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miletがドラマ主題歌で輝く理由 『偽装不倫』でも生まれる主人公との“共鳴”

リアルサウンド

19/8/21(水) 7:00

 新進気鋭のシンガーソングライター、miletが、現在放映中の『偽装不倫』(日本テレビ系・水曜よる10時〜)に主題歌「us」を提供している。ドラマは東村アキコの同名漫画を原作に、32歳独身の派遣社員・鐘子が、ひょんなことから出会った年下のイケメンカメラマンに既婚者だと嘘をついたことから始まる異色のラブストーリー。結婚してもいないのに“不倫”を演じることになってしまう鐘子を杏が、彼女に惹かれ、不倫を申し込む青年・丈に宮沢氷魚が扮し、こじれまくった大人の恋がコミカルに描かれる。

 物語のためにmiletが書き下ろしたという「us」は、彼女の持ち味でもある特徴的な歌声を全面にフィーチャーしつつ、打ち込みとストリングスが絡み合う切なげなサウンドメイクがなされたラブソングだ。本人曰く「こんなストレートな恋の歌を歌ったのははじめて」だそうで、ある意味チャレンジングな1曲とも言えるだろう。

 2018年より本格的に音楽活動を始めたmilet。デビュー前より「イヴ・サンローラン」が主催するグローバルイベントの東京会場でライブを行うなど業界内での注目度は高く、ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』の主題歌でもあったデビュー曲「inside you」は、iTunesなど11の人気音楽配信サイトで1位を記録。続く2nd EP『Wonderland EP』もiTunesアルバムチャートにて1位に輝き、「レコチョク上半期ランキング」では新人編で1位を獲得するなど、シーンでの存在を強めてきた。シーアやアヴリル・ラヴィーンら世界レベルのアーティストを彷彿させるハスキーかつ重厚感のある歌声は、表現力に富み、まるで聴き手の前に新たな世界を提示してくれるかのよう。では、なぜそんな強烈な個性を放つ楽曲が主題歌として“浮く”ことなくドラマに寄り添えるのか。

 スキャンダルや社会的トラブルを抱えるクライアントを情報操作や人心掌握術を駆使して救っていく “スピンドクター”を主人公にした『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』、動画配信チャンネルを使い、煌びやかな街の裏側に潜む闇をあぶり出そうとする『JOKER×FACE』、そして今回の『偽装不倫』と、miletが手がけるドラマ主題歌の主人公はいずれも女性だ。加えてそれぞれが、女性ゆえの生きにくさや社会との軋轢を感じながら、大きな力に抗おうと立ち上がる姿を描いている。一方、miletが楽曲のテーマに据えるのも、圧倒的な孤独や分かり合えない哀しさ、そしてその奥に潜む意志の強さだ。もがき苦しみながら一筋の光をつかもうと手を伸ばすようなヒロイン像と、miletの歌詞世界に投影された人物は不思議とリンクする。

 『偽装不倫』の主演を務める杏は、「私演じる主人公”鐘子”の相手を好きな気持ち、恋に対するためらいや切なさが歌詞の中に散りばめられているな、と感じました」と語るが、「us」でmiletが歌ったのはまさに鐘子の心情そのものだった。〈好きだと言ってしまえば 何かが変わるかな 約束なんていらないから 抱きしめてよ〉には、本心を伝えられないもどかしさが、〈想いを伝えたら I want you 消えてしまうかな Will you stay?〉には、たった一言で恋が終わってしまうかもしれないという怖さが見え隠れしてただただ切ない。ドラマ主題歌の多くは、物語のテーマを代弁し、作品に確かな輪郭を与える役割を持つが、miletの手がける楽曲にはそれだけではない、主人公との深い絆すら感じられる。一瞬耳を掠めただけで聞き手を夢中にする声はもちろん、この“共鳴”こそ、miletがドラマ主題歌で輝く理由かもしれない。

milet「us」MUSIC VIDEO(先行配信中!日本テレビ系水曜ドラマ『偽装不倫』主題歌)

 今週7話が放映される『偽装不倫』は、いよいよ核心へ。丈から告白され指輪をもらった鐘子だが、彼の本心がわからず思い悩む一方、姉・葉子(仲間由紀恵)の不倫もバレそうになり、あわや修羅場!?と、ハラハラするような展開が待ち受けるという。鐘子と丈の心が惹かれ合うほど、「us」が切実に響いてくる点にも注目しながら、嘘から生まれた本物の恋の行方を見守りたい。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

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