Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

フルパワーで戦国を駆け抜ける黒島結菜に好感! 持ち前の爽やかな魅力がハマった『アシガール』

リアルサウンド

20/5/8(金) 6:00

 「私が若君様を守ります!」。女子高校生が、好きな相手を守りたいと全力で突き進む。そんな全力ヒロインを黒島結菜が演じるタイムスリップ・ラブコメディ『アシガール』(NHK総合)が好評だ。森本梢子の少女コミックを原作に、2017年にNHK総合テレビで放送された連続ドラマであり、評判を集めて1年後にはスペシャルドラマ版が放送された人気作。現在、『ディア・ペイシェント~絆のカルテ~』の放送延期を受けて、連続ドラマ版が4月17日より再放送中である。

【写真】若君役の伊藤健太郎

 足の速さだけがとりえのおかっぱ頭の女子高校生・速川唯は、ある満月の夜、発明好きの弟が造ったタイムマシンを、そうとは知らずに起動させて戦国時代にタイムスリップしてしまう。足軽の唯之助として紛れ込んだ唯は、黒羽城の若君・忠清(伊藤健太郎)に一目ぼれ。女の身であることを隠したまま、愛する若君を守るために“アシガール”となって乱世を駆けめぐる! 

 現在、第3話まで放送され、5月8日には第4話が放送予定。凛々しい若君を演じきった伊藤健太郎の人気もさることながら、唯を演じる黒島に共感と応援の声が上がっており、17年放送当時に増して支持が強まっている。第3話で現代に戻った唯は、若君がまもなく合戦で命を落とすとの歴史を知り、「若君様を守るのだ!」と再び戦国へ。足軽となって戦へと出発するも、「これが戦……」と、実際に人が斬り合う様を目の当たりにして気を失ってしまった。ラブコメディの本作だが、戦国の世をきっちり描けるNHKだからこその、タイムスリップ物語への没入感を与えてくれた。

 第4話では、唯が女の姿で若君と対面する待ちに待ったドキドキシーンへと突入。戦勝の宴の宵で、地元の豪士の娘・ふき(中村静香)が若君に一晩仕えると聞き、いても立ってもいられなくなった唯は、芝居一座の女形・あやめ(森優作)の力を借りて、ふきになり替わり、若君の閨(ねや)へ忍び込むことに成功する。いい面も悪い面も含めて(食べ物にがめつかったり、嫉妬心をむき出しにしたり)、まっすぐで馬鹿正直な唯。その視線の先には常に、凛々しい若君の姿がある。純粋さゆえではあるが、「若君様~!」と、とにもかくにも猪突猛進な姿は、一歩間違えば嫌われかねない。今後、登場してくる、忠清との婚約話が進行中の松丸家の姫・阿湖(川栄李奈)も、主人公のライバルにも関わらず、清廉にして健気な姫で突きどころがなく、応援してもらわねばならない主人公の唯にとっては手ごわい相手。突飛な設定も、キャラクターも、コミックでは成立していたものが、生身の人間が演じるには実はなかなかにハードルの高い素材なのである。

 本ドラマは、擦り傷もいとわず土で真っ黒になりながら山林を駆け、お腹を空かせて大根をかじり、その都度、感情をダダ洩れにしながら、「シャッ!」と気合を入れて邁進する唯をしっかり応援したくなる。これには黒島の体当たり演技の貢献が大きい。澄んだ瞳と意志の強そうな眉が魅力的で、なおかつ、周囲の心を柔らかく溶かし、若君こそが唯を守りたくなる可憐さを持ち合わせる。黒島の持ち前の瑞々しい魅力が十分に生かされ、その嫌味のなさが、同性からの支持へと繋がった。

 現在23歳の黒島は、2012年より芸能活動を開始し、14年に連続ドラマに初出演した柳楽優弥主演、福田雄一演出の『アオイホノオ』(テレビ東京系)で早くも存在感を発揮。翌年、映画『あしたになれば。』で映画初主演を果たした(小関裕太とのW主演)。16年に『時をかける少女』(日本テレビ系)で連続ドラマ初主演。20歳で当たり役となった『アシガール』の主演へと至った。昨年、今年と、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)での村田富江役、連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)で話題を集めた松永三津役と好演を続けるNHKとの相性も良い。

 1996、97年生まれの同世代女優には、池田エライザ、三吉彩花、中条あやみ、杉咲花、松本穂香らがおり、それぞれに個性を放っているが、黒島の持つ親しみやすさと爽やかさは独自のポジションを築いている。現在、『行列の女神~らーめん才遊記~』(テレビ東京系)が放送中で、夏には『呪怨:呪いの家』(Netflix)が控える黒島。まだ23歳、役の幅も広がるこの先、その年齢になったからこそ似合う役でも楽しませてくれるに違いない。その前に、この機会に今は、唯と一緒に若君のカッコよさに目をハートにしながら、『アシガール』の世界にどっぷり浸ろう。

(望月ふみ)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む