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『あなたの番です』真犯人・西野七瀬の本性が明らかに ラストの「無人の車椅子」が意味すること

リアルサウンド

19/9/9(月) 9:50

 大方の予想通りの結末といったところだろうか。ホテルの一室で、突然二階堂(横浜流星)から襲われた翔太(田中圭)が目を覚ますと手足を拘束され、腕には塩化カリウムと繋がった点滴が挿さっている。そして隣のベッドには同じような状態の沙和(西野七瀬)の姿が。そこへ現れた二階堂は翔太に“ゾウさん”か“キリンさん”かの選択を迫り、抵抗する翔太に怯む二階堂に沙和は「二階堂さんには無理でしたね」とつぶやく。そして始まる“連続殺人犯”黒島沙和の告白。

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 8日の放送で、半年間つづいた物語のフィナーレを迎えた日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』。先週の衝撃的なクライマックスの直後、ネット上の考察では二階堂の行動は沙和をかばってやったことではないかという説が有力視され、必然的に黒幕=沙和ということがほぼ当確状態になっていたのはいうまでもない。それだけに、最終回が始まって早々にすんなりと明らかになる本性。それは人を殺さずにはいられない、マーダーホリックとしての一面。まるで一昨年吉高由里子主演で映画化された沼田まほかるの『ユリゴコロ』を想起してしまう設定だ。

 “交換殺人ゲーム”で波止(水石亜飛夢)の名前を書き、彼が殺されたことで自分の番が来たと、赤池美里(峯村リエ)夫婦を殺害。そして児嶋佳世(片岡礼子)や事件の真相に気付いた浮田(田中要次)を殺し、ゲームと離れたことから“軌道修正”として甲野を内山(大内田悠平)に殺させたこと。波止を殺した犯人が自分の“仲間”ではないかと思い、探す目的で例の表を作ってみたり、“アフターケア”として田宮(生瀬勝久)に甲野の遺品を送りつけたり甲野の遺族に香典を送ったりしていたこと。そして菜奈(原田知世)が牡羊座のラッキーデーに事件が起きることに気付き始めていたからと、“先手”を打って殺したこと。

 菜奈を殺した犯人に復讐することを誓い、必死で捜しつづけた犯人の正体が身近な人物であったことがわかり、そのあまりにも身勝手な動機に感情をあらわにせずにいられない翔太。しかも思い返してみれば、翔太が菜奈の死体を発見した時に、一緒にいてカメラを回していたのが沙和だったわけだ。一方で、「AIが客観的に分析すればするほど、僕の人としての感情を優先したくなる」と、初めて好きになった沙和という女性への想いと、良心の狭間で揺れ動く二階堂の姿。このドラマを“犯人は誰か?”という一点にのみに重きを置いて見れば、あまりにもシンプルな結末であったようにも思えるが、“愛した人が殺された翔太”と“愛した人が殺人者だった二階堂”が手を取り合って真相に辿り着くという対比が生まれた点で、この後半の「反撃編」には実に見事なドラマ性が生み出されていたいえるだろう。

 ところで、田宮が波止の名前を引いていたということや、西村(和田聡宏)が木下(山田真歩)に明かす、床島(竹中直人)の死の真相や引いた紙と書いた紙の答えなど、これまで隠されていた謎が一通り明らかになっていく中で最後の最後で出てきた新事実。それは赤池幸子(大方斐紗子)が沙和の祖母で、沙和の危険性を知りながら黙認していたという、ある意味では“真の黒幕”といえる存在だ。ラストで登場した無人の車椅子と、屋上で縛られて殺されようとしている幸子の姿に、それが神谷(浅香航大)の復讐を誓った水城(皆川猿時)の仕業なのか、ホテルの部屋を出てからの姿が描かれない沙和の仕業なのか、それとも幸子にずっと付き添っていた江藤(小池亮介)の仕業なのかと、放送が終わってもなお考察が盛り上がっているのは興味深い(そういえば、ゲームで赤池美里が書いた「赤池幸子」という紙を引いたのは、浮田だった。名前を書かれていた人物は、このラストをもって、石崎洋子と吉村以外の全員が命を落としたことになる)。

 実に40分近くの時間をかけて描かれた、この半年間を総括するような“解答編”の後に待ち受けていたエピローグでは、1人でチャペルに立つ翔太の前に現れる菜奈の幻影との対面と、二階堂との正式な和解など、キウンクエ蔵前の住人たちのその後の物語が描かれていった。娘の事件の真相を知りマンションを去っていく南(田中哲司)や、新たな生活を始めようとする者たちの一方で、刑務所の中で過ごす罪を犯した住人たち。オーラスこそなかなかの意地の悪さを見せられたとはいえ、変わらず鍋をつつきあう翔太と二階堂の姿にはどことない安堵を与えられると同時に、この濃密な半年間が終わってしまうことの名残惜しさを本格的に感じずにはいられない。  (文=久保田和馬)

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