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木村佳乃、逆境に立ち向かう強さを見せる 『あなたには渡さない』ドロドロ愛憎劇の幕開け

リアルサウンド

18/11/18(日) 12:00

 1人の男をめぐって女同士の激しいバトルが繰り広げられるラブサスペンス『あなたには渡さない』(テレビ朝日系)。その第2話が11月16日に放送された。

 料亭の御曹司で板長である夫・旬平(萩原聖人)と結婚し、20年間、平凡な主婦として過ごしてきた上島通子(木村佳乃)。そんな彼女の前に夫の愛人だと名乗る女性・矢萩多衣(水野美紀)が現れる。第2話は、倒産の危機に陥っていた料亭「花ずみ」を再建すべく奮闘する通子の姿が映し出された。

 通子は、旬平と多衣の関係に対する恨みを糧に、新生「花ずみ」の女将として生まれ変わる。平凡な主婦だった彼女は覚悟を決め、多衣と対峙してもたじろがない強い女性となった。第2話は、そんな彼女の強さと弱さが混じり合う回となった。

 ドラマ冒頭、通子は「花ずみ」を再建させるために多衣のもとへ行き、婚姻届を担保に6000万円を借りたいと申し出る。通子は愛人・多衣から、多衣と旬平の関係を見せつけられるような行為を受けるも、くじけることなく彼女と対峙する。多衣は、動揺を見せない通子の図太さに感心し、6000万円の小切手を手渡した。

 通子は、化粧っ気のない素朴さが印象的な女性だ。多衣の色気と余裕のある姿勢と比べると、まだ専業主婦だった顔が抜けきっていない。しかし相手の目をまっすぐ見やり、自分の意思を崩さない姿には、したたかな多衣とはまた違った強さを感じさせる。旬平をめぐった争いでは敵ではあるが、ビジネスのやりとりでは通じ合うものを感じたのだろう。2人は「裸で抱き合ったような感覚」を対峙する中で味わっていた。

 通子は、新生「花ずみ」の女将となり、旬平は板長として雇われる身だ。旬平の懐石料理を介し、笑顔で言葉を交わす2人の間には、多衣の存在は感じられない。しかし調理場とカウンター席の隔たりが彼女たちの関係を指し示す。通子が旬平に変わらない思いを伝えても、それは彼女1人だけの思いだ。旬平と言葉を交わす通子からは、彼の妻として接したい彼女の心が現れている。

 新生「花ずみ」は評判を呼ぶ。ビジネスに携わったことのない通子らしい発想で、オープン初日から3日間、無料で料理が振る舞われた。思い切ったやり方ではあるが、旬平の料理と、通子の庶民的で親しみのある雰囲気は客の心を掴む。かつての「花ずみ」から想像される格式高い雰囲気はないかもしれないが、後ろを振り返らない通子の性格が功を奏したようだ。トラブルに見舞われても、通子は通子らしさを失わない。彼女ならではの発想で言葉を返し、その場を切り抜けていく。新生「花ずみ」を陥れようとする者は「花ずみ」の内側にも外側にもいる、そんな描写が織り込まれた第2話の中で、通子だけが、変わらず前を向いて突き進む、そんな予感がした。

 とはいえ、女同士の争いはよりいっそう激しくなる。多衣への借金をはじめて返済する日、多衣は金沢ではなく東京に部屋を借りていた。多衣と対峙する通子の前に現れたのは、「多衣が忙しくて会えていない」と話していた旬平だった。「花ずみ」の抱えた負債を背負わせないための偽装離婚だと信じていた通子にとって、旬平の心は多衣に向いている事実は痛烈だったことだろう。旬平の顔を見た通子は、多衣から愛人だと明かされたときのように激しいショックを受ける。旬平と多衣を見つめる通子の目は、彼女たちの関係をその目で確かに認識したことで、より強い恨みに満ち満ちていた。しかし彼女は、その恨みを糧に前へ前へと突き進む。

 第2話では、多衣に旬平の母が譲ったと思われていた帯が、本当は「通子に渡してほしい」と手渡されていたことや、通子を密かに思う笠井(田中哲司)と多衣が通じ合っていることなど、真意が掴めない新事実が露見した回でもあった。通子の凛とした強さが確立されていくと同時に、よりいっそうドロドロとした愛憎劇が展開することだろう。(片山香帆)

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