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Baby kiy、SNS時代に求められる本質的な美しさ 全国ツアー最終日に感じたアイコンとしての魅力

リアルサウンド

19/11/11(月) 17:00

 ネットの大海原を航海すると、無数のキラキラしたものに私たちは出会う。そこはもはや加工と編集で作りあげられた、“なりたい自分になれる世界”だ。それが決して悪いことだとは思わないが、だからこそ本質的に美しいものに人々は敏感なのではないだろうか。

Baby kiy

 10月22日、全国ツアー『BABY KIY TOUR 2019 “All About You”』のツアーファイナルで東京・日本橋三井ホールに降り立ったBaby kiyは、とても美しかった。それは、ただ単に容姿の話ではない。音楽をピュアに楽しんで、喜怒哀楽を包み隠さず全部見せて、目の前の人に丁寧に寄り添う。指先のアクションだけでは作りあげることのできない輝きで、彼女は観客を魅了したのだ。

 ステージ上に作り上げられたビーチの日が落ち、波の音に導かれバンドメンバーが登場。風に揺れる海のように期待感で会場がざわめくと、秋らしいオレンジのワンピースに身を包んだBaby kiyが現れた。オープニングを飾ったのは、デビュー曲である「Stay Here Maybe」だ。絹のような柔らかな声は転がるようにフロアを満たし、観客の体を自然に揺らす。「一緒に歌って! 足りない!」と煽る笑顔はいたずらで、夏の太陽のように輝いた。

 人気ナンバーの「Before the sunshine」は、レゲエアレンジ。脱力感のある空気は、彼女のプライベートパーティーに招かれたような心地よさを感じさせる。「Never get enough」を切ない表情で歌い上げ、Baby kiyという世界観にグングン引きこんでいった。

 楽しそうにセッションする姿を魅せつけたのは、新しくアレンジされた「Time for moving on」。ギター3本の重なりが心地よく、バンドで奏でるからこその意味を音が物語る。「Hey Darling」ではまっすぐな高音でホールを響かせ、クールな顔つきでテイラー・スウィフトの「Mean」をカバー。くるくる変わる表情は全く嫌味がなく、その自然体な姿には女の子の憧れそのものである。

 曲名のコールに歓声が沸いたのは、「Trouble」だ。キラーチューンの登場に、思わず口ずさむオーディエンスが続出。その光景を眺めるBaby kiyは心底嬉しそうで、ライブの説得力がより一層増していく。

 多彩な魅力でファンの心を掴んで離さないBaby kiy だが、そのポテンシャルを一番発揮させたのは「Rainbow」ではないだろうか。10代の頃、人生で最初に作ったという曲は、あまりにも繊細で力強い。一つひとつの言葉を手渡すように歌う姿が印象的で、誠心誠意の思いを歌に詰める彼女に会場中が吸い込まれていった。

 アップテンポなバンドインストを挟み、Baby kiy はオフホワイトのワンピースに衣装チェンジ。クリーントーンのギターソロが涙を誘う「Your eyes」を歌い上げ、後半戦のアクセルをグッと踏み込んだ。その後も「To The Paradise」「Kiss goodbye」と、多彩な表現を展開。サーフボードで波を乗りこなすように、音楽の大海原も華麗に浮かんでみせた。

 「All About You」をインストで奏でると、その流れに乗っ取って「Lazy Boy」へ。アルバム発売前とはいえ、音源と同じ流れを生演奏で聴かせるのは粋な演出である。「新曲を聴いてください」と告げ導かれたのは、「GIRL FRIEND」。抑揚が鮮やかについた王道ポップスに仕上がっており、女性特有の凛とした強さを感じさせた。過去の日々を懐かしむように「Hummingbird〜キセツハズレノハナビ〜」を声で紡ぐと、いよいよライブも終盤。ラストソングとなったのは、Baby kiyを語るうえで欠かせない1曲の「Stay Together」だ。この曲だけは撮影OKということで多くのレンズが彼女に向けられたのだが、その全てに楽しそうな表情を向ける姿が印象的だった。その様子はBaby kiyというシンガーが、“ファンと常に一対一で向き合ってきた証明のひとつ”と言っても過言ではないのではないだろう。アンコールでは「Don’t Let Me Go」で会場を盛り上げ尽くし、ツアーファイナルを締めくくった。

 必要以上に眩しいものに、現代は溢れている。だからこそ、ナチュラルで体の芯から美しさが溢れているBaby kiyのような存在が、時代を柔らかく灯してくれるのではないだろうか。『All About You』を発売し、新たな魅力を開花させた彼女から今後も目が離せない。

(取材・文=坂井彩花)

Baby kiy 公式サイト

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