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登坂広臣、ØMIとして表現する二面性 楽曲から浮かび上がる新たな“問い”

リアルサウンド

21/3/26(金) 6:00

 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(以下、三代目JSB)のボーカル 登坂広臣のソロ名義「ØMI」によるEP作品『ANSWER…SHADOW』が5月12日にリリース&全世界へ向けてデジタル配信される。また、EPの発売に先行してデジタルシングルの3カ月連続リリースも決定。2月20日に「ANSWER… SHADOW」、3月12日には「Can You See The Light」がリリースされ、それぞれMVも公開された。

 EPのリード曲である第1弾シングル「ANSWER…SHADOW」は、深いリバーブ(残響)に沈み込むような音像のチルトラップという、三代目JSBはもちろんソロでもかつてなかった類の楽曲である。幻想的かつ虚無的でどこか物悲しさのあるサウンドの中で、登坂の妖艶な歌声が浮き立ってくるような印象があり、三代目JSB「R.Y.U.S.E.I.」などでも特徴的だった彼の深い呼吸を感じさせる歌い回しやファルセットが深海で発光するかのように柔らかく鳴ることで、心地良い陶酔感を誘う。歌声の魅力をじっくりと味わえる1曲とも言える。

 続く第2弾シングル「Can You See The Light」は一転し、オリエンタルなムードの中でダンサブルなビートが高揚を与えるディープハウス調の1曲だ。なお、この2曲は地続きの世界観を共有していることが各MVの中で明確に描写されており、深く仄暗い「ANSWER…SHADOW」の精神世界から浮上し、ジリジリと燃え上がる情熱に心身を焦がしていく「Can You See The Light」ーーというようなストーリーも垣間見ることができる。

 そもそも、このEP『ANSWER…SHADOW』は登坂本人のコメントにもある通り、昨年1月にリリースされたアルバム『Who Are You?』のテーマであった“自分は何者なのか”という問いから約1年を経て辿り着いた解にあたる作品であるため、前作の内容も含めた1つの大きなテーマ性を有していると思われる。4月にリリースされる第3弾シングルの詳細はまだ明らかになっていないが、先に解禁された2曲と通底した何らかの世界観を持った楽曲である可能性は高いだろう。

登坂広臣、ソロ名義新曲MVで「希望」を表現(MV CanYouSeeTheLight/OMI 登坂広臣)

 では、その“1つの大きなテーマ性”とは何か。少なくとも現時点の先行シングル2作において強調されているのは、登坂のソロ活動における象徴的モチーフである「月」の光と影というメタファーを起点に、様々な事象を連ねて表されている“表裏一体の二面性”だ。

 「ANSWER…SHADOW」と「Can You See The Light」の2作は趣こそ異なるものの、内包する思想やメッセージは概ね共通している。たとえば前者で聖書の“禁断の果実”をモチーフとした表現を絡め、後者で〈穢れていく心と身体は/綺麗なままじゃいられないのさ〉と歌われる点などは「“生きること”とは“罪や穢れを引き受けること”である」と解釈できる。その他にも〈愛〉と〈痛み〉、〈偽りと真実〉、〈闇〉と〈一筋の光〉などの表現は全編を通して登場するほか、「ANSWER…SHADOW」のサビ〈光の影〉などはまさしく「光があることで影が生まれる」という表裏一体性そのものを表したフレーズにもなっている。

 そして「ANSWER…SHADOW」の〈愛してるのは誰?/俺のこの影?/君が照らすほどに濃くなるんだ〉から続く詞の中で、今作の表裏一体性の表現と前作『Who Are You?』における“問い”が掛け合わさっていく。そこから「愛の根源や存在の本質とは“光”と“影”のどちらの部分にあるのか?」という“問い”がまた新たに提示されるのだ。

ØMI – ANSWER… SHADOW (Official Music Video)

 ただし同曲でも繰り返し歌われているように、これは〈答えのない〉問いだ。一度だけ、他者からの愛が注がれた瞬間を指して〈答えはここに〉と歌う一節があるが、それも確信というよりは儚い祈りのように感じられる。そういったソリッドな視点は「Can You See The Light」においてもまた同様で、力強い覚悟を示す言葉が躍る中で〈終わりの始まりかもしれない〉という、およそLDHのパブリックイメージからは結び付かないような絶望を覗かせるフレーズが印象的に歌われる。

ØMI – Can You See The Light (Official Music Video)

 ただ、昨年にも「LDHが太陽であれば、僕は月という、相反するエンタテインメントが、同じLDHという大きな傘の中に存在して、全く全然違う毛色のアーティストがいてもおもしろいんじゃないかなと僕は思っています」(※1)と語られていた通り、これらのリリース自体がまさしく“表裏一体の二面性”の表現にもなり得ているのだ。そこもまた、彼のソロ作品の魅力と面白さである。

 ここまで記した通り、すでに語られるべき魅力の多い作品ではあるが、何よりもこの“問い”に対する意志や希望を見出す祈りのような思いは、最終的に何処へと辿り着くのか。EPの発売を心待ちにし、いち受け手としての“答え”を見つけていきたいと思う。

※1:https://realsound.jp/2020/02/post-503883_2.html

■日高 愛
1989年生まれの会社員。

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