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『おちょやん』女給キャストの吉川愛&阿部純子に注目 再びの朝ドラ出演で演技力の高さを実感

リアルサウンド

21/1/8(金) 6:00

 NHK連続テレビ小説『おちょやん』は、今週から京都編がスタート。主演の杉咲花演じる千代が住み込みで働く「カフェー・キネマ」の女給役として、女優の吉川愛と阿部純子が登場した。今注目の実力派女優を今作で知る方も多いと思われるので、ここで2人のキャリアや魅力について紹介する。

 キネマの住み込み部屋で、千代と同室となる宇野真里を演じているのが吉川愛。吉川は、以前にも子役時代の吉田里琴名義でNHK連続テレビ小説『あまちゃん』に「アメ女」メンバー・高幡アリサ役として出演。キャリアも長いだけに、複雑な心理表現が上手い女優だ。特に印象的だったのが、ドラマ『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)の第8話。天才子役・安永メイ役で出演し、母親の留美子(小沢真珠)と縁を切る裁判を起こすというストーリーで、12歳にも関わらず、大人の男友達を家に連れ込みビールを飲むという、超売れっこ子役特有の破天荒な私生活を送り、弁護士の古美門(堺雅人)相手にも上から目線の生意気な子どもをリアルに演じた。最後に裁判で母親に思いを伝える迫真の演技は、娘としての本音なのか、母親思いの良い子を演じているのか、最後まで視聴者を惑わす熱演ぶりが素晴らしかっただけに、2016年4月に一旦芸能界を引退した時は、惜しむ声が後を絶たなかった。

 しかし、2017年4月から吉川愛の名で、福士蒼汰主演ドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)で復帰。昨年は主演を務めた映画『転がるビー玉』で、モデルの卵として夢を追い続ける若者を儚げに演じ、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)での新人ナース・酒井結華役では、ミスは多いが人情味あふれる上白石萌音演じる七瀬とは正反対に、優秀だが患者への対応はドライというある種ライバル的立ち位置に。大人になった吉川は、派手な演技ではなく、表情や仕草で視聴者に気持ちを勘づいてもらう演技が巧みな役者に成長。2021年は、1月11日から放送の『就活生日記』(NHK総合)で主演を務め、夏公開予定の映画『ハニーレモンソーダ』ではヒロインを演じるなど、今年ブレイクが期待される。

 『おちょやん』では、富山出身で、家出をしてカフェーで働きながら女優を目指しているという設定。初登場時は、流暢な富山弁を披露し、女優のように美しくも愛嬌たっぷりで田舎っぽさが残る、まさに女優志望の女性の雰囲気を見事に表現。これだけキャリアがあるのに新人らしさを出せるというのも、演技力の高さを感じる。杉咲と吉川は、2013年のドラマ『夜行観覧車』(TBS系)で同級生を演じ、吉川がひたすら杉咲を虐めるという因縁の関係だったので、2人の共演は実に感慨深い。

 一方、『おちょやん』でキネマの一番人気の若崎洋子役を演じる阿部純子は、大阪府生まれの現在27歳。2020年だけでも、『Daughters』『罪の声』『461個のおべんとう』、10月公開予定の『燃えよ剣』など数多くの作品に出演する人気女優で、2019年のドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)での、眞栄田郷敦の先輩社員役と言えば顔を思い出す人も多いはず。

 小学生の時にスカウトされ、阪急百貨店の広告モデルとしてデビューした阿部は、2010年の映画『リアル鬼ごっこ2』のオーディションで、柴田一成監督が「いずれ日本を代表する女優になる」とヒロインに抜擢され、吉永淳の名で17歳で映画デビュー。泳ぎの美しさで主演を射止めた映画『2つ目の窓』では、河瀬直美監督独特の静かな作風の中、島で育った健康的な16歳の少女が、母親の死や愛と直面し、大人へと進む心の動きを繊細に演じる。『2つ目の窓』は第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、サハリン国際映画祭などで主演女優賞を受賞するも、力不足を感じた阿部は所属事務所を辞めて留学し、ニューヨーク大学演劇科で演技を学んできた。

 帰国した2015年に、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の高畑充希演じるヒロインの友人役・村野綾をオーディションで獲得。家柄の良い家庭で育ったお嬢様が戦争で全てを失い、現状が苦しくともお嬢様らしく常に品が良く、力強く生きる姿をしっかりと見せた。「(留学前は)『自分を表現したい』とばかり考えていたけど、留学で『作品を通じて何を伝えるか』を考えられるようになった」(参照:『毎日キレイ』2016年7月7日)という変化が、朝ドラと同時期に出演した月9の『好きな人がいること』(フジテレビ系)や、映画『孤狼の血』など幅広いジャンルでの活躍に現れている。

 『おちょやん』では、大部屋俳優として少しだけ活動写真に出演したこともある、華やかに見えるが、実は苦労人という設定。千代に冷たく当たるのは、挫折を経験しているからこそ、女優になりたいと言う千代に対し現実の厳しさを教えるという優しさ故なのかもしれない。本来ならキネマから一番早く卒業したいのは洋子であり、追い込まれているのも事実。女優経験者としてのプライドがひしひしと伝わる役柄で、阿部自身が女優業に対して挫折を経験しストイックに向き合う印象なので、実にハマり役だと改めて感じる。『とと姉ちゃん』では生活のために働く女給役を演じ、高畑充希の妹役で杉咲花が演じ共演経験があることから、吉川と同様に、阿部と杉咲の再会もどこか運命を感じる。

 2人の経歴を知ると、女優を目指す役というのはさらに面白く感じる。今作をきっかけに、2人の作品を追ってみるのもよいのではないだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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