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『美少女戦士セーラームーン』『プリキュア』 今も愛され続ける少女アニメのルーツは?

リアルサウンド

21/3/28(日) 10:00

 かつてゴールデンタイムのテレビアニメで全国の女の子を虜にした『美少女戦士セーラームーン』(1992年)。大人のアニメファンにも人気が及んで、放送は足かけ5年、シリーズ全5作品が制作された。第1シリーズの放送終了から20年以上の時を経て、スタッフを一新した新作テレビアニメ(当初はWeb配信)『美少女戦士セーラームーンCrystal』(2014年)と、その続編劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』前編・後編(2021年)が公開。92年放送のテレビアニメ版を観て育った世代を中心に話題を呼んだ。

 また、2020年に公開された劇場用アニメ『魔女見習いをさがして』は、やはり少女向けテレビアニメとして放送され、人気とともにシリーズ化された『おジャ魔女どれみ』(1999年)の20周年記念作品だ。劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』のように、子供の頃に番組を観ていたハイターゲット層を狙った映画で、思い出に再会するような気持ちで映画館に足を運んだ人も多いと思う。そこで、時代を超えて愛され続ける少女アニメの歴史をたどってみよう。

 前述の『おジャ魔女どれみ』と同じ時間枠で放送が始まったのが『ふたりはプリキュア』(2004年)で、このプリキュアも毎年キャラクターと舞台を変えながらシリーズが継続し、2021年3月から第18作目の『トロピカル~ジュ!プリキュア』がスタートしたばかりだ。

 『セーラームーン』、『どれみ』、『プリキュア』に共通しているのが、女の子が不思議な力で変身する、あるいは魔法を使うという点。魔法も変身も、少女アニメとは切っても切れない重要なファクターだろう。そのルーツをさかのぼると、横山光輝の漫画をアニメ化した『魔法使いサリー』(1966年)にたどりつく。現在の東映アニメーションが、まだ東映動画という社名だった頃に制作されたテレビアニメで、放送開始当時はまだモノクロだった(放送途中からカラー化)。『魔法使いサリー』の後番組として『ひみつのアッコちゃん』(1969年)、『魔法のマコちゃん』(1970年)と、この少女アニメ路線は、東映魔女っ子シリーズとして後々まで続いてゆくこととなる。

 『セーラームーン』や『プリキュア』のルーツとなる、魔法少女または魔女っ子と呼ばれる少女アニメの主人公は、出自が大きく2パターンに分かれる。異世界から人間界にやってきたために、最初から魔法が使える少女と、普通の人間の少女が魔法を授かる設定のものだ。『魔法使いサリー』のサリーは魔法の国から、『魔法のマコちゃん』のマコは深海の国から来た設定で、どちらも魔法の力を最初から備えている。『ひみつのアッコちゃん』のアッコや、『花の子ルンルン』(1979年)のルンルンは、魔法のアイテムを授かった人間界の女の子である。『セーラームーン』、『どれみ』、『プリキュア』各シリーズの主人公も、これらと同じくコンパクトやブローチなど、魔法が使えるアイテムを受け取った普通の女の子が変身する。人間界の女の子が魔法で変身する作品に共通する事項として、言葉をしゃべる動物がパートナーになる点が挙げられる。魔法世界からの使者として人間界の少女に変身アイテムを渡すことが多いのだ。スタジオぴえろが制作した魔法少女シリーズ『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年)、『魔法のスターマジカルエミ』(1985年)なども、この中に入る。

 東映魔女っ子アニメの歴史の中で制作された、永井豪原作の『キューティーハニー』(1973年)は、アンドロイドの主人公が魔法というより体内の装置を使った化学の力で変身を果たし、敵組織と戦うバトルヒロインの要素があるが、『セーラームーン』、『プリキュア』も系統としては、このバトルヒロイン路線に含まれるだろう。魔法少女ものといっても、異世界から人間界にやってきた女の子が、人間社会の中でさまざまなことを学んで成長するタイプの日常作品もあれば、魔法のアイテムで変身した主人公が、シリーズを通して出てくる敵組織と戦うバトルものの作品もある。そうしたジャンルの多様性も、少女アニメのもつ魅力といえる。

 ひとくちに少女アニメといっても、魔法を使う女の子が出てくる作品ばかりではない。『キャンディ・キャンディ』(1976年)に代表される、海外を舞台にしたラブロマンスもの、『夢色パティシエール』(2009年)のように、女の子があこがれる職業をモチーフとしたものなどジャンルは多様だ。対象年齢も未就学児童から、10代の子ども向けの作品まで多岐にわたる。女の子が興味を持つアイテム、職業、ファッションなど、その時代性に寄り添って常に変化を続けているジャンルだ。

 10年以上も続いている『プリキュア』シリーズもまた、毎年テーマが変わり続けて、音楽がテーマの『スイートプリキュア♪』(2011年)、美味しくて可愛いスウィーツを扱った『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017年)、星座と宇宙をテーマに、主要メンバーの中に宇宙人が加わった『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019年)といった具合に、視聴者の少女の好みや世間の流行、あるいは時代の変化に合わせて変化することが、息長いシリーズ作品の秘訣といえる。果たしてこれからどんな少女アニメが生まれてくるのだろうか? 大人の視線からも見守って行きたいものだ。

■のざわよしのり
ライター/映像パッケージの解説書(ブックレット)執筆やインタビュー記事、洋画ソフトの日本語吹替復刻などに協力。映画全般とアニメを守備範囲に細く低く活動中。

■公開情報
劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』
前編・後編、公開中
キャスト:三石琴乃、金元寿子、佐藤利奈、小清水亜美、伊藤静、福圓美里、野島健児、皆川純子、大原さやか、前田愛、藤井ゆきよ、広橋涼、村田太志、中川翔子、松岡禎丞、渡辺直美、菜々緒
原作・総監修:武内直子
監督:今千秋
脚本:筆安一幸
キャラクターデザイン:只野和子
アニメーション制作:東映アニメーション/スタジオディーン
主題歌:「月色Chainnon」ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤静)
配給:東映
(c)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会
公式サイト:sailormoon-movie.jp
公式Twitter:@sailor_movie

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