コロナ以降、世界中の人がマスクをするようになりました。もちろん日本でも、外出時や他人と会話する時などマスクが必須な状況に。でもマスクって煩わしい一面がありつつも、良い点も。マスクはウイルス感染を防ぐと同時に「ブスを隠す」という効果が。

今回、これだけ多くの人のマスク姿を見るにつけ、つくづく、人間の顔って上半身（顔の上半分）より下半身（顔の下半分）の方が大事だなと実感。だってマスクをすることで、ほぼ全員、イケメン度や美人度がアップしていると思われるから。

マスク姿の人を見て「この人不細工だな~」って思うことってあまりなくないですか？　顔の上半身にある「目」って、確かに大小や一重二重の違いはあるけれども、女性の場合、アイメイクである程度どうにでもなりますから。シラスのような目でもメダカ程度まではメイクでいけちゃいますから。

だけど、顔の下半身にある小鼻や口元って、そう簡単にはごまかせなくて。骨格とか構造上の問題ですからね。「鼻」の場合、穴の大小や上向き加減でかなり左右されるし、「口」の場合、唇の大小や厚み、口角の角度、あと出っ歯加減などポイントがたくさんありまくりで。でもって、この部分って多くの人が多かれ少なかれ何らかの難を抱えています。

私の場合も、鼻の穴が大きくて横広だし鼻の下が長いです。あと口元が前方に出ているし、唇が厚くて色も悪い。まさに顔の下半身は、難のデパート状態です。だから、その部分をマスクで隠せるのだから、美人度は自ずと上がりますし助かります。

先日、仕事現場であった女性スタッフの子も、マスク姿は目がつぶらで小動物みたいな可愛い人だと思っていたのに、マスクを取ったらワイルドな出っ歯だったものだからびっくりです。ハムスターと思いきやビーバーだったみたいな感じで、その獰猛さにちょっと引いてしまいました。

今、私に付いてくれているマネージャーは、今年新卒で事務所に入った女の子なんですが、今のところコロナ禍でしか一緒に仕事をしていないという状況。なので、基本マスク姿しか見てなくて。だから、たまに一緒にご飯を食べる時だけマスクを取るのですが、毎回、新鮮に「誰だ？　コイツ！」って思いますもん。多分、今、街でマスクなしの状態で偶然会ったら無視すると思います。

だから、今年のコロナ禍で仕事をした新たなスタッフの方々って、次に会った時、分からないような気がします。最近も映画の撮影があったのですが、最初のスタッフさんとの顔合わせ、衣装合わせから全員マスク姿で。クランクインからクランクアップまで素顔が見られない状況。せっかく長い時間、一緒に仕事をしたスタッフさんなのに、他の現場で会ったとき「この人誰だっけ？」ってなりそうで。

でも、この現場は、ありがたい事に全てのスタッフさんの名簿を作ってくれて、そこにはマスク有・無の両方の写真が付いていて。これは非常に助かりますが、ここまでしてくれたら絶対に覚えなきゃいけないというプレッシャーも感じている次第です。

マスクには慣れてきましたが、やはり声が聞き取りにくかったり、表情が読み取りにくかったりストレスはあります。早く、マスクなしで大笑い出来る日が来るといいですね。

構成・文：松田義人（deco）

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
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