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劇団こふく劇場、6年ぶりの新作公演「ロマンス」ある男の“人生最後の1年”描く

ナタリー

劇団こふく劇場 第16回公演「ロマンス」チラシ

劇団こふく劇場「ロマンス」が、10月から来年2月にかけて、宮崎・三重・宮城・愛媛で上演される。

これは、劇団こふく劇場にとって、約6年ぶりの新作本公演。劇中では、九州のとある町に暮らす主人公の、人生最後の1年が描かれる。幼い頃、64歳の誕生日に死ぬことを予言された石田雄造は、2017年12月に63歳の誕生日を迎えた。そこからの1年で起きた、出会いや別れ、再会は、最後の時間を過ごす雄造にとって、かけがえのないものとなり……。

作・演出を永山智行が担い、出演者にはかみもと千春、濱沙杲宏、大迫紗佑里、有村香澄、池田孝彰が名を連ねた。本作について永山は「上演が叶うかさえわからない状況ではあるが、劇団員のみんなと重ねる日々の稽古の時間の中、その祈りだけは決して手放さずにおれたらと願うのだ。そして、すべての人に穏やかなしあわせの時間が訪れますよう」とコメントしている。

公演は、10月29日から31日まで宮崎・三股町立文化会館、11月5日から7日まで三重・津あけぼの座、来年1月15・16日に宮城・せんだい演劇工房10-BOX box-1、2月5・6日に愛媛県 シアターねこにて。チケットの一般販売は、三重公演分が9月5日、宮城公演分が11月14日、愛媛公演分が12月5日にスタート。宮崎公演分はすでに販売を開始している。

永山智行コメント

約束に加わる。

太宰治に「一つの約束」という短文がある。

難破し海中に遭難した者が、ようやっと燈台の窓縁につかまった。たすけを求め叫ぼうとしたが、窓の内では、燈台守の夫婦とその幼き女児とが、つつましくも仕合せな夕食の最中である。「おれの凄惨な一声で、この団欒が滅茶々々になるのだ」と思った遭難者は一瞬戸惑い、そのまま大波に呑まれてしまう。

「この遭難者の美しい行為を、一体、誰が見ていたのだろう。誰も見てやしない。(中略)誰も見ていない事実だって世の中には、あるのだ。そうして、そのような事実にこそ、高貴な宝玉が光っている場合が多いのだ、それをこそ書きたいというのが、作者の生甲斐になっている。

第一線に於いて、戦って居られる諸君。意を安んじ給え。誰にも知られぬ或る日、或る一隅に於ける諸君の美しい行為は、かならず一群の作者たちに依って、あやまたず、のこりくまなく、子々孫々に語り伝えられるであろう。」

これが作者・太宰治の約束ならば、わたしもまたこの約束に加わりたいと思う。

上演が叶うかさえわからない状況ではあるが、劇団員のみんなと重ねる日々の稽古の時間の中、その祈りだけは決して手放さずにおれたらと願うのだ。

そして、すべての人に穏やかなしあわせの時間が訪れますよう。

劇団こふく劇場 第16回公演「ロマンス」

2021年10月29日(金)~31日(日)
宮崎県 三股町立文化会館

2021年11月5日(金)~7日(日)
三重県 津あけぼの座

2022年1月15日(土)・16日(日)
宮城県 せんだい演劇工房10-BOX box-1

2022年2月5日(土)・6日(日)
愛媛県 シアターねこ

作・演出:永山智行
出演:かみもと千春、濱沙杲宏、大迫紗佑里、有村香澄、池田孝彰

※濱沙杲宏の「濱」は異体字が正式表記。

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