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「家族ゲーム」「マルサの女」撮影の前田米造が死去、手がけた日活ロマンポルノは76本

ナタリー

「濡れた欲情・ひらけ!チューリップ」撮影現場より。左からプロデューサーの三浦朗、監督の神代辰巳、撮影を務めた前田米造。(c)日活

「家族ゲーム」「マルサの女」などで知られる映画カメラマンの前田米造が、7月6日に誤嚥性肺炎のため東京都内の病院で死去。85歳だった。本日7月13日、日活が報道陣に向けて発表した。

1935年10月23日生まれ、東京都出身の前田。1954年に撮影助手として日活撮影所に入社したのち、1972年に西村昭五郎の「たそがれの情事」でカメラマンデビューを果たす。日活がロマンポルノ路線を展開した1970年代から1980年代にかけて数々の作品に撮影として参加。その数は「赫い髪の女」「天使のはらわた 赤い淫画」「犯され志願」「キャバレー日記」など計76本に及ぶ。小原宏裕、池田敏春、加藤彰、神代辰巳、小沼勝、曾根中生、田中登、中原俊、根岸吉太郎、長谷部安春、藤田敏八ら多くの監督たちとタッグを組んだ。

1982年にフリーとなって以降も数々の作品で活躍。森田芳光とは1983年公開の「家族ゲーム」で初めて組んで以来、「ときめきに死す」「そろばんずく」「おいしい結婚」などでタッグを組む。1986年の夏目漱石原作「それから」では毎日映画コンクール撮影賞および日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞した。また「家族ゲーム」に俳優として出演していた伊丹十三の監督デビュー作「お葬式」にも参加。伊丹とは以降も「マルサの女」「大病人」「スーパーの女」など計8作で組んでいる。

1991年には角川春樹の監督作「天と地と」で日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞、2007年には芸術文化に対する多大なる貢献を讃えられ旭日小綬章を受章。ほか主な撮影作品に池田の「人魚伝説」、黒沢清の「スウィートホーム」、和田誠の「怖がる人々」、鈴木清順の「ピストルオペラ」「オペレッタ狸御殿」など。遺作は2013年公開の「ひまわり~沖縄は忘れないあの日の空を~」となった。2021年には映画界への長年にわたる貢献と実績をたたえられ、日本アカデミー賞会長功労賞を贈られている。

日活は前田の訃報を受け「生前の偉大なご功績に深い感謝の意と尊敬の念をもって、謹んで哀悼の意を表します」とコメントを発表。葬儀・告別式は、前田の遺志により近親者にて執り行われた。

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