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打倒“大門未知子”!?  松下奈緒、天海祐希ら、1月ドラマで凌ぎを削る女医役たち

リアルサウンド

20/2/27(木) 6:00

 「わたし、失敗しないので」

 この台詞は、一斉を風靡したドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)で米倉涼子が演じる外科医・大門未知子の決め台詞だ。高視聴率を獲得し続けるこのドラマと、「三度の飯よりオペが好き」な大門の強いキャラクター性に打ち勝つかのごとく、各世代を代表する女優たちが1月期のドラマで女医を演じている。

【写真】天海祐希にしごかれる新人・広瀬アリス

■痛みや秘密を抱えながら医師の使命を全うする松下奈緒&木村佳乃

 『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系)で、松下奈緒が演じる恩田心は、腫瘍内科医。松下のまっすぐな目は、患者に自然と寄り添う恩田の優しさを表している。夫の死の原因が医療ミスだと判明したシーンでは、医者として事実を理解しながらも「遺された家族としては納得できない」と涙したシーンが反響を起こした。

 木村佳乃は、外科治療の立場から恩田を支える梶山薫役で明るくさっぱりとした性格が特徴的だが、恩田の夫の死に関わっていたという秘密を抱えていた。真実を伝える姿からは、過去から目を背けることができなかった梶山の良心が伝わってきた。

 松下も木村も、医者としてだけではなく、一人の人間として痛みに向き合う姿が魅力的な女医役を好演している。

■「女帝」を演じる天海祐希としごかれる新人・広瀬アリス

 厳しさの中に見える責任感の強さ。『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』(日本テレビ系)で天海祐希が演じるのは、「脳外科の女帝」の深山瑤子。“氷の女”と呼ばれている深山だが、天海はサバサバとした演技を見せつつも、患者の命を第一に考えて行動している深山の優しさや強い責任感をさりげない仕草や台詞にのせ、恐れられながらも尊敬される深山の魅力を引き出している。

 一方、広瀬アリスが演じるのは、自称“天才”のド新人・小机幸子。自信満々で怖いものなしの小机だが、周りからは「実技がからっきしダメな新人」と噂され、少々厄介がられている。広瀬はそんな小机をのびのびと表情豊かに演じ、騒々しくも憎めないキャラクターとして、物語のアクセントになっている。

 深山の厳しい言動に全くめげない小机の姿はコミカルで面白い。しかし深山は、脳外科医に必要な素質である「図太さ」と「大胆さ」を小机が兼ね備えていることを見抜いているようだ。同僚からも患者からも鬱陶しがられる小机だが、深山はたびたび彼女に実経験を積ませようとする。小机の成長が、クセ者揃いの脳外が成長していくカギになるのかもしれない。

■たくましさと繊細さの中谷美紀、命に対して強い意志をもった松本穂香

 『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)で、主人公・松本(伊藤英明)の同僚・三宅涼子を演じる中谷美紀。三宅は目の前の命を救うことに心血を注いでいる。患者が運び込まれるとキリリと変わる表情からは、過酷な救命救急の世界で経験を積んできた背景が伝わってくる。また患者から生きることに否定的な発言をされたときに見せた戸惑いの表情からは、一刻を争う現場で命と対峙してきたからこそ、患者にとって何が正解なのか思い悩む三宅の繊細さが感じられるものでもあった。

 一方、松本穂香が演じるのは、新人心臓外科医から救命救急に入ることになった児嶋眞白。「目の前の命を助ける救命救急に携わりたい」という思いを感じさせる素直な目が印象的だ。患者を助けるため、意を決して行動する児嶋の表情は凛として魅力的。とはいえ、児嶋には少し抜けた部分もあるため、ほのぼのとしたシーンでの演技は可愛らしい。

 松本が僧侶として、医師として葛藤するとき、三宅と児嶋は松本の迷いを解く。三宅は信頼し合う同僚として松本を支え、児嶋は松本の姿勢に感銘を受け、救命救急で本領を発揮し、松本の助けとなる。三宅と児嶋の存在は、僧医である松本の立ち位置を際立たせているのだ。

 個性の強い女医役により医療ドラマのエンタメ性が高まるだけでなく、彼女たちの繊細な演技によって、一人の人間として、仕事や人に向き合うキャラクターの心情が伝わってくる。それぞれの医療ドラマの厚みは、各世代を代表する彼女たちの名演技のおかげなのではないだろうか。

(片山香帆)

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