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「フリースタイルバトルだけでは食べていけない」Zeebraが身をもって知った、メジャーシーンに切り込む重要性

リアルサウンド

13/9/18(水) 8:00

20130917zbr-03.jpgイベントには『BAZOOKA!!!』でお馴染みの小籔千豊らも出演する

 スカパー!オリジナル番組『BAZOOKA!!!』から生まれた『高校生RAP選手権』(以下、『RAP選手権』)の第4回全国大会が9月21日に赤坂BLITZで開催される。それに先駆け、大会コミッショナーのZeebra氏に話を訊いた。インタビュー後編となる今回は、『RAP選手権』についてさらに掘り下げた話から、日本の音楽シーンへの提言まで行う。

前編:「ヒップホップは“バイオレンス”を“競技”に変えた」Zeebraが教える、高校生RAPの見どころ

――フリースタイルの結果は、ある意味、好き嫌いもありますよね? 過去には、判定への不満が出た大会もあります。それでも高校生たちが、この『RAP選手権』に出る意義というのは?

Zeebra:俺自身もなんですけど、ラップを始めて、ある程度自分なりの活動をしていた時期と、日本のシーンの中に実際自分で切り込んでいってからと、世界が全然違うんですよ。自分で出て行ける程度の知り合いのところで曲作ったり、ライブをしたりしている時は、正直、何も動かなかったですね。日本のシーンやそのシーンにいる人たちのところに切り込んでいって、そこで頭角を現して、大きく進めた。今はTwitterやインターネットなどSNSがあるので、いろいろと前に出て行くやり方がある。YouTubeラップとかもありだとは思う。けど、やっぱり注目されようと思うなら、こういった場に突っ込んでいくことが大切だと思う。こういった高校生のためのフィールドは、なかなかないじゃないですか? こうやってメディアもピックアップしてくれる。間違いなく認知度は上がる。実際に、出ている子の中には営業が増えてきて、喜んでいるヤツもいますよ。

――なるほど。Zeebraさんでいえば、「Grateful Days」で日本のシーンに切り込んで、自身の作品『BASED ON A TRUE STORY』につなげていった。

Zeebra:特にフリースタイルバトルは、結局は即興じゃないですか。フリースタイルバトルのキングだったというのは指標にはなるけど、それだけでは食っていけない。ラッパーとして、アーティストとして立っていくためには、作品が必要になる。その作品は、あまり中途半端な形で外に出すのはよくない。ただ、フリースタイルバトルは即興なんで、よっぽどヘタクソすぎない限り、マイナスプロモーションになりづらい。『RAP選手権』は、初めに予選があるんで、あまりお粗末なのは出られないようになっているしね。それに、高校生だから。何かやらかしてしまっても、4年もあれば復活できる。

――おっしゃられたように、フリースタイルバトルのみでは食べていけません。そして、現実として、私のような1980年代世代で、フリースタイルバトルで強烈な個性を見せたのに、作品として成功につながるラッパーが出てこなかった。それはなぜなのでしょうか?

Zeebra:その前の70年代世代には、たとえばKREVAだったり、般若だったりがいた。彼らはフリースタイルバトルで実力を証明する前に、自分たちの作品、制作が形になっていた。すでに作品があって、フリースタイルバトルがプロモーションの場となっていた。だからじゃないっすかね。アメリカでも、フリースタイルバトルで名を馳せたヤツで、セールス的に成功したヤツはあんまりいない。EMINEMにしても、大きな大会に毎回出場して優勝していたというわけではない。街のフリースタイルバトルでやっていただけ。それはJAY-Zとかもそうですよね。たとえば、フリースタイルバトルがとんでもない強さだったSupernaturalも、作品は泣かず飛ばず。フリースタイルフライデーで、勝ち抜いていって話題になったチャイニーズアメリカンのJinも、Ruff Rydersに引き抜かれてアルバム出したけど、その一回で終わっている。今はメジャーに出てきてないしね。この話は表現が難しいし、いろいろな理由があると思うけど、何度も聞きたい曲を作るのと、その場を表現することの違いとかですかね。

20130917zeebra.jpgZeebra『BASED ON A TRUE STORY』(ポリスター)

――そういう意味では、高校生に限定して、高校生が今後に向けて名を売る場であり、こちらもその競技を純粋に楽しめる場にしたというのは、理想かもしれないですね。

Zeebra:そうですね。さっき話した“突っ込んでいった”時に出会った人たちとは、そこからずっといい付き合いをしている。仲間ですね。それを作るのは一番大切かもしれない。ライバルであり、戦友でもある。高校生たちも、今大会で出会ったヤツらをそう思っているんじゃないかな。高校を卒業したヤツもいるじゃないですか。高校生活の中で、『RAP選手権』という場があって、そこで一緒に戦った仲間みたいな感じ。そういう場があって、切磋琢磨するのは全体のレベルが上がる。自分や自分の周りではすごいと思っても、大枠に出してみたら甘かった、と思うこともある。そういった経験をできることは大切だと思う。

――Zeebraさんが数年前におっしゃられた言葉で、私が好きな言葉があります。「今すぐ学生全部をB-BOYにしたい。だから、批判を受けようと、いろいろな場に出て行く」と。『RAP選手権』出場者は、その頃の小学生だった世代だと思いますが、実際に触れ合ってみていかがですか? ヒップホップは根付いたでしょうか?

Zeebra:お父さんみたいな気持ちしかない(笑)。うらやましい。俺も今の時代の高校生になりたいなーって。高校でフリースタイルバトルやりてぇなーって思います。俺がいま高校生だったら、高校を仕切って、全部右向け右にさせる。文句も言わせない(笑)。日本語でラップする行為は根付いたと思います。アイドルだってラップする。日高(光啓、AAA:SKY-HI)みたいなちゃんとしたヤツもいれば、本当のアイドルラップもある。ただ、ヒップホップの楽しみ方は2~3割しか伝わっていないかな。ヒップホップっていうジャンルの楽しみ方が広まれば、さらに面白くなると思いますね。その楽しみ方のひとつがライミングだったりすると思うので、この『RAP選手権』で、バトルのスリリングな競技っぽい感じが広がればいいんじゃないかな。

――では、この『RAP選手権』は、日本のヒップホップのシーンにも十分に寄与しているということですね。

Zeebra:もちろんです。みんな喜んでるし、高校生だけではなくて、いろいろなアーティストもピックアップしてくれている。今の若いヒップホップアーティストには、いろいろなタイプがいるじゃないですか。その中で端から端まで、尖ったところをピックアップしてくれている。やっぱり、普通の番組は局やスポンサーの意向があっていろいろ難しいところがあるけれど、この番組はその間口を広げてくれた。そのおかげでいろいろなアーティストを呼べた。だから誰が見ても、番組に説得力もあると思います。9月21日、楽しみにしていてほしいっすね。

***

 インタビュー終了後、Zeebra氏やマネジャー氏と「KREVAをフリースタイルバトルで一番追い込んだのはMOTOYだよね」「2002年の般若は、会場を完全にロックしていた。なんか言葉の熱さが伝わっていた」と雑談に花が咲いたが、『BAZOOKA!!!第4回高校生RAP選手権全国大会』でも、そういった“伝説”が生まれるはず。そして、それは会場にいないと伝わってこない“熱”でもある。9月21日(土)、赤坂BLITZに足を運んでみてはいかがだろうか?

(取材・文=石井紘人[@FBRJ_JP]

●『BAZOOKA!!!第4回高校生RAP選手権全国大会』
日時:9月21日(土)16:00開場 17:00開演(予定)
会場: 赤坂BLITZ(東京都港区赤坂)
出演者:小籔千豊、真木蔵人、紗羅マリー、レイザーラモンRG
Zeebra、DABO、SIMON、DARTHREIDER、DJ KEN-BO
主催:スカパーJSAT株式会社
運営・制作協力:DISK GARAGE
お問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~19:00)

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