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より神話性のある作品に! ロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』再演

ぴあ

20/9/14(月) 17:00

ロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』合同記者会見より

主宰の木ノ下が作品の補綴・監修を行い、毎回さまざまな演出家を迎えて現代における古典演目の上演を行っている木ノ下歌舞伎。FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介を演出に迎えたロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』が、2019年の初演に引き続いて早くも再演を果たす。

ロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』合同記者会見より

「この作品をやるというと周りから『大変ですねえ』とねぎらわれる。それくらい難しいこの演目から、糸井さんは家族の物語を取り出してくださった。それが初演の最大の収穫でした」と振り返った木ノ下。「再演では今作の神話性を顕在化させ、人間の範疇を超えた”おおきなもの"を出現させられたら」と上演への思いを語った。その方向性のもと再補綴では細かな変更も含めて、全シーンに手を入れ直したという。

ロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』合同記者会見より

初演では古典と現代を橋渡しするようなオリジナル曲を何曲も生み出した演出の糸井。「初演では原作への遠慮があった。まだちょっとカッコつけていたところがあったので、今回はもっとケンカしたり、だらしないところを見せ合ったりして(作品そのものと)打ち解けられたら。たくましい大人の第一歩という感じで作品づくりができればと思います」と語った。再演では新曲が1曲加わるという。

ロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』合同記者会見より

玉手御前を演じるのは内田慈。初演では圧巻の演技で物語を引っ張った彼女だが、「玉手御前という人はいろんな面を持っていて難しい。自分の中でどこに柱を持てばいいか不安でした。木ノ下先生に『大仰かもしれないけれど、すべて玉手御前なりに世界平和を願った末の行動なのじゃないか』と言っていただいてスッと(肚に)落ちました」と話す。「今初めて『今回は神話性を強くする』と聞いて、『ん?』と。新作に挑むように取り組もうと思います」と笑った。

ロームシアター京都 レパートリー作品 木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』合同記者会見より

今回初めて俊徳丸を演じることになる土屋神葉は、糸井作品に複数出演している。なかでもシェイクスピアの『Love's Labour's Lost』(恋の骨折り損)で舞台の面白さを知ったといい、「運命を感じています」と語った。しかし脚本を読んで「衝撃を受けました。思考が停止して、僕の解釈であってるのかな? ってネットで調べたりしました。作品自体が攻めてる。すごいな、古典! と思いました」と素直な感想をもらした。「この作品はきっと自分の血肉になると思う。稽古を通して自分の軸を探していけたら」と強い意気込みをみせる。

「コロナの期間を経て、我々の死生観が変化したと思います」と木ノ下。「人の生き死にを扱った今作を現代人の胸を打つ作品にできれば、いま上演すべき『合邦辻』になるのでは」と結んだ。

木ノ下歌舞伎の『糸井版 摂州合邦辻』は10月に東京・あうるすぽっと、11月に京都・ロームシアター京都にて上演される。

取材・文:釣木文恵

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