アカデミー賞監督サム・メンデスがワンカットで第一次大戦中の兵士のドラマを描く──意欲的なチャレンジであることは想像に難くない。なにせ、戦場の混乱に置かれた兵士の奔走を全編にわたって描くのだから、『つぐない』でダンケルクの戦場の5分のシークエンスをワンカットで描写したジョー・ライト以上のチャレンジだ。 その臨場感たるや、ぐったりした負傷者が連なる塹壕の疲労、死体が転がる最前線を行く緊張、どこから弾が飛んでくるか分からない深夜の市街の緊迫など、その空気にただただ圧倒される。時制が一致せず完全なワンカットでないことは明白なのだが、それでも一気に走り抜ける感覚が宿り、観る者を戦場に放り込む。これは凄い！