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いま、最高の一本に出会える

西田望見、尾崎由香、斉藤朱夏のソロアルバムリリースも 女性声優アーティスト5作をピックアップ

リアルサウンド

19/7/28(日) 8:00

 アニメ音楽や声優ソング周辺の新譜を紹介する本連載。今回は、女性声優アーティストによる注目作のリリースがここ数か月の間に集中しているので、その中から新人や若手に類する人たちの5作品をピックアップしました。

 最初に紹介するのは、『マクロスΔ』発の音楽ユニット=ワルキューレの一員として知られる西田望見のソロデビューミニアルバム『女の子はDejlig』。ワルキューレには、美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見の5人のメンバーがいますが、西田以外はすでに全員ソロデビュー済み。西田も今年2月に開催された音楽レーベルのフライングドッグ主催のライブイベント『フライングドッグ10周年記念LIVE -犬フェス!- LIVE VIEWING』にワルキューレとして出演した際にソロ活動の開始をサプライズ発表し、大いに注目を集めていました。

 それから約半年、ようやく届けられた今回のミニアルバムには、原田茂幸(Shiggy Jr.)が楽曲提供したPWL流儀の80’sユーロディスコ風ナンバー「フルスロットルで行こうぜ!」を筆頭に、スウィンギーな痛快ウキウキポップ「Bubble Balloon Museum」、キャラソン風の甘々な歌い口に思わずときめいてしまう「想像守護神キメキトイア」、分島花音のペンによるガーリー路線「doll」、ワルキューレのマキナ担当曲「おにゃの子☆girl」を制作したTeddyLoid製のEDM調ポップ「ロンリーロンリーシンギュラリティ」など、主役のキュートな歌声の魅力を最大限に引き出した全6曲を収録。そして面白いのは、その曲間に西田本人のリーディングによるボイストラックを挿入することで、作品全体をひとつの「物語」として形作っているところ。このリーディングパートのテキストは、ハロプロ関連作やアニメ『キラっと☆プリチャン』(テレビ東京系)などの仕事で知られる作詞家の児玉雨子が手がけており、乙女の複雑な心模様とその推移を瑞々しいセンスで表現しています。まさに女の子の「Dejlig(=デンマーク語で「素敵」の意味)」が詰まった一枚と言えるでしょう。

西田望見 デビューミニアルバム『女の子はDejlig(ダイリー)』より「フルスロットルで行こうぜ!」
西田望見 デビューミニアルバム「女の子はDejlig(ダイリー)」全曲試聴Movie

 続いては、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の七尾百合子役や『BanG Dream!』の弦巻こころ役で知られる伊藤美来の2ndアルバム『PopSkip』。同じく声優の豊田萌絵とともにPyxisというユニットでも活動しており、そちらでは2000年代以降のアイドルポップ的なかわいらしさを追求した作品の多い彼女ですが(最新シングル「恋せよみんな、ハイ!」は和楽器+電波ソングな名曲!)、ソロ活動では70年代のニューミュージックのテイストを感じさせる楽曲(「守りたいもののために」)や、60年代ガールズポップ〜モータウンの系譜に連なる古式ゆかしき黄金律ポップス(「恋はMovie」)など、より洗練されたムードのアーティスト性を志向。それらのシングル曲を含む本作は、『Night buzz』(2004年)などのシティポップ名盤を残すシンガーソングライターの高田みち子に楽曲提供を受けたリードトラック「Pearl」をはじめ、伊藤の透明感ある歌声と心地良いグルーヴが結びついたハイセンスな作品に仕上がっています。恋の胸騒ぎとワウギターがリンクするアーバンミッド「土曜のルール」、メロウな雰囲気が充満するスロウ「灯り」での憂いを帯びた表現も絶品。数年後に“隠れたシティポップ名盤”として再発見される前に、ぜひリアルタイムで聴いてほしい一枚です。

伊藤美来 / PEARL
伊藤美来 2ndアルバム『PopSkip』ダイジェスト試聴

 お次は、以前に本連載の『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、フランシュシュ……2019年期待の女性声優ユニット5選』で紹介した、飯野美紗子、岩淵桃音、片平美那、神戸光歩、鈴木陽斗実、田中有紀による6人組ユニットのNOW ON AIR。彼女たちによる待望の1stフルアルバム『RAINBOW’S BOX』は、再起への想いをエモーショナルに歌った傑作3rdシングル曲「わたし的Progress」に続き、自身もシンガーソングライターとして活躍する結城アイラがサウンドプロデュースを担当(先日発売された駒形友梨のミニアルバム『Indigo』も彼女とアップドリーム代表の山田公平がプロデュース)。NOW ON AIRの最大の武器である美麗なハーモニーを軸にしつつ、新たな出発と挑戦を虹色のサウンドで彩ったリード曲「RAINBOW’S HIGHWAY」、メンバーが2人もしくは3人に分かれてそれぞれの個性を表現した本人作詞曲(特に神戸作詞のバラード「星影の在り処」がメンバー愛に溢れすぎてて泣ける!)など、デビュー当初の清廉な持ち味を残しつつ、一気に音楽性を広げた名品になりました。アグレッシブなロックサウンドに力強いハーモニーを乗せた「瞳の勇気」では、いわゆるアニソン的な熱い歌唱もできることを証明。さらに現在放送中のTVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』(AT-X、TOKYO MXほか)で挿入歌を歌うことも決定しており、今後のさらなる活躍への期待が広がるところです。

NOW ON AIR 「RAINBOW’S HIGHWAY」Music Video(YouTube Ver.)

 そしてTVアニメ『けものフレンズ』(テレビ東京系)サーバル役などで知られる尾崎由香も、いよいよ1stソロアルバム『MIXED』をリリース。子どものような純真さを感じさせるその声質から“おざぴゅあ”の愛称で知られる彼女ですが、本作ではそのチャームポイントを前面に出しつつ、豪華作家陣による多彩な楽曲を歌うことで、シンガーとしてのより多面的な魅力を打ち出すことに成功しています。 TOKOTOKO(西沢さんP)が手がけ、ピュアなイメージを逆に利用した小悪魔ぶりが最高すぎる「ピュアで小悪魔」、北川勝利(ROUND TABLE)提供のキラキラ疾走チューン「Smile! Smile! Smile!」、ゆるふわ調のラップパートを盛り込んだ西寺郷太(NONA REEVES)製のエレポップ「恋のマメチシキ」、ミト(クラムボン)が主役のエモい部分を引き出したロック「(you gave me…)My Brave Story」、野崎良太(Jazztronik)のブロークンビーツ的な手法が最良の形でポップスに落とし込まれた「ice cream」など、とにかくどの楽曲もユニークかつ高水準。そこに尾崎の特徴的な可憐な歌声が合わさることで、ワン&オンリーなガールポップ集に昇華した名盤と言えるでしょう。

尾崎由香 -1st Solo Album「MIXED」全曲試聴クロスフェードMOVIE

 最後は『ラブライブ!サンシャイン!!』の渡辺曜役およびAqoursのメンバーとして知られる斉藤朱夏のデビューミニアルバム『くつひも』。本作では、過去の連載でも再三紹介している(『新田目翔、ハヤシケイ、タナカ零、sajou no hana…2018年夏クール注目のアニソン作家4名』)注目のクリエイター・ハヤシケイが全曲の作詞および6曲中5曲の作曲を担当。彼が斉藤との対話を重ね、彼女の考え方や人となりなどを知ったうえで、それらを楽曲に落とし込んでいるとのことです。現時点で公開されているのは、ハヤシが作詞・作曲、PENGUIN RESEARCHの堀江晶太が編曲を手がけた「あと1メートル」のみですが、そこで描かれている〈君〉との繊細な距離感、誰かを想う心の大切さは、青春を生きるすべての人の気持ちに刺さるであろうもの。ストリングスを交えた爽やかな曲調、斉藤の感情豊かなボーカルを含め、普遍的な魅力を湛えた楽曲になっています。きっとミニアルバムも、等身大の彼女を感じ取れる作品になるのではないでしょうか。

 なお、Aqoursからは先に逢田梨香子が1st EP『Principal』でソロデビュー。さらに高槻かなこが声優の礒部花凜らとともにボーカル&パフォーマンスユニットのBlooDyeを結成、伊波杏樹もファンクラブサイト限定で初のオリジナル楽曲入りCDのリリースを控えるなど、各自による音楽活動が本格化しています。元々はソロシンガーとして活動していた小林愛香、『第7回全日本アニソングランプリ』のファイナリストでアニソンシンガーを目指して業界入りした鈴木愛奈といったメンバーもいるだけに、他のメンバーの動きにも期待したいところです。

斉藤朱夏 『くつひも』 -Music Video-
斉藤朱夏 『あと1メートル』 -Music Video-

■北野 創
音楽ライター。『bounce』編集部を経て、現在はフリーで活動しています。『bounce』『リスアニ!』『音楽ナタリー』などに寄稿。

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