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BURNOUT SYNDROMES、アニメとの絶妙な距離感を保つ主題歌の数々 コンセプトベストは入門編としても楽しめる作品に

リアルサウンド

20/4/3(金) 12:00

 アニメ主題歌を多数手掛けるバンドは少なくないが、バンドのコアな部分とアニメ作品が強く結びついている、というラインにまで絞っていくと、そこで名前が挙げたくなるバンドは限定されていくように思う。そういった中で、ぜひ名前を出したいバンドが、BURNOUT SYNDROMES(バーンアウトシンドロームズ)である。

 メジャーデビュー曲である「FLY HIGH!!」は人気アニメ『ハイキュー!!』のオープニングテーマに起用された。以降、BURNOUT SYNDROMESは「ヒカリアレ」や「PHOENIX」で『ハイキュー!!』シリーズの主題歌を3期連続担当することになり、切っても切り離せない関係となっていく。そこで、アニメ主題歌や、新曲「Dream On!!」(『ハイキュー!!』公式トリビュートソング)、「白線渡り」も収録したコンセプトベストアルバム『BURNOUT SYNDROMEZ』発売を機に、彼らは『ハイキュー!!』をはじめとするアニメ作品とどう向き合い、楽曲を作ってきたのかを改めて考えてみたい。

BURNOUT SYNDROMES 『FLY HIGH!!』 Music Video TVアニメ「ハイキュー!! セカンドシーズン」第2クールオープニング・テーマ

 アニメ主題歌として大切なものは「メロディ展開」「尺」そして、「世界観」だろう。当然、オープニングとして起用される場合、実際のオンエアで流れる尺は決まっているから、その枠にハマるようにしなければいけない。さらに全体の尺の中で、アニメタイアップならではの盛り上がるような展開を作る必要があるわけだ。そういう意味で「FLY HIGH!!」は比較的教科書的な流れがある。冒頭はしっとりとしたサビ→キャッチーなイントロ→高低差の少ないAメロ→Aメロとサビを繋ぐ高低さのあるBメロ→勢いをつけた明るいサビ、といった流れになっている。こうしたフォーマットは、“アニメ主題歌であること”を意識した楽曲で散見される要素である。例えば『NARUTO -ナルト-』のアニメ主題歌であるFLOW「GO!!!」はほとんど上記の要素を備えた進行になっている。あるいは、『鋼の錬金術師』オープニング曲のポルノグラフィティ「メリッサ」、『夜桜四重奏 〜ハナノウタ〜』のオープニング曲となったUNISON SQUARE GARDENの「桜のあと(all quartets lead to the?)」などでも、似たような展開を見ることができる。

FLOW 『GO!!! ~15th Anniversary ver.~』(Music Video Full Ver. コメント入り)
ポルノグラフィティ 『メリッサ(short ver.)』 / Porno Graffitti 『Melissa(Short Ver.)』
UNISON SQUARE GARDEN「桜のあと(all quartets lead to the?)」ショートVer.

 ただし、BURNOUT SYNDROMESの場合、単なるアニメ主題歌としてのツボを抑えた楽曲以上の魅力があって、それは「世界観」という言葉に集約されていく。彼らのデビュー曲がアニメ主題歌だったということも大きいのだろうが、“自分たちのことを知らない人が聴く”という前提のもと、アニメの持つ世界観と自分たちの楽曲の世界観に統一感を作り、楽曲がバンドとアニメとの架け橋になるような視点で言葉が紡がれているように感じるのだ。

 アニメの物語を踏襲した歌詞を書いていくことがベースにはなるのだろうが、単純に作品のシーンを切り取った言葉を紡ぐのではなく、アニメのどういった要素を歌詞で汲み取り、それをどういった言葉で表現するのかという点に腐心が見られるのである。例えば、「FLY HIGH!!」の〈FLY〉というワードや、〈飛べ〉という歌詞はバレーボール部を舞台にした『ハイキュー!!』の主題歌だからこそのフレーズであると言えるが、歌詞全体をみていくとそれ以上に寄せた言葉は使わないといった、絶妙な距離感を感じさせるのである。アニメ主題歌であることは意識しつつも、作品の外側にも波及するようなバランスで着地する絶妙さが、BURNOUT SYNDROMESの楽曲にはあるのだ。もちろんそれは、新曲「Dream On!!」でも同様で、〈羽が無くとも飛べるさ〉といった歌詞からは『ハイキュー!!』の世界観を彷彿とさせるものの、ストレートな言葉は使われていない。

「Dream On!!」

 もともと、彼らの楽曲は文学的と称されることが多く、言葉の選び方に定評があったわけだ。だからこそ、アニメの世界観をきちんと言葉で捉え、キャラクターのセリフや物語もきちんと言葉に落とし込んだうえで、言葉を解体し、組み直していくようなアプローチを成立させることができたのだと思う。こういう向き合い方こそが、BURNOUT SYNDROMESの1つの大きな個性であり、バンドが持つ作家性と繋がっているように感じる。また、一度対象を解体したうえで世界観をつくりあげていくからこそ、アニメ主題歌ではない曲でも、そうした楽曲が持つ良いエッセンス(言葉の強さや、メロディの展開など)を吸収し、広く一般のリスナーにも訴求できる作品をリリースすることができているのかもしれない。『BURNOUT SYNDROMEZ』を聴くと、改めてそのことを実感するのである。

 BURNOUT SYNDROMESは自身のコアな部分が、漫画やアニメに強く結びついているように思う。その理由は、彼らが世界観を大事にして言葉を紡いできたバンドだからだと思うし、他のバンドとは違う向き合い方でアニメ主題歌を作り上げてきたからなのではないだろうか。

 この時期にぴったりの卒業ソングとも、別れの歌とも捉えられる(実は熊谷和海(Vo/Gt)が自分を育ててくれた“漫画”への感謝を込めて書いたという)バラード曲「白線渡り」も収録された今作は、アニメファンに刺さる作品であると同時に、BURNOUT SYNDROMESというバンドの“入門編”とも言えるものになっている。アニメと合わせて聴いても良いし、楽曲そのものを楽しむこともできる。それは、彼らの楽曲が作品と絶妙な距離感を保っているからに他ならない。

「白線渡り」

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

■リリース情報
アニメコンセプトBEST ALBUM『BURNOUT SYNDROMEZ』
好評発売中
CD & Download & Streamingはこちら 
アルバムダイジェスト映像はこちら
 
初回生産限定盤(CD+BD+コミック)¥4,200+tax
通常盤(CD)¥2,500+tax 

<収録内容<
DISC1【CD】※初回盤・通常盤共通

1.FLY HIGH!! TVアニメ「ハイキュー!!セカンドシーズン」第2クールオープニングテーマ
2.ヒカリアレ TVアニメ「ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校」オープニングテーマ
3.PHOENIX TVアニメ「ハイキュー!! TO THE TOP」オープニングテーマ
4.Dream On!! TVアニメ「ハイキュー!!」トリビュートソング
5.Good Morning World! TVアニメ「Dr.STONE」第1クールオープニングテーマ
6.花一匁 TVアニメ「銀魂」銀ノ魂篇エンディングテーマ
7.ハイスコアガール 漫画「ハイスコアガール」トリビュートソング
8.ナミタチヌ 第1・2回全国高校eスポーツ選手権応援ソング
9.吾輩は猫である 漫画「くるねこ」コラボレーションMV制作
10.白線渡り 熊谷和海が「自分を育ててくれたもの=漫画」への感謝の気持ちを込めて制作
11.数學少女Z BURNOUT SYNDROMEZテーマソング

<Bonus Track>
12.FLY HIGH!! -Spring Version-

DISC2【Blu-ray】※初回盤のみ
Music Video
1.FLY HIGH!!   
2.ヒカリアレ  
3.ハイスコアガール
4.花一匁 
5.吾輩は猫である
6.ナミタチヌ  
7.Good Morning World!   
8.PHOENIX  

Live Movie
全国ワンマンツアー2019「明星~We have a dream~」@恵比寿LIQUIDROOM 2019.3.23
1.あゝ
2.SPEECH
3.花一匁
4.FLY HIGH!!
5.ヒカリアレ
6.ナミタチヌ
+メンバーによるLIVE解説オーディオコメンタリー

付属コミック ※初回盤のみ
BURNOUT SYNDROMEZが主人公になった架空の冒険ストーリーの描き下ろしオリジナルコミック

■ライブ情報
『BURNOUT SYNDROMES「全国ワンマンツアー2021」』
2月6日(土)@福岡・BEAT STATION 
2月7日(日)@広島・LIVE VANQUISH 
2月13日(土)@愛知・DIAMOND HALL
2月14日(日)@大阪・なんばHatch
2月20日(土)@仙台・RENSA 
2月21日(日)@新潟・NEXS 
2月28日(日)@東京・EX THEATER ROPPONGI
*全会場:開場16:00 / 開演17:00

チケット代
1Fスタンディング:¥4,800(税込)
2F指定席:¥5,300(税込)*大阪・東京のみ
※ドリンク代別途必要
※2歳以下入場不可/3歳以上チケット必要
※未就学児は保護者1名につき1名まで入場可能(お子様もチケットは必要)
チケットに関してはオフィシャルHPにて。

■プロフィール
熊谷和海(Gt&Vo)、石川大裕(Ba&Cho)、廣瀬拓哉(Dr&Cho)
大阪発、青春文學ロックバンド。2005 年結成。
日本語の響き、美しさを大切にした文學的な歌詞やヴォーカル、その世界を彩る緻密に計算されたアレンジ。スリーピースの限界に常に挑戦しているバンド。2010年、TOKYO FM 「SCHOOL OF LOCK!」主催イベント「閃光ライオット」に出演し、準グランプリを獲得。結成10周年となる2016年3月、EPICレコードジャパンからシングル「FLY HIGH!!」でメジャーデビュー。最新シングル「PHOENIX」は2020年2月12日発売。

■BURNOUT SYNDROMES関連リンク
公式サイト
公式YouTube
公式Twitter
公式Instagram
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