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「ヘカテ」リマスター版の予告公開、王谷晶やVIDEOTAPEMUSICがコメント

ナタリー

21/4/22(木) 18:00

「ヘカテ デジタル・リマスター版」ポスタービジュアル

「ヘカテ デジタル・リマスター版」の予告編がYouTubeで公開された。

監督を務めたダニエル・シュミットの生誕80周年を記念してリバイバル上映される本作。北アフリカに赴任した外交官ジュリアンと、彼が狂ったように愛した人妻クロチルドの関係が描かれる。ジュリアンをベルナール・ジロドー、クロチルドをローレン・ハットンが演じた。

映像にはジュリアンがクロチルドと逢瀬を重ねるシーンや、「逃げるのか」と彼女に尋ねる様子が収録されている。また、このたび作家の王谷晶、文筆家の鈴木涼美、ミュージシャン / 映像作家のVIDEOTAPEMUSICよりコメントが到着。王谷は「混沌とした暴力の海の上で、圧倒的な美が踊る。人間の理性も道徳も剥ぎ取る勢いで美が迫ってくる。それに一瞬でも惹かれてしまったら、私もあなたもこの不埒な映画の共犯者だ」とつづっている。ほか2名のコメントは下記の通り。

「ヘカテ デジタル・リマスター版」は明日4月23日より、東京のBunkamura ル・シネマほか全国で順次公開される。

王谷晶(作家)コメント

全ての瞬間、全ての台詞が気絶しそうに美しい。そしてこの美しさは、全て暴力から生まれている。男の暴力、女の暴力、恋の暴力、戦争、宗教、植民地……。混沌とした暴力の海の上で、圧倒的な美が踊る。人間の理性も道徳も剥ぎ取る勢いで美が迫ってくる。それに一瞬でも惹かれてしまったら、私もあなたもこの不埒な映画の共犯者だ。

鈴木涼美(文筆家)コメント

愛というのか恋というのか、あるいは情欲と呼ばれるようなものなのか、自分でコントロールできない心の揺れや痛みがなければ、人生はもっとずっと単純だったのだろうと思った。単純で、安全で、石でできた街並みもそこに差し込む光も、耳に残る音楽もディオールのスーツも、こんな風に煌めくことはなく、退屈なものだったのだろう。痛みが押し寄せた後の、街並みの隙間を埋める空がものすごく綺麗だった。

VIDEOTAPEMUSIC(ミュージシャン / 映像作家)コメント

まったく混ざり合うことなく交互に鳴らされるカルロス・ダレッシオによるエレガントな音楽と北アフリカの伝統的な音楽。
青い月あかりと狂おしい不協和音。異国の地で堕ちてゆく主人公を包む最高のバックグラウンドミュージック。
「ここは地の果て、退屈だよ」、冒頭で主人公に告げられるセリフが呪いの様にこだまする。

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