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《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》が明日開幕! オンライン開催の今年はドキュメンタリーが2本も!

ぴあ

《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》 (C)2020 SKIP CITY INTERNATIONAL D-Cinema FESTIVAL Committee.All rights reserved

世界に先駆け現在主流のデジタルシネマをクローズアップし、次代を担う若手映像クリエイターを発掘してきた《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》が26日開幕を迎える。17回目となる今年は、新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受け、メインの国際コンペティションと国内コンペティション(長編・短編)に絞ってオンライン配信での開催。通常開催とは違うが、若手映像作家を発掘し、世界の多様な映画を紹介してきた例年と同様に、国内外の新進映画作家たちの手掛けた新作映画を届ける!

まず、同映画祭のメイン・プログラムである国際コンペティション部門には、今年、過去最多の106の国・地域から883作品がエントリー。まさに厳正な審査を見事に勝ち抜いたといっていい、新進気鋭の映画作家の10作品が選出された。

ラインナップで注目すべきは、本映画祭では初となるドキュメンタリー映画が2本選出されたこと。ルイ・ウォレカン監督の『リル ・ バック/メンフィスの白鳥』は、スラム出身のダンサー、リル・バックの波乱の半生が語られ、もう1本のデンマークのボリス・B・ベアトラム監督による『戦場カメラマン ヤン ・ グラルップの記録』は、戦場に身を置き、リポートし続けるカメラマンの死と隣り合わせ毎日と家庭での素顔に迫る。趣はまったく異なるが、どちらもその人物の実像に肉薄した力作になっている。

このドキュメンタリー映画が2作選出されていることが象徴するように本映画祭の国際コンペの大きな特色になるのが、さまざまなジャンルの作品が顔を揃えること。ジャンル映画専門以外の国際コンペとなるとなかなか選出されないコメディやサスペンスといったエンターテインメント要素の強い作品が今年も選出されている。ロイ・アンダーソン監督にも通じるスウェーデンらしいシニカルなコメディが展開する、パトリック・エークルンド監督の『カムバック』、わけあり家族にちょっとした騒動が起きるフレンチ・コメディ『フェリチタ!』といったユーモアあふれる作品から、注目のドイツ人女性監督、カトリン・ゲッベによる心理ホラー『ペリカン・ブラッド』、死に直面した大人の男女の関係の行方を精緻にえがいた人間ドラマ『願い』など、娯楽性と芸術性を兼ね備えた多様な作品が並ぶ。

こうした海外の力作が居並ぶ中、日本映画で唯一ノミネートされたのは、串田壮史監督の『写真の女』。イギリスの大学で映像制作を学んだ串田監督は、2017年に発表した短編『声』が、世界90の映画祭を巡り、ブラックマリア映画祭最高賞など数々の賞を受賞。今回が初長編映画になるが、言葉よりも身体に特化した表現、周到なサウンドデザイン、こだわりの美術とロケーションなど、そのオリジナルな感性に驚かされる。

今回の選出について串田監督は「日本人だけではなく、ほかの国の人にも伝わる作品を常に目指している。ですから、国際コンペティションの場に選ばれたのは、とても光栄なこと。世界の映画が並ぶ中で、どのような評価をいただけるのか楽しみにしています」と語ってくれた。

一方、国内コンペティション部門に目を転じると、こちらもこれからの飛躍が期待される映画作家たちが名を連ねた。

長編部門には、『カメラを止めるな!』でブレイクしたしゅはまはるみと、実力派俳優の藤田健彦と長谷川朋史監督が立ち上げた制作グループ「ルネシネマ」の作品となる『あらののはて』、中濱宏介監督が大阪芸術大学映像学科の卒業制作として発表した心理サスペンス『B/B』、本映画祭の常連、磯部鉄平監督の昨年、SKIPシティアワードを受賞した『ミは未来のミ』に続く長編第2作『コーンフレーク』、東京を拠点に活動し、アニメーターとしての実績もあるインド出身のアンシュル・チョウハン監督の『コントラ』、瀬浪歌央監督の京都造形芸術大学(現京都芸術大学)映像学科の卒業制作作品となる『雨の方舟』の5作品が選出。

「長編初監督ではあるんですけど、若手とは到底いえない年齢で(笑)。若手の方の枠を奪ってしまった気がして、恐縮しているんですけど、貴重な場をいただけたと思っています。ひとりでも多くの方に観ていただいて、多くの感想をいただけたらうれしいです」(長谷川監督)

「何度も繰り返してみてほしい作品だったので、オンラインでの上映はある意味、僕にとっては望みが叶うところがあります。何度もみることで気づくことが隠されている映画なので、そういうリピーターがひとりでも出てくれたらうれしい。また、このコロナ禍でいっぱいプロットができたので、興味をもってくださるプロデュサーの方とかいたらぜひご連絡ください(笑)」(中濱監督)

「まさか3作連続で選出されるとは夢にも思っていなかったのでめっちゃうれしいです。この映画祭は僕をステップアップさせてくれた大切な映画祭。オンラインで会場での反応がわからないのは残念なんですけど、逆にこれまで映画祭に遠方でこれなかった人とかも見てくれるかもしれないことに期待しています」(磯部監督)

「これまで日本の映画祭にはあまり縁がなくて、僕の映画は日本では好まれないかなと思っていたので、今回選んでいただいたことをとてもうれしく思っています。どのようなレビューをいただけるのか楽しみです」(チョウハン監督)

「実際の劇場で観客のみなさんに会えないのは残念ですが、このご時世、オンラインでも自分の作品が人に届けられる場がもてたのはとてもありがたいこと。多くの人が自分の作品を観てくれるこの場を大切にしたいと思います」(瀬浪監督)

とそれぞれが映画祭に期待を寄せる。

もうひとつの短編部門は9作品がノミネート。こちらも、俳優としても監督としても活躍をみせる若葉竜也の『来夢来人』、占部房子と黒田大輔という実力派俳優が顔を揃えた宮部一通監督の『つぐない』など注目作が並ぶ。

『浅田家!』の公開が控える中野量太監督や『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督ら若い才能を見いだしてきた本映画祭。今年はオンライン配信での開催で日本全国のどこからでもアクセスできる。新たな才能に出会ってほしい!

取材・文・写真:水上賢治

<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020>
会期:2020年9月26日(土)~10月4日(日)
上映:オンライン上映(シネマディスカバリーズ)
※上映スケジュールや料金などの詳細は公式サイト(https://www.skipcity-dcf.jp/)にて

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