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ロイ-RöE-が語る、『ストロベリーナイト・サーガ』OP曲で貫いたクリエイティブへの強い意思

リアルサウンド

19/5/30(木) 18:00

 昨年10月に1st デジタルEP『ウカ*』でunBORDEからデビューを果たしたロイ-RöE-。ダークとポップを自然に共存させたサウンドメイク、繊細かつドラマティックなメロディライン、シリアスな感情を美しく描き出すリリックによって確実に注目度を高めている彼女から、1stデジタルシングル『VIOLATION*』が届けられた。

ロイ-RöE- VIOLATION* [Official Music Video] フジテレビ系ドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」オープニングテーマ

 ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)のオープニングテーマとして話題を集めているこの曲は、Face 2 fAKEとのコライト楽曲。鋭利なロック感と妖しいポップネスを共存させたトラック、ドラマの主人公・姫川玲子の目線とロイ自身の心象風景を重ねた歌詞を軸にした「VIOLATION*」は、クリエイター/シンガーとしての彼女の才能を改めて示すことになりそうだ。(森朋之)

 誰からも“ダサい”と思われたくない

ーーロイさんのクリエイティブの源泉について聞かせてください。歌詞に関しては文学作品からインスパイアされることが多いようですが、アレンジやサウンドメイクのルーツはどういうところなんですか?

ロイ-RöE-(以下、ロイ):インストや映画音楽が多いですね。もともと好きだったというより、音楽をやろうと決めてからしっかり聴き始めたんです。小説やエッセイを読むようになったのも歌詞を書くためだし。ステップアップが下手というか、遠回りすることが多いから、何をやるにも時間がかかるんですよ。機材の説明書も読むのに時間がかかって、遊びながら触っているうちにやり方を覚えていく感じなので。

ーー徒手空拳というか、本当に独学なんですね。

ロイ:そうですね。ギターをはじめたときも教本を買ってみたんですけど、専門用語がぜんぜんわからなくて。意味を調べてみたら、そこに書いてある用語もわからなかったから、読むのをやめて、とりあえずコードだけ覚えて。ドラムやベースのことも何も知らなかったので、はじめの頃に作ったデモがトリッキーすぎるんですよ(笑)。事務所の方に興味を持ってもらえたのは、そのおかげかもしれないですね。いま聴いても「これ、音楽なの?」という感じなので。

ーー音楽知識がなくて、感覚だけで作ったことが個性につながったのかも。

ロイ:音楽を続けていると、少しずつ知識が付いてくるじゃないですか。それはいい面もあるし、悲しい部分もあると思うんですよね。レコーディングのときに「こうしたい」と伝えたり、自分のイメージを共有するためには知識があったほうがいいんだけど、理論がわかっていないほうがおもしろいものが出来たりするので。自分のなかで駆け引きをしている感じですね。

ーーいずれにしても、ロイさん自身がクリエイティブの中心にいるということですよね。

ロイ:完璧主義なのかもしれないですね。アレンジもすべて自分が関わっているから、ちょっとした変化もすぐにわかりますね。「ここにノイズを入れたんですけど、どこに行っちゃいました?」とか(笑)。どのアーティスト、どのクリエイターからも「ダサい」と思われたくないという気持ちもあって。ひとつの曲に対して、ミュージシャンは「いい」と思っても、詩人の人が聴いたら「ダサい歌詞」ということもあるかもしれないなって。そう思われてしまったらしょうがないけど、ひとつひとつの作品に対して、「勝負!」というか、ケンカを売ってる感じはあるかも(笑)。自分の過去をすべて誇れるものにしたいですからね。

ーーなるほど。最近も制作のために映画を観たり、本を読んだりしてますか?

ロイ:音楽を始めた頃みたいに意識的にやっているわけではないんですけど、無意識のうちにやってますね。何をしても、何を観ても、自分の表現と絡めてしまうというか。お笑いを観ていても、「この演出、何かに取り入れれないかな」とか。服を買いに行っても、「この刺繍みたいな曲を作ってみたい」と思ったり。テレビのバラエティなんかも、「この人のコメントはいいな。どこがいいんだろう?」とかね(笑)。性格が悪そうな人が出ていても、「こういうキャラクターの人を歌詞に登場させたらおもしろいかも」と思ってメモしたり。映画なんて特にそうで、音楽、声、衣装、映像とか、芸術が集まっているじゃないですか。頭を空っぽにして楽しめるのは、『ドラゴンボール』かな。あとは『NARUTO-ナルト-』とか。バトルものは、ロイの音楽とだいぶ遠いので(笑)。

ーー確かに(笑)。他のアーティストのライブを観に行くことは?

ロイ:あまりないかも。いいライブを観ると、ジェラシーを感じちゃうんですよ。テレビの音楽番組もそう。嫉妬しちゃうんです。

ーージェラシーを感じるって、はっきり口にできるのはすごいと思います。

ロイ:そうなのかな? アーティストの方に対するリスペクトがあるから言えるのかもしれないですね、たぶん。恋愛だったら、そうはいかないじゃないですか。好きな男性と仲良くしている女の子に対して、「あの子にジェラシーを感じる」とは言えないので(笑)。

わかりやすいだけの歌詞は、歌詞にする意味がない

ーー昨年の秋にunBORDEからメジャーデビュー。活動や制作に関して、何か変化したところはありますか?

ロイ:いままでは自己完結していたんですけど、デビューしてから、クリエイターの方と関わることが増えて。「VIOLATION*」のジャケットをデザインしてくれたQ-TAさんもそうですけど、自分がピックアップした方に声をかけて、“ロイ”チームに加わってもらっています。自分が考えていることだったり、一緒に作ったものを共有しながら作品が出来上がっていくのは大きく変わったところですね。

ーーロイさんが思い描いているビジョンを具現化できる環境が出来つつある、と。

ロイ:そうですね。いままでは自分の頭のなかを人に見せようとしてなかったんですよ。曲だけ作って、「あとはご自由に」という感じだったんですが、最近は「こういう映像を思い描きながら曲を作りました」とか「なのでこういう衣装を作ってほしいです」ということも伝えるようになって。参加してくれるみなさんもロイの好みだったり、嫌いなことも理解してくれてますね。最初はどう伝えていいかわからなかったんですよ。イメージはあるんだけど、伝えるための言葉がなかったので。でも、みなさんと接しているうちに「この人にはこういう伝え方をしたほうがいいな」とか「あの映画の感じで」という言い方もできるようになって。

ーー曲を作るときは、最初に映像があるんですね。

ロイ:そう、最初に映像が浮かぶんですよ。「少女のヒロインがいて、下着でベッドの上にいて……」とか。ちょっと乱暴な女の子がヒロインの映画が好きっていうのもあるんですけどね。特にフランス映画とか、チェコの映画とか。そこから細部を考えていって、それをクリエイターのみなさんに伝えながら作っていく感じですね。

ーー音楽、ビジュアル、映像をトータルで組み立てていく。

ロイ:大変だけど楽しいです(笑)。人にすべて任せてしまうと、必ず「ここは違うな」という部分が出てくるじゃないですか。それで後悔するんだったら、やれることはやったほうがいいし、そのほうがしっかり世界観を構築できるので。

ーーなるほど。では、シングル曲「VIOLATION*」について聞かせてください。制作はやはり映像をイメージするところからのスタートですか?

ロイ:そうですね。今回はドラマ(『ストロベリーナイト・サーガ』)のタイアップで、映像がすでにあるのでやりやすかったです。『ストロベリーナイト・サーガ』のロゴや映像をインプットして、そのうえに自分をどう乗せるかっていう。ヒロインの姫川の目線で歌詞を書くというのも決めていたし、自分のなかには『火の鳥』(手塚治虫)のイメージもあったんですよね。宇宙、命、細胞とか、心臓がバクバク動く感じだったり。そこからトラックを作り始めて、自分のなかにあるイメージに寄せていきました。

ーー作曲・編曲は音楽プロデューサー・チームのFace 2 fAKEと共作ですね。

ロイ:まず、サビのメロディを一緒に作ったんです。それを持って帰って、自分でアレンジを組み立てて、“こういう雰囲気にしたいです”とうデモを作って。いきなり「『火の鳥』みたいなイメージにしたい」って言っても伝わらないので(笑)、まずはデモを聴いてもらって、Face 2 fAKEさんとやりとりしながら固めていきました。自分のデモは美しいストリングスが入っていたんですけど、Face 2 fAKEさんに歪んでいたり、暴力的な雰囲気の音を入れてもらって。両方が混ざって、すごくいい感じになりましたね。Face 2 fAKEさんとは聴いてきた音楽、年齢、性別もぜんぜん違うし、真逆なんですよ。自分とは違うテイストが欲しかったので、一緒にやれてよかったです。

ーー“自分と違うテイストを入れる”というのが狙いだった、と。

ロイ:はい。「VIOLATION*」の前にも自分で10曲くらい作ったんですよ。いい曲もあったんですけど、やっぱり“ロイ”の曲でしかなくて。せっかく素敵なドラマのオープニングテーマを任せてもらえるんだから、もっといい曲にしたいと思って、最後に「誰かと一緒に作ってみよう」と。「VIOLATION*」が出来たとき、「これがいちばんいい」と思えたんですよね。

ーー曲を良くするために最善な方法を選んだということですね。

ロイ:そうですね。もちろん、こだわってるところはありましたけどね。どんなに「キャッチーじゃない」「わかりづらい」と言われても、「ここは絶対に直さないほうがいい」ということもあったし。わかりやすいだけの歌詞は、歌詞にする意味がないと思うんですよ。そういう言葉はTwitterに書けばいいし(笑)、歌詞はアートなので、作り手はとことんこだわったほうがいい。リスナーの方には自由に受け取ってもらいたいし、BGMとして聞き流してもらってもいんだけど、出すほうは「こうしたい」という意思を持って作らないと。もしかすると、周りからは「めんどくさい女だな」と思われてるかもしれないけど(笑)、言いたいことは言うようにしてます。

ーークリエイティブにとってはすごく大事なことだと思います。

ロイ:むかしは、なかなか言えなかったんですけどね。まわりは自分よりキャリアのある人たちばかりだったし、「この部分のベースのフレーズをこうしたい」と思っても、緊張してしまって、気持ちを押し殺したり。でも、納得できないまま作品を出すとしたら、めっちゃ失礼じゃないですか。「このケーキ、自信ないけど食べてみて」とは言えない。やっぱり「すごくおいしいから食べて」って差し出さないと。

ロイとして表現するときは女性らしさが大事

ーー〈目と目の愛撫〉〈鏡越しの君とわたし、共犯して〉など、強く印象に残るフレーズをちりばめた歌詞も素晴らしいなと。

ロイ:最初の4行を書いた時点で、「いい曲になるな」と思えたんですよね。ひとつひとつ強い言葉を並べたくて、意味と響き、見栄えを意識しながら。ドロドロした部分、激しい部分をそのまま出すのではなく、美しく表現したい気持ちもありましたね。ドラマもそうなんですよ。イチゴを効果的に使ったり、映像としてすごく美しくて。自分の曲が単に闇を描いているだけだったら、安っぽくなるし、ドラマにも合わなくなるだろうなと。

ーー前作『ウカ*』の収録曲の歌詞も、随所にロイさんの美意識が反映されていて。やはり美しさが大事なんですね。

ロイ:それを過剰に表現することが好きなんです。中原中也や三島由紀夫が好きなんですが、彼らの作品もそうだと思うんです。鬱陶しいくらいに自我があるんだけど、それを説得力のある美しい言葉で出されると、頷かざるを得ないというか。本を読んでいても、すごいこだわりを感じるんですよ。「ここは四角い文字だけをあえて並べてるんだな」とか。

ーー印刷されたときにどう見えるか? という。

ロイ:そうそう。自分もそうなんです。デザインにもこだわっていて、「ここは半角あけ」「ここは全角」とかまで気にしているので。

ーーボーカルに関しては、どんなことを意識していたんですか?

ロイ:ニュアンスや声の表情は大事にしてました。かなり重たい歌詞なんですけど、悲しく歌うより、ほくそ笑むような感じがいいなって。“ここは裏声のほうがいい”とか、細かいところも考えて。いろいろと提示して、いちばんいい歌い方をオーディションで選ぶような感覚ですね。歌は昔から自信があったんですけど、最近は「どんな環境でもしっかり歌えるようになりたい」と思っていて。体幹を鍛えたり、トレーニングもやってます。食べるものも気を付けるようになりましたね。以前はレコーディングの前にビーフジャーキーを食べたりしてたんですけど(笑)、それもやめて。終わったらめっちゃ食べますけどね。ビーフジャーキーとイチゴオレとか。

ーーすごい組み合わせですね(笑)。

ロイ:好きなんですよ(笑)。あと、声を加工しているところもけっこうあって。たとえば〈鏡越しの君とわたし〉のところは不気味な雰囲気になってるんですが、それはエンジニアの井上うにさんがやってくださったんです。アーティストが要求したことだけではなくて、「これはどう?」って提示してくださるんですよ。そうやってこだわりを持って関わってくれるのが嬉しくて。制作中もけっこうニヤけてましたね(笑)。

ーーMVについても聞かせてください。“少女たちが洋館で儀式を行う”というシチュエーションが描かれていますが、制作はどうでした?

ロイ:監督(東市篤憲)から「“少女が儀式を行う”という設定はどう?」と提案してもらって、すごくしっくりきて。“外の世界を知らない少女”というのも好きな世界観だし、洋館で撮りたいというアイデアもすぐに浮かんで。『ストロベリーナイト・サーガ』とも離れていないし、でも、まったく一緒でもなくて、いいMVになったと思います。撮影の現場でもいろいろ意見を言わせてもらって、アドリブも加えられたし、出演してくれた女の子たちの演技もすごく良かったんですよ。少女と女性の間の時期の危うさが感じられて。

ーー“少女性”もロイさんの音楽に欠かせない要素ですよね。

ロイ:そうですね。13才から16才くらいの女の子が主人公の映画が好きだし、そのくらいの年齢の女の子には無垢さと危うさが両方あって、それを美しいと感じてしまうので。自分が表現するときも、女性ならではの魅力を出したいと思っているんですよ。たとえばファッションにしても、“出すところは出す、引っ込めるところは引っ込める”という衣装が好きだし、コルセットやピンヒールもよく使っていて。ふだんはパンツルックやダボダボの服も着ますけど、ロイとして表現するときは女性らしさが大事だと思っているので。

(取材・文=森朋之)

■リリース情報
1st Digital Single「VIOLATION*」
2019年5月22日(水)

<収録曲>
1. VIOLATION*
WARNER MUSIC JAPAN/unBORDE

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■ドラマ情報
フジテレビ系ドラマ 木曜劇場「ストロベリーナイト・サーガ」
毎週木曜22:00~22:54

■ライブ情報
「GRAND MENU」
日程:2019年6月18日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:月見ル君想フ(東京都港区南青山4-9-1 シンプル青山ビルB1)
出演:熊川みゆ、ロイ-RöE-
チケット前売:全自由¥2800(ドリンク代別途¥600)
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■関連リンク
ロイ-RöE- 公式WEBサイト
Official Twitter @RoEstaff
Official Instagram @_roeworld_

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