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番匠谷紗衣が語る、同世代からの刺激と「自分だけの空」を通して見つけた“揺らがない強さ”

リアルサウンド

19/9/26(木) 7:00

 シンガーソングライターの番匠谷紗衣が、先月リリースしたシングル『自分だけの空』。青い空を想像させるスケールの大きな歌声が秀逸な表題曲は、ドラマL『ランウェイ24』(ABCテレビ・テレビ朝日)のエンディングテーマとして好評を博した。同ドラマは番匠谷と同じ20代の朝比奈彩が主演、メインの演出も現役大学生監督として注目を集める松本花奈が務めた作品だ。番匠谷が同世代から受ける刺激とはどのようなものなのだろうか。また、普段から親しい女性シンガーソングライターとの交流から生まれる刺激や発見にについても話を聞いた。(榑林史章)

強さとは、自分を持つこと

ーー「自分だけの空」は、ドラマ『ランウェイ24』のエンディングテーマ。デビューシングルから2曲連続でドラマ主題歌ですね(1stシングル曲「ここにある光」はテレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』主題歌)。

番匠谷紗衣(以下、番匠谷):今回は、Calros K.さんの作曲です。もともと私の引き出しにはなかったキラキラ感が表現された曲になりましたね。

ーー候補曲が他にもあったとのことですが、そのなかからこの曲を選ぶ決め手になったのは?

番匠谷:いちばんドラマに合っていると思いました。あとは、イメージはあっても、自分では出せずにいた、キラキラとした爽やかさがあって。前向きだけど切なさがあるメロディも素敵だったので、この曲を選ばせていただきました。

ーーそんなメロディを歌って、どうでしたか?

番匠谷:めちゃめちゃ難しかったです。聴くと「すごく良い」って思うけど、実際に歌うと難しくて(笑)。本番までにちゃんと歌えるようになるか不安もありましたが、たくさん練習して本番に臨みました。結果的に「自分でもこういう曲が歌えるんだ」という発見にもつながりましたね。

ーー冒頭で〈ah…〉と歌っているところが広い空のイメージととてもよく合っています。

番匠谷:この高音のコーラスを、どう歌うかはすごく考えました。地声なのか、ファルセットなのかハミングなのか。すごく迷って、いろいろ試してみて、その上ではじめから、ガッと地声で行こうと。

ーーそのほうが、力強さが出ていいですよね。

番匠谷:そう言っていただけてうれしいです。諦めなくて良かったです。

ーーでも、ただ音を伸ばすだけみたいな簡単な話ではなかった。

番匠谷:はい。一歩間違えるとただの叫び声みたいになってしまうので。力を抜きつつ力強さも残して、同時に美しさも出したいと思って。そういう歌い方を、どうやったらできるか研究して、今回新たに編み出しました。大げさではなく、本当に何百回も歌ったんです。家でボイスメモに録って、それをスタッフさんに聴いてもらって相談しながら、めっちゃこだわって録りました。

ーー歌って聴いてを繰り返しながら、徐々に方向が定まっていったという感じですね。

番匠谷:もともとデモに入っていた仮歌が、ミックスボイスで歌っていたんです。高い声でも余裕に聴こえるような歌い方で、それがめちゃめちゃ綺麗で。自分もこういう歌い方を目指したいと思いました。でも、これまでミックスボイスで歌ったことがなかったのでなかなか難しくて。低音は歌えるんですけど、高いところは叫んでしまう。どうやったら聴き心地良くできるのか、自分のなかでは壁にぶち当たった感覚でした。

ーーイントロから壁に。

番匠谷:そうなんです。でもおかげで、自分のなかで新しい発声方法を習得できました。この曲と出会わなかったら、一生この声は出なかったと思いますし、今後はこの歌い方も武器にしていけたらいいなと思っています。

ーーサウンドはピアノがメインで、お話いただいたようなキラキラとした印象があります。番匠谷さんのある種のトレードマークであるギターの音は入っていないですが、手持ち無沙汰のような感覚はないですか?

番匠谷:ギターで作る明るい曲と今回の曲では、まったく違うと思うので、音も歌い方も違っていいと思っています。最近は新たな扉を開きたいという気持ちも強いので、ワンマンライブではハンドマイクで歌うことも多いんです。弾き語りももちろんやりますけど、こういうスタイルの曲もどんどん歌っていきたいですね。

ーー“絶対に弾き語りじゃなきゃ嫌だ”という固定概念はない。

番匠谷:ないですね。ライブでは、ピアノの弾き語りもやっているので、今後もいろいろ挑戦していきたいです。

番匠谷紗衣 – 自分だけの空

ーードラマ『ランウェイ24』は、女性パイロットの奮闘を描いた物語ですが、どういう部分に共感しましたか?

番匠谷:自分が憧れた気持ちにまっすぐ、“自分ならこうすべきだ”というものを持っている姿が描かれていて。私自身もそうありたいと思って活動しているので、その部分にすごく共感しました。それに監督の松本花奈さんは、私の1つ上の21歳で女子大生なんです。主演の朝比奈彩さんも25歳で、お二人が同世代の女性であることにも共感しました。

ーーそんなに若い監督!

番匠谷:お二人とお話させていただく機会もあって、そこで感じたのは、朝比奈さんも監督も強い意志を持って作品に臨んでいるということです。どれだけ真剣かがすごく伝わってきて、そのときはまだ曲がデモの状態だったので、私も気合いが入りましたね。

ーー強い意志はどこから感じたのですか?

番匠谷:お二人の眼差しから感じましたね。目を見ただけで、芯の強さを感じて。同世代でドラマの監督を任されるほどの努力を重ねてこられたのだろうし、すごく尊敬できると思いました。朝比奈さんに対しても、もちろんそうです。そのときは少ししかお話できませんでしたけど、たくさんのインスピレーションをいただきましたね。

ーードラマの撮影は、番匠谷さんの地元にある関西空港で、制作には航空会社・Peachが全面的に協力をしているとのこと。

番匠谷:実は、Peachで私の知り合いの方が働いているのですが、すごく熱い思いを持ってPeachを盛り上げたいと思っていて。その方からも、「ぬくもりや励ましなどをひっくるめた、やさしくてガッツのある曲にしてほしい」という言葉をもらって、その言葉も「自分だけの空」にはすごく影響しています。

ーー様々な出会いや気持ちを受けて、どういうことをテーマに歌詞を書きましたか?

番匠谷:主人公の井上桃子が憧れに向かっていく姿に着目して、人生=旅をテーマにしたいと思いました。後半に出てくる〈自分だけの空 怖がらずに色を増やしていこう〉という歌詞は、個人的にもすごく気に入っています。桃子も私も、きっと多くのみなさんが、自分の心を削って働いていると思います。たくさんの人に出会って、そのぶん否定的なことを言われることもありますが、それさえも1つの色として受け入れ、心のキャンバスにどんどん色を塗っていきたいという気持ちを込めました。

ーー受け入れるには、強さも必要です。番匠谷さんのなかで強さとは?

番匠谷:自分自身を持つことだと思っています。小さくても大きくても、何かに憧れる気持ちは誰もが持っているものだけど、どんどん忘れていったり、諦めたり妥協したりしていくもので、私もそうなりそうになります。でも、そういう気持ちと向き合うことを、常に意識することが大事だと思っています。小さくても目標を立てて、それに向かって1つずつ進んでいくことが、日々自分を強くしてくれる。辛い出来事があっても、目標を持って気持ちを切り替えることができたときは、これでまた1つ強くなれたんじゃないかと思うから。もともと私はめちゃめちゃ弱い人間です。今も弱いんですけど、こうやって徐々に強くなっていけたらいいなと思っています。

ーー番匠谷さんはシンガーソングライターに憧れ、それを目標にして追い続け、実現させてきた。

番匠谷:はい。前作の「ここにある光」を書いたときは、“自分ってこんなにも揺らいでしまうんだ”と気づいて書いた歌詞でした。今回の「自分だけの空」は、揺らがない強さをひとつ見つけて書くことができました。私自身、これでまた成長できたかなと思います。

ーー強さと言えば、Twitterでは「何かを犠牲にして生きるほど、強くなれるから大丈夫」と書いていましたね。

番匠谷:高2か高3のときに書いた「春風」という曲の歌詞です。そのときは、就職する人たちがやりたいことがいっぱいあったけど、1つに絞って覚悟を決める姿を見て、そう決めること自体が強さだなと思って書きました。自分を持つという部分では、「自分だけの空」に通じるところがありますね。どちらの曲も働いている人に刺さってくれたらうれしいです。

ーー聴いた人には、「自分だけの空」を見つけてほしいですね。

番匠谷:はい。空はいつでも広がっています。自分の心の空、キャンバスのような空が、いつでもある。自分だけの空を持ってほしいし、自分自身も持っていたいと思います。

ーーカップリングには、番匠谷さんが作詞・作曲した「幸せのなかで」を収録。どういうきっかけで出来た曲ですか?

番匠谷:私は幸せを感じたときに、“本当に幸せになっていいのかな?”と思ってしまうんです。でも、すごく幸せな友だちの表情を見て、幸せになるということは、すごく素敵なことだという気づきがあって、そのときに書けた曲です。同じように感じる人は、けっこう多いんじゃないかな。“こんなに幸せでいいのかな?”と思う人がいたら、不安に感じる必要はないから、どんどん幸せになっていいんだよ、というメッセージを込めています。

ーー弾き語りで作ったんですか?

番匠谷:部屋で、一人で。朝方にパッと思いついたんです。

ーー関空の広い空を思いながら書いた「自分だけの空」とは、対照的で面白いですね。

番匠谷:自分の根本は、どちらの曲にも表れているなと思います。「自分だけの空」を聴いて知ってくださった人は、「幸せのなかで」を聴いて、こういう部分も持っているんだなとか、だから「自分だけの空」にも切なさを感じるのかな? とか、いろいろ想像してほしい。このシングル1枚で、いろんな私を知ってもらえたらうれしいです。

同世代シンガーソングライターから受ける刺激も

ーー初回盤と通常盤のそれぞれに、コブクロの「蒼く 優しく」と、ウルフルズの「笑えれば」のカバーを収録。

番匠谷:今回は大阪を舞台にしたドラマのエンディングテーマなので、大阪のアーティストをカバーしようと決めました。その上で、大好きな方の大好きな曲をいっぱい歌って試して、スタッフのみんなと聴き比べをしながら決めていきました。

ーーコブクロの「蒼く 優しく」と、ウルフルズの「笑えれば」はいいセレクトだなと思いました。

番匠谷:ありがとうございます。コブクロさんは、「蒼く 優しく」がいちばん好きな曲で、小学生のころからカラオケでよく歌っていたんです。もともとは母親が好きで、家でよく流れていて。それで自分も聴くようになって。ウルフルズさんは、音楽を始めてから好きになって、トータス松本さんからいつも元気をもらっています。きっと大阪縛りにしなかったとしても、この二組は絶対入れていたと思います。

ーー前回は、尾崎豊さんの「Forget-me-not」をカバーしていて。カバーシリーズは今後も?

番匠谷:やっていきたいです。ライブでも、カバーを歌うと喜んでもらえることが多いし。SNSで「楽しみにしています」という声をたくさんいただきます。最初は“私がカバーしていいのかな?”という気持ちがあって、今回も正直そういう気持ちはありました。めちゃめちゃ名曲で尊敬している人の曲だから、プレッシャーはすごくあって、レコーディングのときもめちゃめちゃ力が入りました。改めて原曲を聴き込んでレコーディングに臨むんですけど、やれるだけやっても“これでいいかな?”“大丈夫かな?”って、毎回すごく思います。尾崎さんのカバーのときもすごく不安でしたけど、同じアーティストが好きな方とは、何かが通じるみたいです。同志というか。尾崎さんファンの方がカバーをきっかけにして、私のほかの曲を好きになってくれて。今回も、そんな広がりがあったらいいなと思います。

ーーツイキャスでも、よくカバーを披露していて。カバー曲は、どういう風に決めているんですか?

番匠谷:ツイキャスでは、好きな曲を歌うのみです(笑)。ライブでやるときは、その日の会場やどういうお客さんかなどを考えますけど、ツイキャスは、単純に自分が好きな曲を歌うから、聴きたい人がいたら聴いてほしいという感覚ですね。リクエストしてもらって、それをその場で歌うことも多くて。そういうときは、だいたいグダグダになりますけど(笑)。私、流行りの歌をあまり知らなくて。だから最近は、幅を広げて聴くようにしています。

ーーメジャーデビューして以降もツイキャスを続ける理由は?

番匠谷:インディーズのときは毎月休むことなくライブをやっていて、中学3年から高校3年までずっとやってきて。多いときは月8本、それにプラスしてツイキャスもやっていました。メジャーデビューするといろいろ変わる部分も多いですが、それによってお客さんと距離ができてしまうのは寂しくて。私が寂しいということは、きっと応援してくれている人もそう思ってくれているんじゃないかなと。だからツイキャスはやり続けようって。それだけの理由です(笑)。

ーー「自分だけの空」は、主演の朝比奈さんや21歳の女性監督といった同性の同世代から刺激を受けて制作。ライブでは、ましのみさん、坂口有望さんなど、同世代の女性シンガーソングライターと共演する機会も増えていますね。

番匠谷:もともとはその人の曲が好きで、それで友だちになった人ばかりです。今仲が良いのは、ましのみちゃん、坂口有望ちゃん、みきなつみちゃん、西片梨帆ちゃん、湯木慧ちゃんなどですね。みんなその人のキャラクター性が、曲にすごく表れているから面白いです。歌詞を共作してくださっている高橋久美子さんも、仲良くなればなるほど久美子さんらしさがそれぞれの詞に出ているなと感じますし。

ーーそういう友だちとは、どういう遊びをするんですか?

番匠谷:最近すごく仲が良い湯木慧ちゃんとは、スケボーをして遊びました(笑)。一緒にご飯を食べていたら、湯木ちゃんが急に「スケボーしたくない?」って言い始めて。私も「したいかも」と思って、その流れでスケボーを買いに行ったんです。結局、私だけコケまくって、一瞬で飽きてましたけど(笑)。

ーー(笑)。

番匠谷:あとは、部屋に集まって一緒に歌ったり、ギターを弾いたりしていますね。“やっぱりいい声だな”と思ったり。歌い方を間近で見て、“こうやって歌うから、こう響くんだな”と勉強にもなることもあります。実際に話をすると、やっぱりみんなどこか変わったところがあって。“そういう視点でものを見てるんだ!”と発見があります。同じものを見ても、みんなまったく違うんです。みんないろんなことを考えているし、いろんなことを研究していて、誰よりも感じる力を持っている。そういう人が集まると、お互いのちょとしたひと言で、“なるほど”と気づかされることも多くて。みんなめちゃめちゃ面白いから、話が尽きないし、ずっとしゃべっていたいし。そのなかでも、私がいちばん変わっていると、みんなからは言われますけど(笑)。

ーーこの子には負けないぞとか、ライバル心みたいなものは?

番匠谷:みんな、どこかでは絶対に負けたくないと思っていると思います。ただお互いを尊敬しているし、いちファンでもあるから、何か良いニュースがあれば自分のことのように嬉しくて、それを変に羨むようなことはないです。お互いを俯瞰から見て「今、番匠谷紗衣は世間的に見てこうだから、次はこうしたほうがいい」とか、すごく分析したアドバイスをくれるんです。私も言いますし。自分だけじゃなく、お互いが売れたいと思っていて、そのために一緒に頑張ろうと思ってくれています。ラジオに呼んだり呼ばれたり、お互い売れてビッグになって、一緒に「良かったね」って喜び合えるようになりたい。そうなってから、何か一緒に大きなことがやりたいとよく話しています。

ーー女性シンガーソングライターは、負けず嫌いが多くて、みんな繊細という印象ですよね。

番匠谷:面倒くさい女ばっかりです。そのなかで私がいちばん変わっていると言われているから、私がいちばん面倒くさい女だってことなのかもしれないですね(笑)。

(取材・文=榑林史章)

■ライブ情報
『JIGOKU-MIMI vol.03』
9月26日(木)仙台Rensa
開場18:00/開演18:30

<出演者>
番匠谷紗衣/UNIDOTS/indischord and more…

<チケット>
前売り¥2,000
GIP会員¥1,000
当日券¥2,500
※1drink別¥500当日
*チケットぴあ(157-986)
*ローソンチケット(22025)
e+
チケットGIP

『BIGCAT 20th Presents 百花繚乱』
9月27日(金)大阪BIGCAT
開場18:30/開演19:00

<出演者>
Anly/片平里菜/LOVE/番匠谷紗衣

<チケット>
前売り全自由¥3,500(D別)

『FM802 30PARTY MINAMI WHEEL 2019』
10月12日(土)、13日(日)、14日(月・祝)
会場、出演者、チケット先行受付など詳細はHPにて

 

■リリース情報
2ndシングル『自分だけの空』
8月21日(水)発売

初回限定盤(CD+DVD)2,200円+税

<CD>
1.自分だけの空(ドラマL『ランウェイ24』(ABCテレビ)エンディングテーマ)
2.幸せのなかで(共通カップリング)
3.蒼く 優しく(初回盤のみ)
4. 自分だけの空(Instrumental)

<DVD>
「ここにある光」「自分だけの空」の2本のMVとオフショットや、地元大阪での活動の様子が満載の映像を収録予定。

通常盤(CD)1,200円+税

<CD>
1.自分だけの空(ドラマL『ランウェイ24』(ABCテレビ)エンディングテーマ)
2. 幸せのなかで(共通カップリング)
3. 笑えれば(通常盤のみ)
4. 自分だけの空(Instrumental)

番匠谷紗衣リンク オフィシャルHP
ユニバーサル ミュージックHP
番匠谷紗衣Twitter(@Saaae)
OFFICIAL Twitter(@banjoyasae)

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