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『竜の道』切なすぎる兄妹の邂逅 回を追うごとに存在感が強くなる松本穂香がキーパーソンに?

リアルサウンド

20/8/5(水) 6:00

 第1話で感動的だったと話題になっていた『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)の花火のシーン。花火を見ながら思わず涙する竜一(玉木宏)に、偶然通りかかった血の繋がらない美佐(松本穂香)が声を掛け、しばしの間一緒に花火観賞をする。このシーンについて玉木も「3人で過ごした日々を思い出しながら『もう戻れないんだ』という悲しさがあった。復讐を遂げるために完璧であろうとする竜一の、完璧ではない人間らしさが垣間見える瞬間だった」とコメントを寄せていた。

参考:『竜の道 二つの顔の復讐者』冒頭から衝撃的な幕開けに 玉木宏と高橋一生の絶妙な双子感

 このときに出会っていたのが実は自分の妹だったと竜一が気づくのに、そう時間はかからなかった。

 第2話、竜二(高橋一生)と美佐との待ち合わせ場所に竜一がたまたま居合わせ、それぞれ「竜二のビジネスパートナー」「竜二の妹」として紹介される。本来3人一緒の兄妹だったはずが、こうやって竜二を介してでしか繋がれない兄妹の関係がもどかしく何とも切ない。

 「兄弟なのに他人の振りして、俺たちなんでこんなことしてんだよ。父さんと母さんの仇をとるためだろ。竜一のしたことは俺も背負う。俺たち家族だろ」と自分に訴えかけていた竜二が、ここでは自分のことを他人として紹介。美佐と2人で談笑している姿を目の当たりに、自らが望んだ筋書き通りのはずなのにより疎外感を強める竜一。また一方で、「これで良かったんだ」と納得しようとする竜一の気持ちの揺れが終始見られる回となった。

 竜二や美佐に近くほどに、現在の自分・和田猛になるときに犯した殺人、そのときに血塗れの手で掴んだ大金が脳裏をかすめるようになる竜一。美佐のことを大切に思っているからこそ、汚れてしまった自分とは関わりを持たずに幸せに過ごしていて欲しいと願い距離をとり続けていたのが、運命のいたずらとはこうも残酷なものか。

 また、どんなに顔や声、名前も変えても、例え血が繋がっていなくとも、例えもうこの世にいないとされていても、片時も忘れたことのない相手が目の前に現れると、誤魔化しきれない何か感じ入ってしまうものがあるのだ。

 「美佐にとって俺は死んでた方が良い」とする竜一。そんなことを知らずとも花火を見て涙する竜一に「色々ありますよね。色々あっても、ない振りして生きていくしかないし」とハンカチを差し出す美佐。

 確かに一番の自己犠牲を強いてこの復讐に臨んでいるのは竜一に違いなく、その意味では「弟、妹には表の社会で堂々と過ごしてほしい」という竜一の願いは叶っているかのようだ。ただ、竜一の復讐計画のために運命共同体として進む竜二、そして大好きだった兄を突然亡くした美佐、竜一と美佐の間で揺れる竜二、やはり3人全員に「色々悲しいことがあっても、ない振りして生きていくしかない生き方」を強いてしまっている。

 美佐が今なお「私にはもう1人兄がいる」と、過去形ではなく現在進行形で話す姿に竜一は何を思っただろうか。やはりどこかで嬉しく安堵したのだろうか。固く閉ざした竜一の心に隙が出来るほどの無邪気さと、今は亡きものをずっと大切に思い続けられる強さを持つ美佐役に、松本穂香を抜擢した配役にも改めて唸らされる。決して強い主張をするわけではない本作での役どころでも存在感が回を追うごとに強くなる。甘えるような妹的存在感ではなく、真っ直ぐで強い信念を秘め、簡単には誤魔化せないであろう手強ささえも既に滲ませ、今回の復讐計画のキーパーソンになるのであろうことを予感させる。

 今後、この美佐との出会いが復讐計画にどんな影響を与えていくのか。また、竜二が美佐に対して抱いている感情が兄妹以上のものであるかのような描写もちらほらと見受けられるように思う。これから3人の関係がどう変化していくのかも祈るような気持ちで見守っていきたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。

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