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日向坂46、宮田愛萌復帰果たした“春の大ユニット祭り” 多種多様なマッチングで見せたグループの魅力

リアルサウンド

21/3/29(月) 16:00

 太陽の匂いを吸い込んだようなキラキラしたステージ、その裏で色んな葛藤を胸に歩んできた2年間。そんな彼女たちの明るさと覚悟を感じる2時間30分だった。

――2019年3月某日。僕は雑誌の企画で丹生明里にインタビューを行った(※1)。「けやき坂46から日向坂46に改名すると聞いた時、どう思いましたか?」と尋ねると少し戸惑いの表情を浮かべながら、当時の心境を語ってくれた。「あの日、ダンスレッスンで私たち2期生は召集されました。そしたら急にビデオを観ることになって、そこで日向坂46に変わることを知ったんです。改名の瞬間はみんな泣いてました。あまりのショックに放心状態。すぐには現実を受け入れられなくて、VTRが終わってもみんな“えっ……?”みたいな異様な空気に包まれてました」。

 それから月日は経ち、2021年3月26日。日向坂46はデビュー2周年記念配信ライブ初日公演を行った。今回は2日間の公演となり、1日目は「春の大ユニット祭り“おひさまベスト・プレイリスト2021”」と題して、ファンから各テーマ別に披露してほしいユニット曲を募り、その声を元に作成したプレイリストを披露する内容。

 天の声を務めたのは『日向坂で会いましょう』のナレーターでお馴染みの阿座上洋平。阿座上の呼び込みでメンバー全員が登場すると、キャプテンの佐々木久美が「あと1人、私たちの大事な仲間を紹介させてください」と言って、現れたのは宮田愛萌。去年11月から体調不良のため休業していた彼女はこの日、久しぶりに日向坂46として戻ってきた。「ただいま帰ってきました!」と画面の向こうにいるファンに向けて挨拶をした時、目にはうっすらと涙を溜めていた。

 本編がスタートすると、佐々木久美と高瀬愛奈による進行で最初のテーマ「大切なひとにプレゼントしたい曲」が発表された。1曲目はけやき坂46時代に生まれたグループ初のユニット“りまちゃんちっく”(潮紗理菜、加藤史帆、齊藤京子、佐々木久美、高本彩花)の「ママのドレス」。2曲目は“なおみく”(金村美玖、小坂菜緒)による「See Through」。3曲目が始まると、ステージには松田好花が1人アコースティックギターを抱えて登場した。〈あれから一年か もう会いたくなる〉日向坂46になって初めてのユニット曲“はなちゃんず”(松田、富田鈴花)の「まさか 偶然…」だった。

 2年前のブログで松田は「けやき坂46 2期生おもてなし会から始まった私たちの夢がこんなにも早く叶うなんて思ってもみなかったので、聞かされた時は自然と涙が出てきました。2人だけの曲なんて今だに信じられません」と喜びの気持ちを綴っていた。この日、残念ながら富田は体調不良でライブを欠席。彼女が歌うパートの分も松田がカバーするのかと思いきや、彼女の後ろのモニターには富田の姿が映し出され、スピーカーからは歌声が流れてきた。ワイプを見ると、宮田と河田陽菜が「鈴花〜すごい好き」「すずとこのちゃんの歌声が好き」と書いたホワイトボードを掲げていた。

 第1部のプレイリストが終わり、次のテーマへ進む前に阿座上が「先ほど大切な人にプレゼントしたい曲を紹介しましたが、日向坂46としても昨年は大切な人にあるプレゼントをしました。まずはこちらのVTRをご覧くだい」とモニターに映像が映し出された。そこには、入院している松田のために上村ひなのが千羽鶴を数えている楽屋の様子だった。活動開始から今日まで、順風満帆に日々を過ごしたわけではない。時にメンバーが休業すると、それを支え合う仲間たち。一緒に苦楽を乗り越えた2年だったことを感じられた。

 そして第2部は影山優佳と金村が司会を務めて「おひさまになったキッカケの曲」のプレイリストへ。1曲目は小坂、丹生、渡邉美穂が真っ赤なドレスに身を包みパフォーマンスする「キレイになりたい」。2曲目は再び“りまちゃんちっく”が登場し、「沈黙した恋人よ」を披露した。

 ここでメンバーも知らないサプライズが起きる。「日向坂46の活躍をいつも見させていただいてます。番組も楽しく観ていて、いつも元気をもらっているので、これからもみんなの明るさとハッピーオーラで沢山のファンの皆さんを元気にしてほしいなと思います!」と乃木坂46のキャプテン・秋元真夏から2周年のお祝いコメントが流れた。

 第3部は丹生と髙橋未来虹が司会を担当。「カラオケで歌いたい曲」というテーマが発表されると、河田は濱岸とカラオケへ入ると別々の部屋で1人カラオケをしているという珍話を披露し、メンバーを驚かせた。

 続く第4部では「聴いたらナゼかお腹がすく曲」のテーマから“りまちゃんちっく”で「ハロウィンのカボチャが割れた」と東村、河田、松田で「ナゼー」。第5部では「“ここ一番”の時に聴きたい曲」から加藤、高瀬、東村、渡邉の「ノックをするな!」と佐々木美玲、濱岸の「三輪車に乗りたい」、東村、金村、河田、丹生の「Cage」を披露した。

 第6部は「あなたの見てみたいユニット 結果発表!」ということで、ファンの声を反映した新規ユニットでパフォーマンスをすることに。まずは金村、小坂、濱岸の2002年組の3人で「もうこんなに好きになれない」。今年高校を卒業したばかりの初々しさを内包しつつ、少女から女性へと向かっていく様を感じられる楽曲。ステージを観た加藤は「数年後にまた3人で歌ったら、涙が出ちゃうくらいエモーショナル」と評した。

 2曲目の“あゃめぃちゃん”(高本、東村)は「夢は何歳まで?」で黒いライダースを着て、アクティブなダンスとクールな表情で魅了した。3曲目は“みーぱんファミリー”(佐々木、河田、濱岸、山口陽世)による「酸っぱい自己嫌悪」。大学進学を機に、好きな人と離れ離れになってしまう女の子の恋心を描いた甘酸っぱい青春曲を、この4人が歌うことで透明感が増長していた。

 ここで再び、日向坂46にお祝いのメッセージが届く。登場したのは櫻坂46のキャプテン・菅井友香。「お互い欅坂から櫻坂になり、けやき坂から日向坂になるっていう。同じ坂組として一緒に切磋琢磨していい関係を築けたら嬉しいなと思っております。いつか一緒にライブができたら嬉しいです」と姉妹グループとしてエールを送った。

 気づけば終盤に突入し、第7部のテーマ「おうち時間のBGMにしたい曲」からファッション誌の専属モデルを務める5人(加藤『CanCam』、佐々木久美『Ray』、佐々木美玲『non-no』、高本『JJ』、小坂『Seventeen』)で「Footsteps」を、河田、濱岸、 宮田で「割れないシャボン玉」を歌い終えたところで、再びメンバー全員が登場。

 佐々木久美が「続いての曲が最後ですかね?」と締めようとしたら、突然ステージが暗転した。何も知らないメンバーが驚きの表情を見せていると、目の前のモニターに大勢のファンの姿と「日向坂46 2周年おめでとう!!」の文字が流れた。さらに特大のバースデーケーキが届くと、カメラはメンバーの表情をとらえた。そこには目を赤くして涙を流す、佐々木久美や加藤の姿があった。「こんな素敵なおひさまの皆さんとメンバーと2周年を迎えられることが嬉しいことですね……ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えた。その後、2時間30分に渡る初日公演のフィナーレはメンバー全員で「窓を開けなくても」を歌い上げた。

 このライブを熱い気持ちで見届けたのは僕らだけではなく、ステージに立てなかった富田も同じである。彼女は3月27日にアップしたブログで、このように語っている。「ユニット祭りを観てとても元気を貰えました。アイドルって改めて素敵な存在だなと思います。ここ一週間、ずっとファンのみなさんのことを考えていました。メッセージアプリでいただけるファンレターも誕生日と同じくらい沢山頂いて、全部読んでいます。全部、涙が出るような内容ばかりなので、少しずつ…笑。だからね応援してくださってる皆様が悲しむような事はしたくないな、と痛感するんです。ずっと笑顔でいて欲しいです。自分を原因に悲しくなっている姿をもう二度と見たくないです!」。

 富田の分まで全力の笑顔で走り抜けたメンバー。ファンやメンバーとの絆を深く知れた初日の公演は、こうして幕を閉じた。

(※1)https://www.bubkaweb.com/posts/5960154/

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