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『アライブ』物語の大きな節目に 田辺誠一の衝撃の告白が伝える、“現実を受け入れる”難しさ

リアルサウンド

20/2/21(金) 6:00

 ジャーナリストの関河(三浦翔平)によって、匠(中村俊介)の死の原因となった医療過誤を起こしたのが薫(木村佳乃)ではなく須藤(田辺誠一)であったことを知る心(松下奈緒)。2月20日に放送されたフジテレビ系列木曜ドラマ『アライブ がん専門医のカルテ』第7話は、匠の死をめぐる物語にひとつの大きな節目がもたらされると同時に、あらゆる角度から“現実を受け入れる”ということの必要性を説くエピソードとなったのではないだろうか。

参考:【場面写真】田辺と目を合わせる清原翔

 心が新たに担当した患者・武井(平田満)は、数年前に患った膀胱がんの治療を受けている最中に、肺への転移が発見される。抗がん剤治療のために入院を勧める心だったが、武井は仕事があるからとそれを拒否。診察に立ち会っていた結城(清原翔)はその様子に疑問を抱き始める。そんな折、診察に来なかった武井を気にかけて家を訪れた心と結城は、武井の息子が休職中でいることを知らされるのだ。

 息子が仕事をせずに引きこもり気味になっているという現実をなかなか受け入れることができない武井に、父の病気のことを知らされても「僕には何もできない」と突き放し、それでも父の想いを知って自ら変わろうと努力する息子。この父子のサイドエピソードが示す“現実と向き合い”、そして“受け入れる”ことで一歩前に進んでいくという様が、本ドラマの軸となるエピソードとしっかりと並列して存在しているように見受けられた。

 もっとも、心と京太郎(北大路欣也)が匠の死と向き合いながら受け入れていくためのプロセスは、すでに第4話で描き出されていたはずだ。今回の場合は、須藤が自らの過ちという現実に向き合うプロセスということになる。調査委員会によって医療過誤ではないとの判断が下されながらも、彼は教授になることを辞退し病院を辞職する。さらに関河にすべてを明かし、医療過誤の事実を自ら認めるのだ。そして心の家を訪れ、自分の過信や保身によってミスを引き起こし、その事実を受け入れることができなかったと謝罪する。

 そんな須藤に感情的になる心に対し、京太郎は終始落ち着いた様子で、かつて自分が書いた“三流の医療ドラマ”のセリフだと言ってこう語りかける。「過ちを背負い、これからも多くの命を救って欲しい。それがあなたにできる償いです」。さらに「あなたのことを許せれば、私たちも楽になるかもしれません。でも無理です。許すことは諦めます。匠の死を死ぬまで嘆き、あなたへの怒りを抱えて生きます」とつづける。この重みのある言葉や、調査委員会の結果を受けて心が言い放つ言葉からは、やはり大切な人の死と向き合い、それを受け入れるということがいかに難しいかを、改めて感じずにはいられまい。 (文=久保田和馬)

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