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Asilo/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

ギターを始めて1年半。それが音楽キャリアの全てというAsiloの人生初インタビュー

特集連載

第22回

聴いた人の中で情景が浮かぶような曲を作ろうというのは常に意識している

── YouTubeに弾き語りのカバー動画をアップすることが音楽活動のスタートだったんですよね?

Asilo そうです。昨年4月の自粛期間中に思いつきでギターを始めてみたのが最初です。もともと歌うのは好きだったので。

── バンドなどの経験は?

Asilo まったくないです。

── そうなんですね! じゃあ本当に練習というか、やってみようっていうのでギターの弾き語りを始めてからの記録そのままというか。

Asilo だから下手くそなんですけど(笑)。

── いやでも、昨年の8月の時点での動画を拝見しましたけど、とてもギターを始めて4カ月の人には見えなかったです。結構な反響があったのでは?

Asilo それは自分でもびっくりしました。想像以上に見てくれる人がたくさんいたので。

── しつこいようですけど楽器の経験はいままでほとんどなく、昨年の4月からギターを弾き始めた?

Asilo 中学の卒業祝いでウクレレをもらったんですけど、すぐ挫折してずっと放置したままになってました。そこからギターを触るまでは特に何も。

── じゃあ本当にギターを始めてから1年半くらいでこうなったんだ!

Asilo はい。

── すごいっすね。

Asilo 自分が一番びっくりしています。

── 弾き語りでは、様々なアーティストの楽曲をカバーされていますが、特に好きなジャンルはありますか?

Asilo カバーさせていただいた曲のセレクトに関しては、自分の好きな曲という基準以外になくて、好みもバラバラというか、決まったものはないですね。アコースティックなものも、打ち込みのビートが入っている曲も好きですし。

── YouTubeのコメントなどでも、声が素敵だという反応が多く見られますよね。ご自身の声の魅力というのは周りから言われて初めて気づいたという感じですか?

Asilo はい。友達とカラオケに行って歌っているところを撮った動画を見て、自分の声って変だな、とは思ってました(笑)。だからめちゃめちゃ嫌いだったんですよ。でも弾き語りをアップし始めてから、声がいいって言ってくれる方が多くて。そこで少しずつ自信を持てるようになりました。

── オリジナルを作ろうと思ったのはどういうきっかけからですか?

Asilo カバーした歌で喜んでくれる人がたくさんいるというのがわかったので、自分で作った曲も聴いてもらいたいと思うようになりました。

── それがいつくらいのことですか?

Asilo 弾き語り動画を上げ始めて2、3カ月経ったくらいですね。どうやってやったらいいかまったくわからない状態だったんですけど、ギターを弾きながら鼻歌を歌ってそこに言葉をのせていくっていう感じで作り始めました。

── で、できちゃったんですね。

Asilo いや、はじめは全然でした。本当に曲作りは難しくて、改めてカバーさせてもらった楽曲の良さとか、活躍されているアーティストの皆さんのすごさがわかりました。

── デビュー曲となる「Beautiful Rain」はオリジナルとしては何曲目にできたものになるんですか?

Asilo 8曲目とかそれくらいだったと思います。

── 曲を作るときに最初にイメージすることって何ですか?

Asilo 聴いた人の中で情景が浮かぶような曲を作ろうというのは常に意識していることですね。

幸せのトーンが一色ではないというのは雨のおかげで描けたという実感はあります

── ではここからは、デビュー曲にしてSONAR TRAXにもなっている「Beautiful Rain」についていろいろと訊かせてください。

Asilo はい。

── 着想が、映画『ミッドナイトインパリ』を観たことだったそうですね。

Asilo 僕、古着が好きで、古着の持つ何とも言えない感じだったり、今の感覚にはないオシャレな感じってあるじゃないですか。『ミッドナイトインパリ』にはまさにそういう雰囲気があってすごく好きなんですよ。

── 現代と1920年代のピカソやダリが活躍していたパリを行き来する物語ですよね。

Asilo はい。僕は雨が嫌いなんですけど、映画の中で雨の降るシーンが多くて。それで雨っていいものなんだなってちょっと好きになったんですよ(笑)。その雨がすごく印象的だったので、曲を作ろうかなって思いました。ちょうど梅雨の時期で、映画を観終わった後にベランダに出て余韻に浸りながらギターを弾いていたらメロディが出てきました。

── そこを取っ掛かりに曲に仕上げていったんですね。

Asilo あの大人っぽい雰囲気だったり、オシャレな感じをどうやって曲に落とし込もうかっていうのはすごく悩みました。

── やはり、雨というものが重要な要素としてあると思うんですけど、先ほどおっしゃったように、嫌いだったはずの雨がすごく魅力的に思えたっていう価値観の転換がひとつのきっかけになって、そこから曲を仕上げていく中で、例えば雨に感情を寄り添わせたり、想いを仮託したり、曲になっていくにつれて見えてくるものや、そこから感じ取るものがあったのではないですか?

Asilo 歌詞は幸せな気持ちで書いたんですけど、その幸せのトーンというか、それが一色ではないというのは雨があるおかげで描けたという実感はありますね。

── 雨に物語が凝縮されていますよね。その雨の手触りっていうんですかね、降らせ方というんでしょうか、メロディやアレンジとも相まってとにかく絶妙で、だからいまだにギターを始めて1年半の人の曲だとは思えないんですよ(笑)。すごい才能だなと改めて驚いています。

Asilo ありがとうございます。

感覚で自分のイメージする音を見つけていったっていう感じですね

── 今回はバンドでのアレンジ、レコーディングでしたけど、当然ながら初体験なわけですよね?

Asilo そうですね。初めて人と合わせて演奏して楽しかったです。

── しかも、すごいメンバーですよね。

Asilo はい。緊張しました(笑)。

── アレンジはどうやって決めていったんですか?

Asilo まずコードをどうしようっていうところで悩んで。やっぱりコードって曲の雰囲気を決める大事な要素なので、結構そこは考えましたね。で、ピアノを入れて、ドラム、ベースっていう順番でやっていったんですけど、本当に感覚で自分のイメージする音を見つけていったっていう感じですね。

── 自分で打ち込んでいったんですか?

Asilo はい。デモの段階ではそうですね。

── サウンドのイメージとしてあったのは、先ほどもおっしゃった、オシャレ感だったんですか?

Asilo そうですね。映画の中でもジャズが流れていたので、その雰囲気は結構意識しました。

── ジャズを意識してジャズになるのではなくて、ジャズの持つ雰囲気をうまく取り込んでオリジナルなサウンドにしていますよね。きっとそれはAsiloさんの持つ音楽的本能のなせる技なんだろうなと思いました。

Asilo デモの段階ではもっと落ち着いた感じだったんですけど、参加してくださった3人のおかげで、自分の表現したいものが最大限落とし込めた曲に仕上がりました。

── そこに音楽を作る醍醐味、楽しさがありますよね。

Asilo デモの段階では、今僕にあるありったけのものを詰め込んでやっと作ったっていう感じだったんですけど、実際のレコーディングで僕には想像のつかなかったアイデアとか技術を目の当たりにしたので、自分の知らなかった引き出しが開くというか、こういうこともできるんだ!っていう想像が膨らみました。制作期間中、初めてのことばかりだったんですけど、すごく思い出が詰まっているものができました。僕にとって本当に大切な曲ですね。

── 今回ご一緒されたSUKISHAさん、BREIMENのいけだゆうたさん、柏倉隆史さんの3人というのは、ご自身が希望されたメンバーだったんですか?

Asilo そうです。

── ちなみにどうしてこのメンバーだったんでしょうか?

Asilo 僕が音楽を始める前から大好きで聴いていたアーティストさんたちで、その人たちのプレイが好きだったので、ぜひ一緒にやらせていただきたいと思って連絡しました。

── SUKISHAさんとはインスタライブでつながっていたって聞きました。

Asilo そうなんですよ(笑)。インスタライブのコラボ申請を送ったんですよ。もちろん承認なんてされないだろうなって思ってたんですけど、そしたらつながってびっくりして! 結構長い時間お話ししてくださったんですよ。そこで、最近音楽を始めましたって言ったら、じゃあどこかで会うかもねって言ってくださったんです。なので、今回のデビュー曲でその夢が叶ったんです。

── 夢の叶うスパンが短すぎて焦る(笑)。

Asilo あははは。もっと先の話になると僕も思ってました。

── BREIMENのいけだゆうたさんは?

Asilo 楽器屋さんで偶然お会いしたんです! 最初に東京に行った日の帰りにちょっと時間があったので楽器屋でものぞいてみようと思って行ったら、見覚えのある人がいて、あれ? BREIMENのいけださんだ!っ思わず声をかけたんです。そこで、音楽をやっててっていう話をしたら、いけださんが連絡先を交換してくれたんですよ。

── 柏倉隆史さんはどういった経緯で参加されることになったんでしょうか?

Asilo ドラマーの方を僕はあまり知らなかったので、何人か紹介していただいて。その中で、柏倉さんのプレイが一番好きだったのでお願いしました。レコーディングでも本当にすごいプレイでした。〈いつもよりちょっと どしゃ降りだけど〉っていう歌詞があるんですけど、柏倉さんのドラムがまさにその情景を表現してくれました。

── 2サビのハイハットの感じなんかはまさに雨ですよね。

Asilo あそこはびっくりしましたね。その手があったか!って。

オリジナリティの核になる、自分の声にあったキーやメロディ、言葉を意識して曲を作っています

── 歌詞も素晴らしいんですけど、そこは苦労したりしましたか?

Asilo いや、すんなりと、というか、特に1番はスーッと書けましたね。

── イメージができていたんですかね。

Asilo やっぱり映画の印象が大きかったので、自分の中で少し完成形が見えていて、そこに近づけていくだけという感じでした。

── 見えていたものというのは情景や感情ですか?

Asilo そうですね。あとは曲の雰囲気だったり。言葉からもメロディからも雨の美しさが伝わるものにしたいというイメージがありました。

── サビが合唱になっているのも印象的でした。このアイデアはどのタイミングであったんですか?

Asilo 最初のタイミングでサビは合唱にしたいなっていうのは思っていましたね。特に今はこういう時期なので、ライブとかではお客さんも声が出せないじゃないですか。だからいつかライブでこの曲をみんなで一緒に歌えたらいいなっていう想いを込めて合唱にしたいと思いました。

── 「Beautiful Rain」がリリースされて約1カ月ほど経ちましたが、ご自身に届いている反響などあったりしますか?

Asilo 幸せな感じで書きましたって言ったんですけど、いろんな捉え方をしてもらいたくて。人によっては、悲しい物語に聴こえるかもしれないし、それとももっと違う感じに響くかもしれない。そうやってそれぞれで感じてもらうことで、僕の音楽が届いたってことになるのかなっていうのは感じています。失恋したばかりの友達が「Beautiful Rain」を聴いて泣いちゃったってメッセージをくれて、すごくうれしかったです。

── MVもまさに様々な捉え方ができる作品になっていますね。

Asilo 切なさがありますよね。物語がどうなっていくかっていうところは観た人それぞれで想像を膨らませていただけたらうれしいです。

── 曲はどんどんできている感じですか?

Asilo はい、そうですね。

── ちょっと才能の底が知れませんね。

Asilo いやー、でも、まだ始めたばっかなんで壁がいっぱいあって、これを乗り越えていくのは大変だなって今一生懸命がんばっています(笑)。

── でもその壁を乗り越えるのが楽しいんでしょうね。ゲームのステージをクリアするみたいな感じというか。

Asilo ああ、そうですね。すごく楽しいです。やっぱり「Beautiful Rain」の経験が大きいですね。

── どういう意味で大きいと感じますか?

Asilo ありとあらゆる意味で、ではあるんですけど、曲作りということに関して言えば、それまではわりと曲を1曲仕上げるのに時間がかかっていたんですよ。でも「Beautiful Rain」はそうじゃなかったんですよね。

── その違いは?

Asilo それまでは、自分の実体験というか、思っていたことや感情を曲にしていたんですけど、そもそも人生経験が少ないので、もうネタがないなって感じになっちゃってたんです。そうした時に、本や映画からインスピレーションを受けて書くのもいいと思うよっていうアドバイスをもらって、それでオススメの映画をいくつか紹介してもらったんです。その中で一番印象に残ったのが『ミッドナイトインパリ』だったんですよね。

── そういうことでしたか。ぐるっと物語が最初に戻ってきましたね、まるで『ミッドナイトインパリ』のように(笑)。

Asilo はい(笑)。映画からインスピレーションをもらって作るのもいいなって。もともとある映画の物語や雰囲気にインスパイアされて、そこから自分の物語を作っていくというやり方はすごく楽しいですね。

── 自分のオリジナリティってこういうところかなって認識されているのはどういう部分ですか?

Asilo やっぱり僕の声がいいって言ってくれる人が多いので、声というのは自分のオリジナリティの核になる部分なのかなと思います。なので、自分の声にあったキーやメロディ、言葉というのを意識して曲を作っています。

── 自分が一番気持ちよく歌える曲、ということですね。

Asilo そうですね。

── これからどういうアーティストになっていきたいなっていう理想像みたいなものってあったりしますか?

Asilo 楽器を全部できるようになりたいなって思っていて、マルチでやれる人になりたいですね。

── ギターを初めて1年半でこれだから、すぐにできるようになるんじゃないですか(笑)。

Asilo がんばります(笑)。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

リリース情報

配信シングル「Beautiful Rain」
2021年11月3日リリース

プロフィール

Asilo
ポップ・FUNK・R&B・ソウルをルーツに楽曲制作を行う、2001年生まれのシンガーソングライター峰清(ホウセイ)によるソロプロジェクト。2021年よりAsilo(アシロ)として本格的に音楽活動を始動。。アーティスト名は自身のルーツであるフィリピンの言葉『家』という意味で、英語にすると『HOUSE』になる綴が自分の本名と似ていることに由来。11月3日にデビュー・配信シングル「Beautiful Rain」をリリースした。

関連リンク

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番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW

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