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呪われた企画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』を実現させたのは、監督の“熱い想い”

ぴあ

20/1/26(日) 0:00

(C)2017 Tornasol Films, Carisco Producciones AIE, Kinology, Entre Chien et Loup, Ukbar Filmes, El Hombre Que Mato a Don Quijote A.I.E., Tornasol SLU

『未来世紀ブラジル』、『12モンキーズ』などの鬼才テリー・ギリアム監督が映画化を切望するも、主演俳優が腰痛や病に倒れたり、資金破綻と9回の頓挫を繰り返し、30年もの間製作が実現しなかったことで、“呪われた企画”とすら呼ばれたドン・キホーテ映画が、ついに劇場公開までこぎつけた。題して、『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』。

そんな映画企画に、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のアダム・ドライバー、『天才作家の妻 40年目の真実』のジョナサン・プライス、『007/慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコなど、このタイミングだからこそ選ばれた出演陣が集った。

主人公は、アダム・ドライバー演じる、仕事への情熱を失ったCM監督のトビー。彼はスペインの田舎で撮影中のある日、スペインの古典小説を題材に、学生時代に撮影して賞を獲った自作『ドン・キホーテを殺した男』を思い出す。

当時ロケ地となった村が近いことを知ったトビーはバイクを飛ばすが、その映画のせいで村の人々は変わり果てていた。ドン・キホーテを演じた靴職人の老人は、自分が本物の騎士だと、本当に信じ込み、清楚な少女だったアンジェリカは女優になると村を飛び出していたのだ。トビーのことを忠実な従者サンチョだと思い込んだ老人は、無理やりトビーを引き連れて、大冒険の旅へと出発する。

本作で描かれる、まさにドン・キホーテのような老人の妄想を通して描かれるのは、イマジネーションが持つ力だ。自分を騎士だと信じて突き進むその姿は、大勢の人々にとっては滑稽なものに違いない。だが、それを手放してしまった先には何があるというのか。苦しい現実の中、人間というものは多かれ少なかれ、どこかで創造力を持っていなければ生きていけないのではないか。

そんな本作の内容を見れば、30年もの年月を経て、本作を撮りあげたテリー・ギリアム監督の執念というのは、彼自身の熱い想いと、映画作りの哲学が濃く反映していたからだということが分かるのだ。

『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』
公開中

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