゆびさきと恋々」稽古

ナタリー

「A New Musical『ゆびさきと恋々』」出演者

「A New Musical『ゆびさきと恋々』」の稽古場取材会が、去る5月21日に東京都内で行われた。

「A New Musical『ゆびさきと恋々』」は、森下suuが「デザート」(講談社)で連載している少女マンガ「ゆびさきと恋々」の舞台化作品。作中では、生まれつき聴覚障害がある大学生・雪と、困っていた彼女を助けた大学の先輩・逸臣を中心とした物語が展開する。

今回の稽古場取材には雪役の豊原江理佳をはじめ、逸臣役の前山剛久らが出席した。取材ではまず出演者たちが、それぞれの登場人物の心情を歌い上げる劇中歌「わたしの手・あなたの手」を披露。キャストたちは手話を交え、観客に語りかけるように歌いながらハーモニーを作り出していく。雪役の豊原はセンターに立ち、耳が不自由な雪の“心の声”を力強いソロで表現した。

歌唱披露後には囲み取材が行われた。ろう者の雪を演じる豊原は「初めは、声を使ったコミュニケーションができないのは不自由なものなのかと思っていた」と稽古序盤を振り返りつつ、「手話の練習と稽古を重ねながら雪というキャラクターを知るうちに、全然そんなことはないとわかりました。耳が聞こえないことも1つの個性。この作品は個性と個性が惹かれ合う様子を描いた、温かい物語です」と思いを語る。

豊原は原作の感想を「本当にキュンキュンした」と言い、「実際演じてみるとキュンとしすぎて照れてしまうほどですが(笑)、“心の声”を歌で表現するところをぜひ劇場で観てほしい」と観客にメッセージを送る。また子供時代にミュージカル「アニー」でタイトルロールを演じた経験を持つ豊原は、同作が新型コロナウイルスの影響で中止になったことに触れながら、「キャストの子供たちは本当に悲しかったと思います。私たちは今こうして稽古ができていますが、コロナ禍で公演を行う意味を考えて舞台に臨めたら」と言葉に力を込めた。

前山は「実は、この作品を舞台化すると聞いたときは『映像のほうが良いのでは』と思った」と打ち明けつつ、「でもミュージカルは“心の声”を表現できるので、すごく意味があると思っています。この作品は、1人ひとりが素晴らしい個性を持っているということを伝えている。SDGsを実現する作品だと思って僕は取り組んでいますし、すべての人に届けたい舞台です」と思いを口にする。

また前山はコロナ禍における芸能や舞台芸術について、「僕は、医療は病気を治す仕事で、エンタテインメントは心を治してくれるものだと思っています。楽しいことがなければ生きていけません」とコメントし、「この舞台を観て『生きていて良かった』と感じてほしい」と呼びかける。さらに「本番では、逸臣と同じ(自分の)銀髪にも注目してください(笑)」と髪色をアピールし、会場の笑いを誘った。

演出の田中は「ろう者が主人公のミュージカルなので、もちろん難しいことはたくさんあります。当事者のことを完全に理解することは難しく、知ろう、わかろうとしながら想像することしかできません。しかしその想像力が最も大切なことだと考えているので、稽古場でみんなとコミュニケーションを取りながら毎日努力しています」と語る。

本作で手話指導を務める三浦剛は「ろう者の物語というと感動ものが多い印象ですが、この作品にはろう者と聴者の間の壁がありません。なんて前向きな作品なのだろうと思いました」と「ゆびさきと恋々」の印象を話し、「リアルなろう者の姿を、ミュージカルの中でリアルに見せようと日々稽古しています」と述べた。

公演は6月4日から13日まで東京・本多劇場にて。12日18:00開演回には、PIA LIVE STREAMでライブ配信も行われる。視聴料金は税込3500円。

「A New Musical『ゆびさきと恋々』」

2021年6月4日(金)~13日(日)
東京都 本多劇場

原作:森下suu「ゆびさきと恋々」(講談社「デザート」連載)
脚本:飯島早苗
演出:田中麻衣子
音楽:荻野清子
振付:前田清実
手話指導:三浦剛、忍足亜希子
ピアノ:森本夏生
チェロ:白神あき絵

出演:豊原江理佳、前山剛久、林愛夏、青野紗穂、池岡亮介、宮城紘大、上山竜治 / 渡辺菜花、金井菜々、大津夕陽

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