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花澤香菜、太宰治の文学散歩した大学時代を語る 「好きだった作品に関わることができて嬉しい」

リアルサウンド

19/11/2(土) 21:50

 劇場アニメーション『HUMAN LOST 人間失格』の完成披露上映会と舞台挨拶が11月2日、第32回東京国際映画祭にて行われ、声優の花澤香菜、木崎文智監督、作家の冲方丁氏が登壇した。

【写真】『HUMAN LOST 人間失格』新キービジュアル

 同作は太宰治『人間失格』を屈指のクリエイター陣が再構築したオリジナルアニメーション映画。舞台は医療革命により死を克服した昭和111年の東京。人々は体内のナノマシンをネットワーク管理する究極の社会システム“S.H.E.L.L.”(シェル)体制によって生かされていた。

 舞台挨拶に登壇した花澤は、主人公の大庭葉蔵(CV.宮野真守)を救う柊美子役を務める。花澤は、大学時代に太宰治が好きな友人と文学散歩をしたと言い、「もともと好きだった作品に関わることができて嬉しい」と感無量の表情。古典文学とSFアクションの融合にチャレンジした木崎監督は「一筋縄ではいかないだろうと思ったのですが、冲方さんが参加されると知って『なんとかなるんじゃないか』と」。苦労したことをたずねられると「相当(あった)」と笑顔で返した。

 ストーリー原案・脚本を担当したのは『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞をはじめ数々の賞を受賞した冲方氏。ストーリー作りのプロセスを「ブレイクスルーが2か所あって、『人間失格』というタイトルを人間全体が失格した世界と解釈したことがSFになるきっかけになった」と語った。死生観がカギを握る同作で「死がない世界を描くことで逆に死が浮かび上がるようなストーリーにしよう」と考えたことが独自の世界観に結びついた。

 花澤は本作の見どころについて「老人たちの怖さ」と答える。すべての人間が120歳まで寿命を保証された社会で「私がおばあちゃんになったらこうなりたくない」と思わず感じてしまうリアリティを挙げた。木崎監督は「日本なんですけど、外国人が見た日本のような、ちょっとおかしな感じをあえて出している」と作画上の工夫を明かした。本作では、『AKIRA』や『ブレードランナー』など名作へのオマージュも随所に散りばめられている。冲方氏は「死がない世界で、廃寺から霊柩車を引っ張ってきて自分たちの葬式をするんですが、あの気違いじみたシーンができたことで『これは行ける』と確信しました」と自信を覗かせた。

 この日は新たにキービジュアルも公開。「ダークヒーローものというコンセプト」(木崎監督)を打ち出したビジュアルはポリゴン・ピクチュアズによるもの。古典文学をベースに死生観を問い直す『HUMAN LOST 人間失格』は11月29日から全国公開される。

※大庭葉蔵の「ぞう」は旧字体が正式表記。
※木崎文智の「崎」は「たつさき」が正式表記。

(取材・文=石河コウヘイ)

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