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美弥るりかが想像力で生徒たちを導く「SHOW-ISMS」マトリョーシカ版開幕

ナタリー

20/7/28(火) 21:35

新作ミュージカルスケッチ「マトリョーシカ」より。

「SHOW-ISMS」のバージョン「マトリョーシカ」が、本日7月28日に東京・シアタークリエで開幕した。ステージナタリーでは、同日に劇場で行われたゲネプロの様子をレポートする。なお本記事にはストーリーに触れる記述や舞台写真が含まれるため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。

本公演では、小林香が手がける舞台シリーズ「SHOW-ism」の歴代キャストと、新型コロナウイルスの影響で中止となった同シリーズの最新作「マトリョーシカ」の出演者によるステージが展開。バージョン「マトリョーシカ」では、新作ミュージカルスケッチ「マトリョーシカ」が全編披露され、美弥るりか、平方元基、夢咲ねね、樋口麻美、下村実生、今拓哉、保坂知寿らが出演する。このほかの出演者には、2011年の「Underground Parade」から中川晃教、彩吹真央、藤岡正明、2012・2013年の「TATTOO 14」から水夏希、シルビア・グラブ、保坂、2014年の「ピトレスク」からクミコ、中川、JKim、保坂といった面々も名を連ねた。

新作ミュージカルスケッチ「マトリョーシカ」の舞台は、野原高校の夜間コース。劇中では、そこで教えるバンビ先生(美弥)を中心に、学習障害を持つ中卒の建設作業員・ヌーボ(平方)、16歳で妊娠し、親に勘当された現在33歳のシングルマザー・モモ(夢咲)、元暴走族で現在は夫からDVを受けている女性・番長(樋口)、酒癖が悪く、生活苦で家を失ったおやっさん(今)、歌手を目指し、高校を中退して上京したマイコー(塚本直)、読み書きがほぼできず、野原高校の普通コースに通う娘・のぞみ(下村)にも見下される主婦・のりちゃん(保坂)といった生徒たちの姿が描かれる。

後方に階段と五角形のパネルが設置された舞台上には、あちこちに学校の机と椅子、パソコンなどが置かれ、舞台前方中央の机には、人の頭ほどの大きなマトリョーシカ人形が載っている。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下にある日本を舞台とする本作は、遅れて新学期がはじまった夜間コースのリモート授業のシーンからスタート。マトリョーシカ人形が置かれた机のそばに立ったバンビ先生は、タブレットの向こうにいる生徒たちへと話しかけていた。

型破りな授業を行うバンビが、夜間コースでは異例となる合唱コンクールへの出場や、学校祭のショー発表会への参加を宣言すると、一部の生徒から反発が起き、「ショーなんて不要不急」「普通に授業をして卒業させて」と声が上がるシーンも。しかしバンビは手を緩めず、一緒に歌や踊りを楽しんだり、演劇の手法を取り入れたゲームをしたりして、生徒たちの想像力や夢見る力を解き放ちながら、彼らが希望を見つける手助けをする。夜間コース生たちが、バンビ先生に提示された条件に当てはまる場合は床に描かれた円に入る、というゲームを行う場面では、「暴力を受けた経験がある?」「言葉の暴力で友人をなくしたことがある?」「夢を持っている?」といった質問を通し、社会的に弱い立場にある生徒たちが思わぬ共通点に気付いて互いに心を通わせ、連帯していく様子が表現された。

また夜間コース生たちが修学旅行の中止を嘆いていると、バンビは“修学旅行ごっこ”を提案。生徒たちはイギリスの「ロンドン橋落ちた」、イタリアの「フニクリ・フニクラ」など、各地ゆかりの楽曲をにぎやかに歌い踊ることで、遠く離れた場所に思いを馳せた。バレエダンサーになるのが夢だったモモは、モスクワでバレエを観たいという願いを口にして、「白鳥の湖」に合わせて美しい踊りを見せる。また常におどおどしていた北海道の漁村生まれののりちゃんが、舞台中央で力強く「ソーラン節」を歌うと、場内には大きな拍手が起きた。

ミステリアスなバンビを演じる美弥は、しなやかな身のこなしやダンスを披露。一見クールに生徒を突き放しているようでありながら、彼らを受け入れて見守るバンビの温かさを、柔らかな笑顔で表現する。平方は、勉強ができないことにコンプレックスを感じつつも、周囲の人間に手を差し伸べる優しいヌーボをまっすぐに演じ、今は、バカにしていたヌーボに助けられたことでおやっさんの心が動かされる様子を、歌声や仕草を通して繊細に表す。また樋口演じる番長のくるくると変わる表情や、彼女の歌う韓国民謡の力強さ、そして下村演じるのぞみが、次第に母との関係性を変化させていく姿にもぜひ期待しよう。

「マトリョーシカ」が終演すると、歴代「SHOW-ism」キャストたちのコンサートがスタート。舞台では「TATTOO 14」の紹介ムービーが上映されたのち、水とシルビアが姿を現す。シルビアは、出演当時の水が宝塚歌劇団を卒業したばかりだったことに触れて「めちゃめちゃ“兄貴”でしたよね!」と言い、会場を笑いで包む。その後2人は声を合わせて「TATTOO 14」の劇中ナンバーを歌唱した。

2011年の「Underground Parade」からは彩吹が登場。ゲネプロでは同チームの中川と藤岡が「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」出演のため不在だったが、彩吹は東日本大震災の直後に上演された「Underground Parade」の思い出を語り、劇中歌を歌い上げた。

続いて舞台には「ピトレスク」よりクミコ、JKim、保坂が現れる。まずクミコがエディット・ピアフの「群衆」を情感たっぷりに歌い、その後3人は主題歌「ピトレスク」と、ベートーベンの第九をもとにした「自由の歌」で美しいハーモニーを響かせた。

「SHOW-ISMS」バージョン「マトリョーシカ」の上演時間は約2時間10分。公演は8月4日まで行われる。出演者は日程により異なるため、公式サイトで確認を。また本作では劇場での上演に加え、一部公演でStreaming+でのライブ映像配信を実施。視聴料金は税込4000円となり、アーカイブや見逃し配信は行われない。

「SHOW-ISMS」

2020年7月20日(月)~8月4日(火)
東京都 シアタークリエ

バージョン「DRAMATICA / ROMANTICA」

2020年7月20日(月)~25日(土)※公演終了。7月25日公演は出演者の体調不良により中止。

バージョン「マトリョーシカ」

2020年7月28日(火)~8月4日(火)

出演
マトリョーシカ:美弥るりか / 平方元基、夢咲ねね、樋口麻美、下村実生、今拓哉、保坂知寿 / 塚本直、神谷直樹、池田美佳、井上真由子
DRAMATICA / ROMANTICA:彩吹真央、JKim、知念里奈、新妻聖子、井上芳雄
Underground Parade:中川晃教、彩吹真央、藤岡正明
TATTOO 14:水夏希、シルビア・グラブ、保坂知寿
ピトレスク:クミコ、中川晃教、JKim、保坂知寿
∞ / ユイット:井上芳雄、彩吹真央

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