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大友克洋、「AKIRA」連載中に徹夜明けで短編アニメ制作の日々「本当に楽しかった」

ナタリー

大友克洋

「<角川映画祭>『迷宮物語』公開記念トークイベント」が本日11月28日に東京・EJアニメシアター新宿で行われ、同作の一編「工事中止命令」の監督である大友克洋が登壇した。

これは11月19日より開催されている「角川映画祭」内のイベントとして企画されたもの。「迷宮物語」は大友の監督作「工事中止命令」、りんたろう監督作「ラビリンス・ラビリントス」、川尻善昭監督作「走る男」の3本からなるオムニバスアニメで、1987年に劇場公開された。大友は「工事中止命令」で短編アニメーションを初めて手がけ、ロボットに囲まれた工事現場を任された男が心身ともに追い詰められていくさまを描いた。

制作当時はマンガ「AKIRA」の隔週連載中だったという大友。「元マッドハウスの丸山正雄さん(現MAPPAの代表取締役会長)から短編を1本作ってみないかとお声がけいただいて。15分くらいの作品だったらできるんじゃないかと、二つ返事でお答えしました」と経緯を説明し、「1週間で『AKIRA』を描いて、そのあと徹夜明けでマッドハウスに(アニメ制作をしに)行っていました。現場では絵コンテやレイアウトもたくさん描かせてもらって。新しいことを覚えるのが本当に楽しかったんです」と振り返る。

大友は「工事中止命令」で背景原図も手がけた。裏話として「制作後に『あれどこにいったの?』と聞いたら、『1枚も残っていないです』と言われて(笑)。コピーもしていなかったので、原画もレイアウトも手元に残っていないんです。本当は全集にも入れたいんですけど。まんだらけで売られているのかな」というぼやきも。また南阿佐ケ谷にあった当時のマッドハウスについて「初めて行ったときはスラムかと。びっくりしました。昼間に行くと誰か寝ていたりして、それも楽しかった。マンガはアシスタントと家で描きますけど、あんなに大勢で作業をするのがうらやましかったです」と思い出を語った。

また「ワールド・アパートメント・ホラー」「蟲師」といった実写映画も監督している大友は、実写とアニメの制作の違いを「アニメは一から自分で作れるけど、実写映画は分担作業じゃないですか。いろんなものが頭の中でイメージできてしまうので、思い通りにならないという現実とのギャップが難しいですね。ただアニメはどこにでも自分の色が出てくるので、作る前にどれくらい勉強しているかとか、どれくらい世界に目を向けているかが重要になってくる。そんなに引き出しはないので、厳しい中でやりくりしながら作っています」と説明。さらに「アメリカはスタッフ枠が細分化されているけど、日本は監督が1人で作っているところがある。カリスマ性が求められるというか。監督というより、どこか作家に近いんですよね。新しい作品を観に行くというよりは、監督の作品を観に行く感覚に近い」と日米の違いについて持論を展開した。

「角川映画祭」は角川映画の45年記念企画。「犬神家の一族」の4Kデジタル修復版など全31作品が上映される。東京・テアトル新宿、EJアニメシアター新宿ほかでも開催。

角川映画祭

東京都 テアトル新宿 2021年11月19日(金)~12月16日(木)
東京都 EJアニメシアター新宿 2021年11月19日(金)~12月9日(木)
大阪府 シネ・リーブル梅田 2021年12月~
埼玉県 ところざわサクラタウン ジャパンパビリオン ホールB 2021年11月19日(金)~
<上映作品>
「犬神家の一族(4K修復版)」
「天河伝説殺人事件」
「復活の日(4K修復版)」
「里見八犬伝(4K修復版)」
「蔵の中」
「人間の証明(4K修復版)」
「スローなブギにしてくれ」
「麻雀放浪記」
「蘇える金狼(1979年)」
「野獣死すべし(1980年)」
「ねらわれた学園(1981年)」
「時をかける少女(1983年)」
「Wの悲劇」
「早春物語」
「汚れた英雄」
「天と地と」
「セーラー服と機関銃」
「友よ、静かに暝れ」
「花のあすか組!」
「探偵物語(4K修復版)」
「メイン・テーマ」
「黒い家(1999年)」
「晴れ、ときどき殺人」
「二代目はクリスチャン」
「ボビーに首ったけ」
「幻魔大戦」
「カムイの剣」
「時空の旅人」
「ファイブスター物語(ストーリーズ)」
「迷宮物語」
「戦国自衛隊」

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