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香取慎吾のブログが問いかけるもの 『空想ファンテジー』に広がるちょっと一息つけるエンタメの世界

リアルサウンド

20/2/10(月) 6:00

 香取慎吾が、最も注目されたブログに贈られるAmeba『ブログ・オブ・ザ・イヤー2019』の優秀賞を受賞した。香取がブログを始めたのは2019年1月のこと。元日に放送された『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)にて、稲垣吾郎、草なぎ剛とSNSシャッフルを発表し、それまで香取が展開してきたTwitterやInstagramに加えて、ブログをスタートさせることになったのだ。

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 香取のブログタイトルは『空想ファンテジー』。多くの芸能人がブログで、プライベートな「現実の一部」を見せてファンを楽しませているのに対して、香取のブログは「空想」をテーマにしているのが特徴的。現実を生きるために、現実を離れる時間を大切にしたい。そんな彼の変わらぬ少年心を感じさせるブログだ。

 香取がSNSを始めたのは2017年のこと。それまで、Webの世界は未踏の地だったにも関わらず、今ではTwitterで日々のつぶやきを、Instagramではアート作品や加工を楽しんだ写真が並び、ブログでは空想の世界を広げ、今年からはYouTubeでMVやコメンタリー動画を発信している。

 そのメディアの特徴を掴み、自分の一部をうまく整理して掲示するセンスには脱帽だ。きっと、それが自然とできるのも、幼いころから芸能界で育ち、人生をコンテンツ化させることについては「ネイディブ」とも言える香取だからこそ。ビジネスの一端というよりも、SNSという新しいおもちゃをどんどん使いこなしている印象だ。

 今や、画家としても高い評価を受けている香取。その創作活動は思いついたら、いつでも、どこでも。スタジオの片隅でダンボールの裏に描いたり、移動車の中に小さなキャンバスを置いておくこともあったという。ブログに掲載されているイラストも、気の向くままに綴られたもの。そのため、1日に1投稿にとどまらない日もあれば、しばらく空くことも……。

 その投稿頻度を見て、彼のエネルギーが充電されている時期や、「現実」の創作活動に放電されていることを、“言葉“以上に感じられるという意味では、このブログからも十分彼のプライベートを察することができるツールでもあるのだ。

 加えて、「空想」とは言いつつも、現実と全くかけ離れた話とも言い切れない。実際に、飼っているわけではないけれど、彼の日常にたびたび顔を出すという“黒いうさぎ“。床に絵を描いちゃダメ、壁にも描いちゃダメ、顔にもダメ……と言われて頬に“NO”の文字を描いた少年には、どこか香取の面影を感じずにはいられない。彼の心のどこかにある「空想」の世界を、まるで夢の中の一部に迷い込んだように、私たちはブログを通じて覗き見しているのだ。

 受賞を受けて、香取は以下のようなコメントを寄せた。「僕の好きなエンターテインメントは、“本当ではない“ことが大事だと思っていて、空想の世界に浸れるこのブログが大好きです。今年もこのブログでたくさん遊びたいです」。

 「本当ではない」と言っているからこそ、本当のことが透けてみえる。「これが現実だ」と誰かが言ったことが、受け取る人の「真実」になるかはわからないのだ。誰かの憶測を鵜呑みにするのか、それとも自分自身が感じ取ったものを信じるのか。多くの情報が飛び交う今だからこそ、このブログが問いかけるものが大きいように感じる。

 人の言葉に惑わされてしまいそうなとき、現実に少し疲れてしまったとき、香取が創造する『空想ファンテジー』の世界に迷い込み、少しだけ冒険をして戻ってくる。香取が好きだというエンターテインメントは、きっとそんなやさしい世界なのだ。これからも、身近に感じられるこのブログを通じて繰り広げられる、ちょっと一息つけるエンタメの世界が、日々更新されていくことを楽しみにしている。(佐藤結衣)

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