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芦田愛菜は2021年の日本の救世主? 『えんとつ町のプペル』『麒麟がくる』で第2のブレイク期に

リアルサウンド

21/1/3(日) 10:00

 6年ぶりの主演となった映画『星の子』も話題を呼んだ女優の芦田愛菜。2020年はバラエティ番組や声優、CMにも数多くに出演し、天才子役として名を轟かせ、2011年の『マルモのおきて』(フジテレビ系)時代を彷彿とさせる活気を呼んだ。昨年末からはNHK大河ドラマ『麒麟がくる』でのたま(ガラシャ)役で初登場し、映画『えんとつ町のプペル』ではメインキャラクターの声優を担当。いずれのニュースもトレンド入りを果たすなど今再びの注目を集めている。第2のブレイク期に突入したと言える芦田愛菜の演技力を再考したい。

 2007年3歳の時に母親の勧めで芸能界入りした芦田は、2010年のドラマ『Mother』(日本テレビ系)で母親のネグレクトに耐える娘役で、自分の感情を極限まで抑え、大人たちに気を使う複雑な感情をわずか5、6歳で完璧に演じ、注目を集める。同年には映画『ゴースト もういちど抱きしめたい』で第34回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞し、そして2011年に『マルモのおきて』(フジテレビ系)で人気を不動のものに。子どもらしさを微塵も感じさせないセリフ覚えと演技力があるからこそ、リアルな子供の姿を演じられる。そんな彼女の演技としての力量も話題を呼んだ要因の一つだろう。そして2013年には映画『パシフィック・リム』でハリウッドに進出するなど、子役としての頂点を極め、天才子役として国民的な人気者となった芦田が、今や16歳の高校生となり、本格派女優へと進化している。

 最近の芦田は、子役時代のピュアなイメージこそ変わらぬまま、どこか心に余裕があるような凜としふるまいと言葉遣いがより大人びた上品さを感じさせる。中学生時代は女優としての露出は抑え気味ながらも、2019年に「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」での祝賀メッセージを述べる大役を担い、『24時間テレビ』(日本テレビ系)のサポーターや『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)でのクレバーな名司会ぶりを見せるなど、“子役”のイメージから“タレント”としての成長を印象づけた。

 そして満を持して主演を務めた映画が『星の子』。新興宗教に深くハマった両親を愛しながらも、自ら人生を踏み出そうとする中学3年生の葛藤を描いた作品。子役時代は大人たちに振り回され、大人たちに気を使い我慢をするという役柄が多かったが、15歳の役を演じることで、友達関係や初恋など多感な思春期の揺れ動く感情だけでなく、自らが人生を選択できることへの葛藤をも表現していく。素直に迷いを観客伝えるその繊細な演技を自然に見せることができるのも、演技力に年齢が追いついたことがなせる技。“天才子役”と呼ばれる女優は、そのイメージがつきまとい苦労することも多いが、芦田の場合は決して子役時代を否定するのではなく、芦田に抱くイメージがアップデートされた演技を魅せる。そこに何か女優を超越した人間的な魅力を感じる。

 12月25日から公開の映画『えんとつの町のプペル』では、ルビッチ役の声優を担当。芦田にとって声優は、『怪盗グルー』シリーズや映画『海獣の子供』、また『気づきの扉』(テレビ朝日系)やNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』でナレーションをするなど、女優業と並ぶキャリアを持つだけに違和感がなく、少年役も見事にハマっている。『まんぷく』でも感じたが、発音の良さや聞きやすい声質だけでなく、言葉が真っ直ぐに伝わってくるのが芦田の声優としての魅力。読解力と想像力が、俳優だけでなく、声優としても成功している理由だろう。

 そして昨年最後に初登場した『麒麟がくる』では、明智光秀(長谷川博己)の成長した娘・たま(ガラシャ)役を演じている。2011年に『江~姫たちの戦国~』での大河ドラマデビュー以来約9年ぶりの大河出演となった芦田。南蛮衣装姿の光秀(長谷川博己)を見て無邪気に笑い、三淵(谷原章介)から生け花を教わる姿、すました時の知的で凛々しい表情など、最近の芦田が持つ上品な雰囲気とピッタリで、戦国の世を忘れさせるピュアなキャラクターを演じている。両親の愛情が注がれて育ったことが伝わり、母親の煕子(木村文乃)が初登場したときのような美しい存在感と似ている。煕子と同じように、光秀を慕い、温かく支える存在だが、このガラシャは、細川家に嫁ぎ、光秀が本能寺の変を企てることで肩身が狭くなり、数奇な人生を歩むことは歴史的にも有名なので、この初登場時のピュアさが、成長していく上でどう変貌していくのか。今作も、親を思い、様々な苦境に耐える芯を強く持った女性という、芦田が得意としている演技になると思われるので、今後の展開に期待が持てる。

 子役としてブレイクした2011年は震災のあった年で、彼女が多くのメディアに登場することで、震災の痛みを和らげる明るい話題を提供したことが、人気となった大きな理由だったように思う。そして2020年、コロナ禍という未曾有の事態の中、これだけ数多くのCMや映画に起用されたということは、彼女のような老若男女に愛される存在を再び時代が求めているとも言える。『麒麟がくる』のたま(ガラシャ)役を皮切りに、2021年は芦田が再び時代の救世主になるかもしれない。

■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00〜放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00〜放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter:@nhk_kirin

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