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超特急、8号車との固い絆とともに締めくくった2020年 オンラインライブ『Superstar』を振り返って

リアルサウンド

21/1/5(火) 20:00

 5人組ダンス&ボーカルグループの超特急が、グループ史上最大スケールとなるオンラインライブ『BULLET TRAIN ONLINE SPECIAL LIVE 2020『Superstar』』を12月25日・26日・27日の3日間にわたって開催した。最新シングル『Asayake』のインタビューで「日替わりなんてレベルじゃない」と語っていたとおり(参考)、メンバー自身のプロデュースによって3日間まったく異なる内容のライブを展開。彼らを応援している“8号車”への愛はもちろん、不要不急とされてきたエンターテインメントの意義や、コロナ禍にあっても進化し続けてきた超特急というグループの底力をも感じさせる“スペシャルライブ”を完遂した。

 初日の「テーマパーク」、2日目の「超特急のキズナ物語」に続く最終日のテーマはなんと「COOL & SEXY」。メンバーカラーを配したゴージャスなスーツを着こなした5人が黒塗りのリムジンに乗り込むと、セクシーな表情で視線を向けながら「Fantasista」のビートに身を委ねる。車を降りて踊り始めた5人のパフォーマンスはさらなる色気を振りまいていて、一瞬で日常というカテゴリーから拐われたような感覚に陥った。

 「『Superstar』最終公演、2020年最後のライブ、皆さん最高に盛り上がっていきましょう!」

 リーダー・リョウガの言葉を合図に、5人は「Hey Hey Hey」のファンキーなグルーブに合わせてレッドカーペットを進んでいく。狭い通路と低い天井は黒と赤で彩られ、奥行きを生かしたカメラワークも美しい。なるほどこれも、通常のライブでは見られない配信ならではの“ステージ”だ。曲の後半、開け放たれた扉から眩い光が差し込んできた。日本中で見守っている8号車の声援に包まれ、スポットライトを浴びながら巨大な会場に現れた5人を追うカメラ。これぞスーパースター、熱狂するオーディエンスの姿まで目に見えるようだ。煌びやかなホーンセクションから、ゆっくりとハットを飛ばして「On&On」へ。〈生きてる証をこの世界に刻みこめ〉というタカシの力強い歌声が、真っ直ぐ胸に届いた。

 短いMCを挟み、ジャケットを脱いだ5人は大人の魅力を全開にしながら「Full moon」、そして「Fashion」の世界観を表現。一転して「DJ Dominator」では、巨大なビジョンに映し出される5人の姿が画面にさらなる躍動感をプラスし、ライブ会場にいるような迫力を感じ取ることができた。

 次のゾーンでは、昨年秋に5週連続で配信リリースされた楽曲を立て続けに披露。フルでのソロパフォーマンスは結成以来初めてということだが、演出などもメンバー自身のアイデアが軸となっているということで、それぞれの個性が色濃く反映されたものに仕上がっていた。赤碧玉(レッドジャスパー)色のマントをなびかせながら砂漠を歩く映像から、エレクトロな音と光の渦の中に現れキレのあるパフォーマンスを披露したユーキの「Jasper」。カイは既発曲「Before Dawn」を使った映像で幸せだった頃の時間を描き、ステージではその後の苦悶する心情を表現。水を張ったステージでコンテンポラリーなダンスを披露し、「Never Mine」の世界観を見事に作り上げていた。金網に鎖、炎にスモークといったワイルドなアイテムで「凱歌」を演出したのはタクヤ。感情をあらわにした生々しい叫び声を上げ、狂気と紙一重のような覚悟と意志を浮かべた瞳で見る者を圧倒していた。ゲームに没頭し、ワームホールに迷い込んだような映像が導いたのはリョウガの「So Crazy」。レーザー光線を操るようなパフォーマンスで、会場の広さを存分に生かした演出だ。左右の色の違いで二面性を表現した衣装も印象的だった。最後の「My Answer」は、草原に寝転び笑顔で青空を見上げるタカシの映像から。前向きな心で進んで行こうぜと歌いかけるタカシのソロパートから、ダンサー4人によるラップ部分を経て5人が集結。ライダース型のジャンプスーツに身を包んだ5人は正義の戦隊ヒーローのようでもあり、こんな時代だからこそエンターテインメントの力で、音楽の力でみんなの心を守り抜く、そんなメッセージを発しているようにも思えた。

 ポジティブな空気はそのままに、ライブ感たっぷりの「What’s up!?」へ突入。〈Hey!〉のコール&レスポンスも違和感などまったくなく、無観客の配信ライブであることを忘れさせるどころか、メンバーには画面の向こうにいる8号車が見えているとしか思えないような臨場感でグイグイと盛り上げていく。「大丈夫」と繰り返しエールを送りながら、〈ニッポンの未来に幸あれ〉と高らかに歌う5人を全力で信じたくなるような1曲だった。

 MCではこの日のテーマである「COOL & SEXY」の話題から、ライブの総合演出を手掛けたユーキいわく「メンバーそれぞれの個性に感動した」というソロコーナーや、3日目の衣装を全面プロデュースしたタカシの“ダークホース”ぶりにも言及。最初のスーツに施された刺繍には前向きな花言葉を持つ花がちりばめられていることや、どの衣装にも超特急として、Superstarとしてこれから明るい未来に向けて突き進んでいきたいという思いが込められていることが語られた。こういったメンバーのトークを聞くといかに大切にライブを作り上げているかがよくわかるし、細部にまで込められたこだわりのひとつひとつが彼らのメッセージであり、表現者としての成長であり、8号車への愛の深さだということを痛感した。超特急のライブでは初期の頃から披露されてきた「Superstar」がニューバージョンの「超Superstar」として生まれ変わったのも然り。常に進化し、共有する幸せのピークもどんどん更新されていくからこそ、超特急のライブにはいつも新鮮な興奮があるのだと思う。

 後半戦に突入したライブは、ユーキの鮮やかなバク転も決まった「Kiss Me Baby」からglobeのカバー「Love again」と続き、センターステージでのわちゃわちゃも楽しい「SAY NO」、「超えてアバンチュール」へ。「Drawイッパツ!」ではカイが「みなさん! 画面の向こうでも思い切り声出してくださーい!」と煽っていたが、みんなもうとっくにいつものライブと変わりなく盛り上がっていたに違いない。あのとき行った、あの会場の熱気を思い出しながら。

 ここまで全18曲を披露し、メンバーそれぞれが思いを語ったMCのコーナー。カイは「離れていたけど、みなさんの気持ちはこの会場に来ていたんじゃないかなと思うとすごく幸せに思います。みんなからの愛を受け取って進んで来れた2020年、素晴らしく締められたと思います」と感謝を伝え、タクヤは「今年は8号車ひとりひとりの存在の大きさを心の底から感じました。この固い絆を胸に、2021年も超特急飛躍の年にしていきたい」と宣言。ユーキは「誰に何を言われようと、僕たちはこの先も胸を張って8号車の皆さんと一緒にてっぺんを目指し、夢を叶えていきたいと思います」と力強く未来を見つめ、タカシも「2021年もさらに走り続け、もっと最強な“Superstar”なグループに変身していきたい」と抱負を語った。「10周年に向かって走っていくこの大事な時期のライブを皆さんと一緒にできたことを、本当に嬉しく、誇りに思います」というリョウガの言葉に続き、「どんなに辛い時があっても、僕たちがヒーローになります」というユーキのアツい曲フリで始まったのは「Hero」。最新シングル『Asayake』のカップリングとして、ファンクラブ盤のみに収録された楽曲だ。3日目の締めくくりとなったこの曲では、両手で大きく8の字を作ったり、小指を掲げ、小指を結ぶ仕草で強い絆を表現するなど、パフォーマンスの随所に8号車への愛が込められていた。ラストのサビで降り注いだ、祝福のような金色の紙吹雪。2021年の彼らに吹く追い風の予兆のように、いつまでもキラキラと5人の頭上を舞っていた。

 素晴らしい内容の配信ライブだったからこそ、次に願うのは実際に時間も空間も共有できる有観客でのライブだ。この日最後に発表された東西アリーナツアー『Hoopla!』の開催は、メンバーやスタッフにとっての念願であり、8号車にとっての希望と言っても過言ではないはず。“騒げ!”というタイトルのもと、超特急と8号車が巻き起こす旋風がどんな幸せな爪痕を残すのか今から楽しみだ。

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