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堂本剛流ファンクを味わい尽くす KinKi Kids『KANZAI BOYA』とENDRECHERI『LOVE FADERS』に表れたユニークな作風

リアルサウンド

20/6/24(水) 6:00

 6月17日、KinKi Kidsが42枚目のシングル『KANZAI BOYA』をリリースした。同日には、堂本剛のソロプロジェクト・ENDRECHERIもニューアルバム『LOVE FADERS』をリリース。どちらも堂本剛が手掛ける濃密なファンクサウンドでいっぱいの強烈な作品に仕上がっている。これらのリリースにあわせて、ENDRECHERIの過去3作品(『HYBRID FUNK』、『one more purple funk… -硬命 katana-』、『NARALIEN』)がサブスクで解禁されたことも話題を呼んでいる。さらに、7月15日には、期間限定・完全生産限定の映像商品『堂本 剛 祈望 平安神宮 奉納演奏史 2014-2019』の発売を記念して、堂本剛の2009年のプロジェクト・美 我 空から、2016年のプロジェクト・SHAMANIPPONまでの一部楽曲を除く計82曲が追加でデジタル配信されるという。

(関連:SixTONES、Snow Man、KinKi Kids…それぞれが伝えたオンラインライブの意義 『Johnny’s World Happy LIVE with YOU』Day6

 「KANZAI BOYA」は、KinKi Kidsの命名にまつわるエピソードをユーモラスに(故・ジャニー喜多川のモノマネも交えながら)語る一曲。曲名になっているKANZAI BOYAがふたりに最初に付けられていたユニット名だったことは、ファンならずとも知られたエピソードだろう。「魂」になってしまったジャニー喜多川の視点もとりいれた、KANZAI BOYAとKinKi Kidsという2つの名前に対する思い入れが伺えるコミカルな詞がキャッチーだ。しかし、Pファンク系のねっとりとしたグルーヴと華やかなブラスやシンセのサウンドは、これまで堂本剛がソロ活動で展開してきたコアな音楽性そのもの。ワンコードでごりごりに押し通す演奏に、パーカッシブなフックを中心にしたボーカル。そこに堂本剛だけではなく堂本光一の歌声がのっているというだけでも面白い。

 いわばノベルティソングやコミックソング的な味わいの強い「KANZAI BOYA」だが、であればこその堂本剛流ファンクであるとも言える。以前、ENDRECHERIの前作『NARALIEN』について書いたとき、その魅力は、聴かれる演奏のファンクとしてのオーセンティシティ(つまり、どれだけホンモノっぽいか)だけではなく、そこにあふれる堂本剛のキャラクターにあると言ったことがある(ENDRECHERI、新アルバム『NARALIEN』が堂々の1位獲得 楽曲から溢れ出す堂本剛の色気)。さらに言えば、このENDRECHERIの世界観も、SF的な設定を盛り込んだコンセプチュアルな活動で知られるPファンクからの影響を感じられる。ノベルティ的な、ユーモアを交えたエンターテインメントとしての音楽のあり方が、ジャニーズ/Pファンク/J-POPの交点で見事に開花している楽曲だ。

 一方、同日にリリースされた『LOVE FADERS』ではもっと多彩なサウンドが展開されている。ファンクを軸としながらも、このジャンルが持つ多様性が一枚に凝縮されたようなアルバムだ。食のモチーフとセクシュアルなメタファーが絡み合う官能的な「Butter」や「CREPE」、ファンからの要望でつくられた筋トレミュージックの「Kun Kun Yeah! ~Muscle Commander~」など、詞や楽曲のコンセプトに身体性が強く現れているのが印象的でもある。特に「Kun Kun Yeah!」で中盤にBPMがハーフになるあたりでは、「ああ! 効いてる!」という気になってくる。実際にはデスクに向かって曲を聴いてるだけだったんだけれども……。

 個人的には、Sly & The Family Stone「If You Want Me To Stay」のコード進行を下敷きにした、いなたさと洗練が入り交じる「此れ 其れ」のメロディアスな味わいがやはり極上だ。また、ディアンジェロ的な隙間の多い繊細なグルーヴと渋いメロディで5分間を引っ張る「I’m just me」では、ENDRECHERI率いるバンドの演奏力をじっくりと楽しめる。このあたりが白眉と言えよう。

 ちなみに『LOVE FADERS』は限定版A・Bとオリジナル版の3種があり、それぞれ収録曲や収録順が異なる(ここまで言及した楽曲はすべて共通の収録曲だ)。しいて言えば、オリジナル版のボーナストラックとして収録されている「Oh…」と「あなたへ生まれ変われる今日を」のバラード2曲は堂本剛の歌声の魅力が堪能でき、ぜひ聴いてみてほしいところだ。

 冒頭で述べたように、「KANZAI BOYA」及び『LOVE FADERS』のリリース日にはENDRECHERIの過去3作品が各サブスクプラットフォームにて解禁された。ここ数年、フェス出演などを通して既存のファンベースの外にもその音楽がリーチしだしていたENDRECHERIだが、これでいっそう触れやすくなったのがうれしいところ。もし気になっている人がいれば、まずはそちらから気軽に聴いてみるのもいいかもしれない。この機会に、堂本剛=ENDRECHERIのユニークな活動がさらに広まることを期待したい。(imdkm)

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