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雨のパレード、Dos Monosとの共作「惑星STRaNdING」で示した“ボーダーレス”な音像

リアルサウンド

19/12/12(木) 18:00

 3人体制となって初のフルアルバム『BOREDERLESS』を2020年1月22日にリリースする雨のパレード。まさに本作はタイトル通り、あらゆる境界を超えていく具体的な音像、ビートが鳴っている作品に仕上がった。その証左となるような先行デジタルシングル曲「惑星STRaNdING(ft. Dos Monos)」が、現在のリアリティとエッジを兼ね備えた音楽を追いかけているリスナーの間で話題を呼んでいる。

(関連:雨のパレードに聞く、海外と共鳴する音楽感覚と普遍的なポップスへの挑戦

 Dos Monosは荘子it(MC/トラックメーカー)、TaiTan(MC)、没 a.k.a NGS(MC/DJ)からなるヒップホップユニット。その音楽性にはトラップ以降のヒップホップともグランジラップとも、日本のオーバーグラウンド、アンダーグラウンドのヒップホップとも異なる音楽的な出自があり、主にフリージャズやプログレ、時にインダストリアルなロックの要素も感じさせる。

 表面的な日常と実はつながっているバグや歪みを表現していると荘子itはインタビューで語っているが(参考:NEUT Magazineインタビュー)、彼らのバックボーンを知らなくても、2019年のムードのなかで例えばビリー・アイリッシュと並行して聴いていたり、<Warp Records>がSpotifyで公開しているプレイリストにDos Monosの「Clean a Nerves」が入っていたことで、例えばフライング・ロータスと並行して聴いていたリスナーもいるだろう。このプレイリストを聴くリスナーはどちらかといえばダークで内面にダイブするような世界観を好んでいるように思うが、その中でDos Monosの音楽性はヒップホップというスタイルを超えて響いたのだ。

 ある種のウィルスのように伝播しているDos Monosと、雨のパレードとの邂逅は必然だったとしか言いようがない。今回の「惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)」でのコラボ以前に、雨のパレードの3人体制初のシングル『Ahead Ahead』(2019年4月)に収録された「Hometown feat. TABU ZOMBIE(from SOIL&“PIMP”SESSIONS)」ではリミックスでDos Monosが参加。原曲にあった福永浩平(Vo)のボーカル部分をガッツリDos Monosのラップに差し替え、トラックも再解釈。その後、雨のパレードのツアーや8月に雨のパレードが出演した『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』にもゲストで出演し、大いに雨パレのファンにも馴染みのある存在になったというのが、2019年の2組の関係性だ。

 そこでアルバム『BORDERLESS』に先駆けてのデジタルシングルで、アルバムにも収録されるコラボナンバー「惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)」が、今の雨のパレードの攻めの姿勢を表明しているのは必然的だ。DTMでの音源制作が本格的になった福永は荘子itのトラックメイキングに惹かれたのだろう。本作の作曲は完全に両者の共作で、歪んだシンセのイントロからフューチャーベース的なローの強さなど、現在の福永の指向性に、荘子itのブリコラージュ的な手法で引き延ばされる音の塗り重ねがシームレスに融合。無意識に飛び込んでくる音の破片がありつつ、全体的にはチルでダークなムードで展開する。福永とDos Monosの3人が書いたリリックのテーマは“音楽的なScience Fiction”とのことで、タイトルの“stranding”とは「座礁」や「糸」「細かい繋がり」を意味し、4人4様のリリックが綴られて、宇宙空間の孤独と繋がりへの淡い期待がうっすらと浮かび上がる。ちなみにタイトル表記の中で小文字の「a」は雨のパレードを、「d」はDos Monosを指し、大文字=言葉の渦の中でそれぞれが座礁しているイメージに落とし込まれたというのも、言葉や表記が与える感覚に鋭敏な両者らしいセンスだ。

 だが、雨のパレードにとってチャレンジングなのはDos Monosとのコラボだけではない。すでに世に出ている「Ahead Ahead」や「Summer Time Magic」、「Story」、「Trust」といったEDM以降のポップス表現を蔦谷好位置という、初の外部プロデューサーを迎えた作品で実現し、同じアルバムに収録されることに時代性と、このバンドの個性が象徴されている。ポピュラリティを意識したアプローチと、個にフォーカスしたコアミュージックを同時期に制作し、1枚のアルバムに集約するということ。さらに言えば、一見両極に思える蔦谷プロデュース楽曲とDos Monosとのコラボ以外のアルバム曲も一貫して、バンドがこの1年半、苦悩しながら進んできたかなり素直な言葉が福永によって綴られているということ。この自然と発生した軸が、これまで以上にバンドという形態から自由なサウンドメイクを可能にしたのだろう。「惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)」は一つの強烈なフックだが、それもアルバムの中ではいい意味で一つのピースであることは、きっと全貌が見えた時に理解できるだろう。(石角友香)

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