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中居正広はプロデューサーとしてジャニーズを変える? キスマイ「舞祭組」で見せた敏腕ぶり

リアルサウンド

13/12/9(月) 12:20

20131209-nakai.jpg「舞祭組」のプロデューサーとして手腕を発揮し始めた中居正広。

 SMAPの中居正広が後輩グループKis-My-Ft2の横尾渉、宮田俊哉、二階堂高嗣、千賀健永のユニット「舞祭組」のデビュー曲「棚からぼたもち」をプロデュースした。「ぶさいく」というユニット名通りと言っていいのか、Kis-My-Ft2の中でいつも後列に並んでいるメンバーをメインに据えたコミカルな内容になっている。

 ラジオで語ったところによると、この曲で中居は作詞、作曲、振り付け、PV制作などまで手がける。中居の音楽的素養を訝しむ人も多いと思うが、そもそも中居は自身のソロなどでは自作曲を歌っており、全くの素人というわけではない。もっとも譜面を書いたり振り付けを完璧にこなせるわけではなくディレクションが主になるわけだが、それでもプロデューサーとしては十分な仕事ではある。

 「舞祭組」の経緯を付け加えておくと、もともと中居はこの4人をテレビ番組でよくいじっていて、そこに会社側から目を付けられてプロデュース曲の制作を打診されたという。プロデュースのやり方は2008年に島田紳助がプロデュースしたアイドルグループ「羞恥心」にちょっと似ていると言っていいだろう。「おバカ」キャラで知られた二枚目半のメンバーが、しかし真剣に歌い踊る姿をファンが応援するという格好だ。バラエティでの仕事が多い中居らしい方向性だと言っていいし、グループ名の漢字表記などもどことなく類似したものを感じさせる。もともと自身のソロ曲「トイレットペッパーマン」のようにライブでファンがみんな楽しめる曲が作りたいと思っていたところに舞祭組のプロデュースワークが来たため、結果としてそれが形になったということだろう。

 ただ面白いのは彼の曲作りそのものよりも、グループ論やアイドル論のほうかもしれない。中居はSMAPを例に挙げながら「これで4人のグループが飛躍したら間違いなくKis-My-Ft2に返ってきます」という。メンバーが各々の仕事をすることによって、最終的にグループ全体がクオリティを上げていくことに期待しているようだ。これはまさしく中居のSMAPでの経験に裏打ちされた意見だし、そういう筋道を組み立てるプロデュース術については、実は彼は長じているかもしれない。

 前述のラジオの中でも「アイドルグループの全盛って6年周期、ちょっと伸びても8年周期と言われてる」と分析的な語りを披露し、業界動向について自覚的な様子を見せている。さらにSMAPの中でどちらかというと地味な草彅剛が連続ドラマで主演をやったのはSMAP結成から10年くらい後だとして、グループ内で地味とされるメンバーにも、注目されるタイミングが順番にめぐってくるものだと主張している。

 しかも、こうした考え方は今どきのアイドルプロデュースのあり方としては適切なものだ。特に女性アイドルに顕著だが、今のグループアイドルでは、誰もがリーダーやセンターといった花形を目指すのではなく、コメディリリーフや地味なメンバーも含めて全メンバーがキャラを立てながら1つのチームを構成するのが主流になっている。秋元康が「AKBは学校」と繰り返して言うように、生徒会長もいれば実力派もお調子者もいるというキャラの幅の広さとコミュニティ性を強調するのが主流になってきている。

 むろんジャニーズにもこうした傾向は古くからあったが、しかしそれを「舞祭組」などのわかりやすいユニット名を使いながらプロデュース側が明確に示す例は非常にまれであるし、しかし、だからこそ今どきのアイドルらしさを感じさせる。もちろん、そうしたメタ的な言及がファンから受け入れられないことも考えられる。つまり、運営サイドからあけすけに「地味」だとか「舞祭組」だとか言われたくはないというファンもいるかもしれない。だが、すべては舞祭組の成功いかんにかかっているだろう。つまり中居はジャニーズの世界にあったコミュニティ性を、そのプロデュースの方向性によって改めて指摘したのだと言っていいし、そのことはジャニーズが前提とする価値観を現代的に更新し、ひいてはジャニーズのアイドルのあり方を変えていく可能性がある。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

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