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バンドサウンドにバイオリンを融合させるV系バンド AIOLIN 2周年記念ワンマンで見せた決意表明

リアルサウンド

19/2/18(月) 16:00

 ヴィジュアル系とバイオリン。この組み合わせで連想する人といえば、LUNA SEAのSUGIZOと答える人が大多数ではないだろうか。両親がともにオーケストラの団員という音楽一家に生まれ、3歳からバイオリンを学んでいたSUGIZOがクラシックに造詣が深いのは周知の事実であり、LUNA SEAの楽曲でも時折バイオリンを披露することは有名な話だろう。ただ、バンドとしての話に限ればそれはあくまでピンポイントのソロであったり、LUNA SEAの楽曲に幅や奥行を出すために用いられることが多く、バイオリンが楽曲の軸になるようなものは少ない。

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 そのLUNA SEAとはまた違ったアプローチの仕方でバンドサウンドにバイオリンを融合させる新たなヴィジュアル系バンドがまさしく彼ら。“革命的ヴァイオリニズム”をコンセプトに掲げ活動し、ヒカリト(Vo/Gt/Vn/Pf)、悠(Gt)、レイス(Ba)、Seiya(Dr)の4人からなるAIOLINだ。フロントマンであるヒカリトは国内最高の音楽学府である東京藝術大学器楽科のヴァイオリン専攻を卒業しているいわばバイオリンの超エリート。彼もまたSUGIZOと同様に両親が音楽家であり、物心ついた時にはすでにバイオリンを手にし、3歳からクラシックの世界へ足を踏み入れていたという。しかし、ヒカリトはAIOLINを組むまでは自らのこだわりからバンドではバイオリンを弾いたことはなくあえて封印、当初バンドではギタリストとして活動しており(ギタリストとしてもそのテクニックは一級品)、AIOLINの結成を機にボーカルに転向。バイオリンやピアノに関しても自分の持っている技術は惜しみなく使おうと今のバイオリンラウドロックのスタイルに行き着いたと語っている。そう、彼らの楽曲においてバイオリンは非常に重要な軸になっているのだ。

 そんなAIOLINが2月6日に始動2周年を迎え、東京・渋谷TSUTAYA O-WESTにて『AIOLIN 2nd Anniversary ONEMAN ANTITHESE ~AIOLIN過去最大の挑戦 全員の夢を乗せて~』を開催した。今回は、ちょうど1年前に行われた1周年ワンマンで告知をし、この日のためにと1年間を駆け抜けてきた彼らの集大成ともいえる1日の模様をレポートする。

 開演前。いよいよ始まるかと背筋を伸ばしていると、幕の向こうから気合入れの円陣の声が聞こえた。ほどなくして会場は暗転し、SEとともにメンバーが登場。最後にバイオリンを高く掲げ現れたヒカリトがバイオリンを構え、弓でフロアを指すと「Antithese」でライブはスタート。重厚なサウンドをバックに〈反逆の声を〉と歌う様はまさしくAIOLINの4人が革命を起こそうとしている現状に対するアンチテーゼのように思える。その反逆の狼煙はレイスのスラップとバイオリンの音色が絡む「Distress」で早くも結実する。〈中指立てて〉と反逆の姿勢を示すとサビで会場は一斉にシンガロングし、その反逆の声に賛同する意志を見せた。

 ステージと客席がお互いの意志を確認しあったのち、ライブのギアを入れたのは「Remember The Name」だ。流麗なバイオリンの音色に導かれ始まる疾走感あふれたこの曲の間奏では、ヒカリトがフライングVを手にテクニカルでメタリックなギターソロを披露した。ヒカリトと悠のツインリードによるメロディアスなイントロを奏でた「Colors」からもわかるように、AIOLINの楽曲は非常に耳なじみがいい。楽器陣の演奏はラウドでありながらも、メロディはキャッチーなのだ。それはライブ中に口ずさみながら演奏するメンバーを見てもわかるだろう。彼らの楽曲はキャッチーなメロディとそこに絡むバイオリンが軸であることを大前提に、そこから引き算をして楽曲を構築し、絶妙なバランスで成り立っていることがよくわかる。

 中盤、暗転したステージで1人バイオリンを奏でたヒカリトが披露したのはクラシックの超難曲「Ysaye Sonata No.3 Ballade」。物音ひとつたてることさえ許されないほど張りつめた中でのバイオリンソロは普段のライブでは味わうことのできない時間であった。その緊張感をゆっくりと解すように演奏された「Orpheus」でライブを再開させると、物語は次のページへ。続く「When I Close My Eyes」ではAIOLINらしい美しいサウンドとメロディを、詩の世界観が美しい「Tear In The Rain」ではAIOLINらしいラウドなサウンドと美しいメロディの対比を聴かせ、Seiyaはその華奢な見た目からは想像もつかないほどハードなドラミングを見せる。

 後半戦はこれまでの“AIOLINの音楽”を表現したようなセットリストとは打って変わり、“AIOLINが伝えたいもの”に比重を置いたセットリストを展開。ファンへ向けたメッセージでもある「Illumination」の最後には〈君と出会えてよかった〉と素直な気持ちを歌い、さらに「見せてやるよ! 運命にさえ抗うこの姿!!」と叫んだ「Over The Destiny」、そしてこのライブの本編は「こんな間違いだらけの世界で出会ってくれてありがとう」という言葉で始めた「Error World」会場は一体となり幕を閉じた。

 アンコールではピアニストも招き新曲「Someday」を披露。MVからも伝わるように冬の空気の冷たさを感じる優しく切ないバラードだ。続く「Faded」では染み入るような、寄り添うような歌を届けた。何度も深呼吸してから歌い始めたのが印象的だった「Precious」はバンドにとって大切な楽曲であり、ちょうど一年前のワンマンライブで初めて披露された楽曲を一年越しに歌ったということだ。優しく、そして熱い余韻が胸に鳴り響いていた。それでもまだ彼らを呼ぶ声は鳴り止まず、彼らはダブルアンコールに応えてくれた。

 「このO-WESTという場所はあの時の俺たちにとっては本当に無謀な挑戦だった」とヒカリトが口を開く。彼が語った印象的だった言葉。この1年間O-WESTという場所を目標に活動してきた中で「大きな会場で、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい」と強く思えば思うほど、何かをはき違えていたことに気づいたという。大事なのはその時出会えた人たち一人一人に向けて歌を届けることの大切さ。それは裏を返せば自分たちの音楽に絶対の自信があるということでもあり、この時「この音楽でなら、この音楽を信じてくれたメンバーとなら俺たちはきっと天下を取れる」と話したヒカリトは真っ直ぐな眼をしていた。そして、現在のシーンにおける風潮や時代のことも踏まえ、その上で強く自分たちがムーブメントを起こす決意を語った。「いつだってこの場所で一人一人に届くように歌っていく」と叫んだヒカリト。思い思いの言葉を語ったメンバーたち。きっとその先に彼らの描く理想がある。これがAIOLINの“革命”なのだ。

 「もう諦める理由探すのはやめようぜ!」と迸る情熱をぶつけ革命の第一歩として演奏されたのは「Ark Night」。〈そう僕等は今此処で出会えた この奇跡と絆を愛して生きる〉と歌う姿はまるでバンドとファンの絆を確かめ合うようでもあった。そして、この特別な日の最後に演奏された「HOME」では「あなた達一人一人の大切なこの居場所、いつまでも守り続けます」と語りかけ、〈此の歌は君の心目指すから〉と先ほどのMCで伝えたことをしっかり歌でも表現し、AIOLINの決意表明ともとれるライブは幕を閉じた。この日、新たにAIOLINは5月1日に3rdアルバム『Fate』のリリースと、それを引っさげたバンド初となる東名阪ワンマンツアーを告知。彼らの掲げる“革命的ヴァイオリニズム”はまたひとつ歩みを進めることとなる。

 たしかに今はまだAIOLINの革命の火種は小さいかもしれない。しかし、革命を起こす者には確固たる意志が必要であり、彼らにはそれが感じられるのだ。今すぐに何かが大きく変わることはないかもしれないが、シーンにぶつける情熱、そして彼らが真摯に一人一人にAIOLINの音楽を届けることでじわりじわりとこの革命は実を結んでいくのではないかと思う。そして、その革命が実った先にある彼らの理想郷で、“すべてはあの日から始まった”とこの日のことを思い出すのだ。(オザキケイト)

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