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鬼龍院翔、“過去最高にひとりぼっち”な『ひとりよがり6.5』 歌の世界に浸ることで癒やされる孤独

リアルサウンド

20/12/28(月) 18:00

 12月19日、鬼龍院翔 単独公演『ひとりよがり6.5』が無観客有料配信にて行われた。

 『ひとりよがり』は、ゴールデンボンバーの楽曲すべてを手掛ける鬼龍院翔(Vo)が、普段のパフォーマンス満載のゴールデンボンバーのライブではやりづらいバラード楽曲を中心に披露する公演で、2011年から不定期で開催されている。

 アッパーチューン中心のライブとはまた違った、鬼龍院が一人で歌いよがり、それを聴くお客さんも集団となって振り付けなどをするでもなく、それぞれが一人きりというスタンス、それが『ひとりよがり』である。今回は初のオンラインでの開催となった。

 待機画面から本日の公演についての説明画面に切り替わり、ステージが映し出されると、鬼龍院がポツンと一人で佇んでいる。シックなジャケットをまとい、少しウェーブのかかったヘアスタイルもキマっている。名バラード「君がいない間に」からスタート。そして「夜汽車」を披露すると、「久しぶりの曲!」と喜びの声でコメント欄は埋め尽くされた。

 今回の『ひとりよがり6.5』は、スタッフも最小限で「過去最高にひとりぼっちの『ひとりよがり』」という鬼龍院。有観客公演ができない中で、「配信でも『ひとりよがり』が観たい」というファンの声を聞き、「世の中が大変なら、少しでもファンの方が喜んでくれるなら」と開催に至ったと語る。2曲披露した時点で「どうやったら明るい気持ちになれるんだよっていうくらい暗い曲だったけど、最終的に元気をもらえたと思ってもらえるように、がんばります」と述べた。

 ステージに置かれたタブレットを片手に「(コメントを読むのは)録画じゃないですよってことで」と冗談交じりにコメントを読みつつ、これまでのゴールデンボンバーのオンラインライブでは、無観客ながらも何故か観客席から声援が飛んだり、観客席の映像がカットインする「生き霊」システムがおなじみとなっているが、『ひとりよがり』では生き霊の声は今のところ聞こえないようだ。「『ひとりよがり』の生き霊は、おとなしめなんでしょうね。ここでしか聴けない暗い曲がたくさんあるんで」と結び、スクリーンに光の粒が舞い落ちる中、「Neeeeeee!」から「腐男子」へ。 

 寄せられた「最高です」、「(逆に)元気が出た」、「暗さがいいよ」というコメントを「変わってるねえ〜」と嬉しそうに読み上げ、「明るい・楽しいっていうのも、それはそれで元気をもらえることもあるけれど、ナイーブなところが1行でもどこか共感したりすると、聴いてる方も共感という癒やし作用が起きているのかな? 不思議な空間でございますよね、『ひとりよがり』」と、しみじみする鬼龍院。

 今年、自身のYouTubeチャンネルで公開し、話題を呼んだことでおなじみの焚き火映像で温まりながら、「今日の演出ノルマはこれで終えた!」と鬼龍院。演出がふんだんに詰まったライブは、24日のゴールデンボンバーのライブをお楽しみということですね!

 その後は「ウジ虫」、「HEN」、「世界平和」、今年3月にYouTubeにて公開された「ありふれたうた」と、新旧とわず情念のこもった珠玉の楽曲たちを、画面の向こう側にいる観客たちに届けた。

 「次の曲は徹夜で練習した弾き語りでお届けしたい」と、意気揚々とピアノ弾き語りを披露しようとしたところ、スタッフから「ピアノ運搬中に車のタイヤが外れてそのまま川へ下っていった」と報告を受け、困惑する鬼龍院。しかし、突如ステージ上にピアノが登場し、さらに困惑する。そう、鬼龍院は実は練習をしてなかったのだ! 慌ててピアノを弾ける人を探すも、今日は無観客。どうしたらいいのかわからず、狼狽していると、静寂の中鳴り響くピアノ音。先述した「生き霊」は、なんとピアノ演奏までできるようで、ファンの生き霊による演奏(自動伴奏)とともに、無事「振動」を我々に聴かせてくれた。ありがとう、生き霊さん……。

 トーチの炎が揺れる中、MUCCのカバー「ブリリアント ワールド」を歌い上げた後、新曲「断末魔」を披露。昭和のフォークソングの匂いを感じさせる歌い出しからドラマチックなサビへと展開する楽曲で、これもまた今後の『ひとりよがり』の世界を深めてくれそうだ。

 優しいギターの音と同時に、スクリーンには月とビル群が映し出され「ドンマイ」へ。そしてラストは「広がる世界」、絶望や孤独をあたたかく包んでくれるような2曲で本編は締めくくられた。ステージに降り積もる雪の中で、満足そうに「みなさん、本日はありがとうございました」とステージをあとにする鬼龍院。

 そして、再びステージにあらわれた鬼龍院。今日の感想コメントを嬉しそうに読み上げつつ、「本当にすごい1年でしたね。また、いつ『ひとりよがり』ができるかわからないけど、まずはゴールデンボンバーですね。『ひとりよがり』なら、ガイドラインに沿えば(集客を)50パーセントにして、夏にでも開催できたと思う。でも、バンドでライブができないのに、僕が歌って気持ちよくなってるみたいなのは気が乗らない。あくまでバンドがあっての私だと思っているので……」と語ったところで、途中から照れくさくなったのか「有料で観てる人たちに対して、わざわざこんなことでポイント稼ぐわけないでしょ!」とまとめた。

 アンコールではステージから客席へ降りていき、まるで人がいるかのように手を振るなどのファンサービスを振りまき「Love Days」を熱唱し、息を切らせながらステージに戻ってくる鬼龍院。これがエアーバンドのフロントマンの底力なのか。そして、最後はバンドの思い出写真が映し出される中、「らふぃおら」で幕を閉じ、エンドロール画面のあとには「次はまた同じ空間で、ひとりよがれることを願っています」というメッセージが映し出された。

 今年は、多くの人にとって、普段以上に孤独を感じることが多かった1年だったかもしれない。こうやって思い切り歌の世界に浸りきることで、癒やされる孤独もあるだろう、そんなことを感じた公演だった。

■配信サイト
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