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戸田恵梨香の中で目覚めた「揺るぎない強さ」 『スカーレット』愛ゆえの裏切り

リアルサウンド

20/3/12(木) 12:00

 武志(伊藤健太郎)は白血病を患ったことを誰にも言いたがらない。しかし喜美子(戸田恵梨香)は、母として先手を打つのであった。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第136話は、苦しむ武志と大崎(稲垣吾郎)が喜美子に教えた、患者との付き合い方が描かれた。

 武志の次世代展の発表の日、喜美子は親戚中を集めてお祝いをする準備をしていた。しかし、武志は病気のことを誰にも話したくないと言う。信楽中に伝わることが嫌だと言う武志。噂をされることの苦しみは誰よりもよくわかっていた。研究所では、次世代展の結果が発表される。武志を含め、同じ研究室に選考を通過したものはいなかった。掛井(尾上寛之)に検査入院で研究室をしばらく休むことを伝える武志だが、検査の内情を苦し紛れに“陶芸家に向いている性格”かどうか調べると嘘をつく。掛井はそんな武志に、まだ始まったばかりだと諭し、「勝負を挑むのは自分やで、自分が自分と戦うんや」と声をかける。

【写真】稲垣吾郎撮り下ろしカット

 そんな中、喜美子は武志が病気のことを周りに言いたがらないと、大崎に相談した。すると、大崎は「患者さんの気持ちは揺れます。しっかりと向き合おうと思ったり、投げやりになったり。強くなったり弱くなったりを繰り返す」と説明し、「揺るぎない強さを持つ」ことをとアドバイスする。その時、喜美子は既に自身が揺るぎない強さを持っていることに気づかされた。武志の次世代展入賞を見越して集められた直子(桜庭ななみ)と百合子(福田麻由子)は、喜美子の判断で武志の病気について知ることになる。そこには、武志を治すための喜美子の愛ゆえの裏切りがあった。

 みんなが当たり前のように、“これから”の話をする。武志はそんな環境に戸惑いを隠せないでいた。余命がわかっている武志は、未来の話に敏感になっている。自分には訪れないかもしれない“未来”を喜べず、希望を見出せずにいた。そんな苦しさもあり、次世代展の落選は武志の気持ちを大きく揺さぶる。

 一方で、喜美子は大崎の電話により自身の中の「揺るぎない強さ」を再確認する。前を向いた喜美子は直子や百合子に根回しし、武志の骨髄ドナーになるための検査をお願いした。武志が恐れて前に進めない中、喜美子は武志の病気を明かしたくないという気持ちに背いても治療の手立てを考える。母の強さ、そして喜美子の強さが前面に出た回だった。

(Nana Numoto)

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