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乃木坂46、Negicco、でんぱ組.inc……2013年の“アイドル名盤”を振り返る

リアルサウンド

13/12/31(火) 20:24

 2013年も残すところ残り数時間。ラジオからは「幸せな結末」が流れている。アイドルソングにも多大な影響を残した日本のポップミュージックの巨星の死という、受け入れ難い悲報の中でこの連載を執筆している。

 今年7月から始まったこの連載。現在進行形のアイドルシーンをリアルタイムで追いながら、アイドルの未来への可能性の光を追い求め続けていた。今年最後のこの連載。音楽サイトとしての原点に立ち返り、アイドルポップの2013年を振り返ってみたいと思う。今回焦点を当てるのは“アルバム”。握手会やサイン会などで接触するイベントによって、売上を増やしてきたアイドルのCD販売において、アルバムは一枚あたりの単価が上がってしまい、総売上的にはシングルCDと比べると落ちる傾向にある。そんな中でも、アルバムを作品としてリリースすることに大きな意味を感じ、2013年に世に送り出された素晴らしい作品を、2013年の総括として数枚紹介させて頂き、アイドルポップの真髄をもう一度再確認して行こうと思う。

 まずは各所でも名作と誉高いNegiccoの『Melody Palette』。結成十周年目にして、初のオリジナル・アルバム。Negiccoと長きに渡り共に歩んできたプロデューサーのconnie氏が、本作でもトータルプロデュースを担当。渋谷系に憧れながら育った彼が、彼の中にある渋谷系像を西寺郷太氏、吉田哲人氏、長谷泰宏氏らと共謀しながら具現化し、現在進行形で見事に作り上げた傑作アルバムだ。そんな中に、リアルな渋谷系時代を生きた小西康陽氏が「アイドルばかり聴かないで!」という、本気か冗談か幻惑の楽曲で、外野からは魅力的ながら不思議な世界だった渋谷系へと誘っている。

 西寺氏と言えば、トータルプロデュースを担当した、bump,yのファーストアルバム『pinpoint』も忘れてはならない。80年代のジャニーズが持ち合わせていたような、ストレートなポップスでありながらも、どこか暗さや憂いを感じるサウンド。それを蘇らせた楽曲の数々と、桜庭みなみや高月彩良ら端正な美少女が故に兼ね備えている影のような部分と相まって、非常に美しい作品となっている。

 でんぱ組.incの『WORLD WIDE DEMPA』も今年大きなインパクトを残した一枚だろう。前作からの2年間にリリースされたシングル中心の構成ながら、最上もが、ピンキー!を加えた現体制になって初のアルバムということもあり、でんぱ組の今の時間と熱量を見事にトレースした作品となっている。今、時代の半歩先をでんぱ組が走っていることを再確認させられる一枚。また「FUTURE DRIVER」は現メンバーで再録され、新しい作品へと生まれ変わったのも特徴的だ。

 先進性という意味ではCheeky Parade『Cheeky ParadeⅠ』も特徴的だった。チップチューン、ダブステップ、オートチューンなど今のネット音楽カルチャーでの中心的シーンとなっている要素を使いつつ、多くの人が楽しめるポップチューンへと見事に落としこむことに成功した意欲作。収録曲「チェケラ!」は新しいポップミュージックの可能性を見せてくれた。

 でんぱ組同様に、メンバー変更による再録でも注目なのが愛乙女☆DOLLのファーストアルバム『DOLL COLLECTION I』。ライブアイドルシーンで名曲を送り出しているCHEEBOW氏やSHUN氏などを配し、ライブアイドルシーンを突き破る圧倒的な熱量とともにメジャー感を生み出した、インディーズ作品とは思えない傑作。「Knock Knock, Boom Boom」はチキパの「チェケラ!」と同じヒゲドライバー氏が楽曲提供を行っている。ニコニコ動画などのシーンから次世代のポップミュージックの中心的人物が生まれようとしている。

 当連載でも多く取り上げて来たAKB48グループからは、NMB48の『てっぺんとったんで!』を挙げたい。吉本新喜劇というより、松竹新喜劇の様な、笑って泣いて胸が熱くなる。そんなNMB48らしい大げさなまでに劇的に展開するドラマを一枚のアルバムで感じることが出来る。劇場型アイドルであるAKB48グループの進化系であり、大衆演劇の一座のような作品に、AKB48グループに潜む無限の可能性を改めて感じさせられた。

 今年最後に、アルバムではなくシングルとなるが、アイドルの未来を感じた一枚を紹介させて頂きたい。乃木坂46『君の名は希望』だ。カッコイイやキモチイイが兎角追求されがちなアイドルソングの中で、美しさと、その美しさが裏腹で持ちうる切なさや残酷さを、まっすぐに描いたアイドルポップ史上に残る名曲である。この作品が照らしだした光こそが、アイドルポップの未来という名の希望である。

■エドボル
放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

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