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「クリープハイプの日」に新旧織り交ぜた全23曲を演奏、映画主題歌の新曲も初披露

ナタリー

尾崎世界観(Vo, G)(撮影:岩本彩)

クリープハイプが“クリープハイプの日”である9月8日に東京・東京ガーデンシアターにてワンマンライブ「クリープハイプの日 2021(仮)」を開催した。

“クリープハイプの日”のワンマンライブは、2016年以来5年ぶり。この日、4人はインディーズ時代の楽曲から最新曲まで全23曲を演奏した。ピアノのSEが鳴り止み徐々に暗くなっていく会場。ステージにはメンバーが1人、また1人と現れる。最後に真っ赤なTシャツを着て、前髪を上げた尾崎世界観(Vo, G)がやってくると、小川幸慈(G)が怪しげなギターフレーズを鳴らす。すると観客たちが一斉に立ち上がり、9つの炎がゆらめくステージで4人は「キケンナアソビ」の演奏を始めた。

2曲目は長谷川カオナシ(B)がメインボーカルを務める「月の逆襲」。長谷川の歌に尾崎の「じゃあね」という言葉が交差するこの曲では、月夜を思わせるブルーとイエローの照明が4人の姿を照らした。「すごいなあ。こんな大変なときに来てくれて。いろんなことがあるけれど、目の前にいてくれることだけを今は信じていたい」と尾崎は語り、「一生のお願い」を披露。続く「君の部屋」では小泉拓(Dr)がパワフルなビートを鳴らし、「バブル、弾ける」では泡のような照明の演出の中で尾崎と長谷川の歌声が響いた。

エネルギッシュなロックチューン「リグレット」や「社会の窓」のカップリング曲「週刊誌」と小川のギタープレイが炸裂する楽曲が続くと、フロアではクラップが弾け、会場に一体感が生まれる。雑誌「SHABEL(シャベル)Vol.1」の付属CDに収録されていた楽曲「喋る」では、尾崎がアコースティックギターを手に熱唱。コロナ禍の昨年にリリースされた「四季」では、躍動感のあるリズムに乗せて尾崎が優しい歌声を届けた。

コロナ禍のライブ開催について、やるべきかやらないべきか、いまだに答えが出ていないと語った尾崎。「正解っぽいことを言うミュージシャンもいますが、個人的にはあまり好きじゃない……だってよく“わからない”から。ファンの前では、わからないときは正直にそう言えるフロントマンでいたい。答えを出せたほうがカッコいいんだろうけど、嘘をつくくらいならカッコ悪くてもいいなと思います」と誠実な思いを述べた。そして「こういう気分のときにちょうどいい曲」と紹介して、「僕は君の答えになりたいな」を披露。MCで語った真摯な思いを裏付けるような楽曲を歌った尾崎は深くお辞儀をして、客席からは長く大きい拍手が沸き上がった。

長谷川がメインボーカルを取る「ベランダの外」のあとは、「陽」「大丈夫」と人気曲が続く。最近8年ぶりの引っ越しをしたという尾崎のMCでは、荷物がなくなりがらんとした8年住んだ部屋を見て寂しい気持ちになったものの新居に満足する自分は、クリープハイプから離れて「中学のときめっちゃ聴いてたわ」と言うファンと同じようなものだ、という話が繰り広げられる。尾崎は「いろんな出来事を都合よく歌にしていると引っ越しをして気付いた。でもちゃんとそれなりに手を抜かずに同じ曲もやっている。今こうしてここに来てくれている人もいつか大変な時期に無理をしてライブに行ったことを懐かしむかもしれない。でもここにいたという事実は消えない。そういうことを都合のいい懐かしい曲で伝えたい」と最初期の楽曲「ねがいり」を歌った。

「百八円の恋」で始まった後半戦では「社会の窓と同じ構成」「寝癖」とパワフルなロックチューンが畳み掛けるように披露されていく。8月にリリースされたばかりの「しょうもな」ではグルーヴ感のあるパフォーマンスで観客を魅了し、声は出せないながらもフロアは静かな熱気に包まれた。ここで尾崎は12月8日に3年3カ月ぶりのニューアルバム「夜にしがみついて、朝で溶かして」をリリースすることを発表。そしてアルバムタイトルに歌詞が引用された新曲で、2022年春公開の映画「ちょっと思い出しただけ」の主題歌「ナイトオンザプラネット」を披露した。「ナイトオンザプラネット」はヒップホップやR&Bの要素を持った、クリープハイプにとって新境地の楽曲で、ミラーボールの光が輝く中でのベースレス編成での演奏や、尾崎がハンドマイクで語りかけるように歌詞をつむいでいく姿が観客に強烈なインパクトを残した。

「ナイトオンザプラネット」でキーボードを弾いていた長谷川が再びベースを持ち、尾崎もエレキギターを抱えると「さっきはごめんね、ありがとう」でラストスパートをかける。間奏では観客に手拍子を求め、会場いっぱいにその音が響いた。リズム隊がパワフルなリズムをつむぎ、それに続いて始まったのは「蜂蜜と風呂場」。はちみつを思わせる黄色の光がミラーボールによって会場中に散らばった。尾崎の弾き語りから始まった「ex ダーリン」は、後半でバンドの演奏も加わるバンドアレンジで披露。拍手に対して尾崎は「拍手でしか表現できないのは歯がゆいよね。でもこの関係性、めちゃくちゃエロいと思います。俺たちはそうやって変態プレイにしてやりづらい世の中を楽しんでいこう」とポジティブに語り、最後の「イノチミジカシコイセヨオトメ」を熱唱。「生まれ変わったら何になろうかな」という歌詞のあとに「生まれ変わってもクリープハイプになりたい」と付け加えて歌い、銀の紙吹雪が舞う中でギターをかき鳴らした。

全23曲を演奏し、メンバーが次々と退場する中、最後に1人ステージに残った尾崎はこう語った。「また延期になったり中止になったりするかもしれないけれど、アルバムも出るし対バンツアーもあるし、もっといろいろこれからもやるだろうし。そういう楽しくなれるような約束をたくさんしましょう」。そして彼は「これからもよろしくお願いします」と深々とお辞儀をしてステージを去った。

クリープハイプは10月に対バンツアー「ストリップ歌小屋 2021」を開催。イープラスでは9月18日10:00にチケットの一般発売がスタートする。

クリープハイプ「クリープハイプの日 2021(仮)」2021年9月8日 東京ガーデンシアター セットリスト

01. キケンナアソビ
02. 月の逆襲
03. 一生のお願い
04. 君の部屋
05. バブル、弾ける
06. リグレット
07. 週刊誌
08. 喋る
09. 四季
10. 僕は君の答えになりたいな
11. ベランダの外
12. 陽
13. 大丈夫
14. ねがいり
15. 百八円の恋
16. 社会の窓と同じ構成
17. 寝癖
18. しょうもな
19. ナイトオンザプラネット
20. さっきはごめんね、ありがとう
21. 蜂蜜と風呂場
22. exダーリン
23. イノチミジカシコイセヨオトメ

クリープハイプ「ストリップ歌小屋 2021」

2021年10月1日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
クリープハイプ / Mom

2021年10月6日(水)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
クリープハイプ / トム・ブラウン

2021年10月8日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
クリープハイプ / 崎山蒼志

2021年10月9日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
クリープハイプ / 女王蜂

2021年10月15日(金)北海道 Zepp Sapporo
<出演者>
クリープハイプ / My Hair is Bad

2021年10月21日(木)東京都 Zepp Tokyo
<出演者>
クリープハイプ / どぶろっく

2021年10月22日(金)東京都 Zepp Tokyo
<出演者>
クリープハイプ / iri

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