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「ドライブ・マイ・カー」監督・濱口竜介と編集・山崎梓が母校で制作語り合う

ナタリー

「ドライブ・マイ・カー」トークイベントにて、左から山崎梓、濱口竜介。

「ドライブ・マイ・カー」のトークイベントが本日8月7日に神奈川・東京藝術大学大学院映像研究科で行われ、監督の濱口竜介と編集担当の山崎梓が登壇した。

村上春樹による同名短編小説を映画化した本作。第74回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門の脚本賞のほか、独立賞に当たる国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も受賞している。このたび東京藝術大学大学院映像研究科と横浜市文化観光局が連携・協力する“文化芸術創造都市づくり”の地域貢献事業の一環として、同校2期監督領域修了生の濱口と、同校編集領域修了生の山崎が招かれた。

濱口と山崎は2010年製作の「THE DEPTHS」で初めて組み、その後2018年公開の「寝ても覚めても」でもタッグを組んだ。2020年11月に撮影開始した「ドライブ・マイ・カー」は未編集の素材が50時間を超え、プレビューだけでも1週間は掛かったそう。濱口は「現場でOKやNGはほとんど出さず、すべて終わったあとに使うシーン、そうでないシーンを決めるスタイルを取っています。理由としては自分の目が必ずしも信用できないからです。現場でいいと思ったものが、改めて観るとやはり違っていたり、逆に現場でNGと思ったものがよかったりするので、編集の山崎さん含め複数のスタッフとプレビューを観るのはとても重要な作業です」と解説。山崎は「珍しい手法ですが、これが濱口監督の特徴。それぞれの色がありますので、一緒に作業をしてやりやすいのが一番重要だと思います」と語る。

また濱口は他人に編集を任せることについて「複数の人間、つまりたくさんのフィルターを通したほうが、いい映画になると思っています。山崎さんは監督の意図をしっかり聞いてくれるスタイルで、私の求めている編集者だったんです」と述べた。山崎も「編集者として膨大な素材を選定する作業をしていくわけですが、今どんな作業をしているのか、何を目指して編集をすればいいのか意図がはっきりしていないのが一番苦しい。監督にはその点をしっかり聞くようにしています」と明かし、コンビネーションのよさをうかがわせた。

イベントでは学生からの質問も。監督としての原動力は何か問われると、濱口は「単純に楽しいからです。それと人生は繰り返しの毎日を送ることが多いかもしれませんが、監督業はそうではないんですね。常にいろいろなことが起こって、生きている実感があります。進んでいる時間の最前線にいる感覚が、僕にとっては映画だったんです」と伝えた。

「ドライブ・マイ・カー」は8月20日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生らが出演した。

(c)2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 (c)Kazuko WAKAYAMA

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