遠山正道×鈴木芳雄「今日もアートの話をしよう」
崔在銀が提唱する 「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」とは
月2回連載
第26回
19/9/25(水)
鈴木 今日は、アーティストの崔在銀(チェ・ジェウン)さんをゲストに迎えて、2014年に立ち上げられた「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」についてお話をうかがいたいと思います。
崔さんがこの「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化した展覧会「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」を、今年の7月28日まで原美術館(東京・五反田)で開催されたのも、皆さんの記憶に新しいのでは。
遠山 すみません、この展覧会で「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」のことを初めて知ったんですが、どういうプロジェクトか教えていただけますか?
崔 1950年から53年まで韓半島で起きたKorean War休戦後、韓国と北朝鮮の間には、全長248キロもの軍事境界線ができました。それを中心として、南北に2キロずつ、4キロの幅にわたるDMZ(非武装地帯/Demilitarized Zone)ができました。
そしてこのDMZは軍事的な理由が一番大きいですが、原則として人の立ち入りは許されていません。ですので、休戦後の約70年近くほぼ手付かずの状態で放置されてきました。そのおかげで、現在は約5000種近くの動植物が生息しています。
現に、世界的にも貴重であり重要な場所となったこのDMZは自然生態系保存地域となり、希少動物が146種、絶滅危惧種が101種、絶滅保護種が81種も生息しています。多くの種の避難場所に適した場所であるとも言えますね。
しかし戦争のせいで、いまでもここには6種類の、300万発を超える地雷が埋め込まれています。この地雷によって、ここに生息する動植物や人間など、すべての生命が危機にさらされているという事実も存在しています。
そんな稀有な場所であるDMZに生きる、すべての生きとし生けるものの共生を願って、2014年に立ち上げたのが「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」です。
もともとは、2014年にキュレイターであり、現在はSAMUSO現代美術センター所長であり、Gwangju Biennale CO.でもあるキム・ソンジョンさんが企画した「REAL DMZ PROJECT」(編集部註:この企画自体は、2012年より始まる)に参加したことが契機となりました。
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