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『アライブ』松下奈緒×木村佳乃に大きな亀裂 クライマックスさながらの折り返し地点に

リアルサウンド

20/2/7(金) 6:00

 “腫瘍内科の取材”という名目で近付いてきたジャーナリストの関河(三浦翔平)から、薫(木村佳乃)が関東医科大学病院にいた時代に医療過誤を起こしたことを聞かされる心(松下奈緒)。それでも彼女は関河に対して不信感を抱き、薫に気を付けるようにと忠告する。2月6日に放送されたフジテレビ系列木曜ドラマ『アライブ がん専門医のカルテ』は折り返しとなる第5話を迎え、これまで築かれてきた心と薫の関係に大きな亀裂が走るエピソードとなった。

参考:向き合う、清原翔と小川紗良

 今回は「粘液型脂肪肉腫」と診断された患者・長尾(遊井亮子)の物語がサイドストーリーとして描かれた。夫と13歳の息子の親権をめぐる調停中であることを理由に、自分が病気であることや息子が窓から家を抜け出そうとして骨折したことを夫に知られまいと自費診療を申し出たり、仕事を休めないからと具体的な治療期間を教えてくれと詰め寄る。結果
的に穏便に話がまとまることとなったわけだが、これらはがん治療によって患者が置かれる社会的環境の現実を明確に物語っている描写であるといえよう。

 そうした中で、このドラマが始まってからおそらく初めて、物語の舞台となる横浜みなと総合病院にもきちんとソーシャルワーカーがいることが描かれた。それは「がん相談支援センター」という病院に設置されている相談窓口であり、今回の長尾のように治療についてや経済的な支援制度や社会復帰、さらには患者本人や家族の心のケアなど様々な相談ができる場所である。もっとも劇中では、これまでも今回もその役割を心たち腫瘍内科の面々がほとんど担っているため、若干リアリティに欠けるような印象を受けなくもないが、病を抱えた患者と真摯に向き合う医師たちの姿を描くことで視聴者に少しでも“現実”が届きやすくなるのであれば、それは決してネガティブなものとは言い切れない。

 とりわけ、すっかりこのドラマの“ほっこり”パートとなりつつある、研修医の結城(清原翔)と乳がん患者で抗がん剤治療に進む前に卵子凍結を決めた佐倉(小川紗良)のやり取りはその代表的な一例であろう。前回のエピソードで佐倉というキャラクターは、心や京太郎(北大路欣也)らが匠(中村俊介)の死と向き合う中で、その対比となるように新たな命と向き合う役目を果たしていたが、今回からは高坂(高畑淳子)と同様に気丈にがんと向き合う患者、つまりは限りなく視聴者に近いポジションとしての意味合いを強めていくことになるのではないだろうか。

 さて終盤で、25年前に薫の父が医療過誤で命を落とし、母が裁判を起こすも敗訴したという過去が明らかにされる。当時の執刀医が謝罪もないままこの世を去ったことに激昂する薫は、そこで今の自分がしていることがその執刀医と同じであり、またそれに向けた怒りと同じものを心が自分に向けるであろうと気が付くわけだ。そして屋上ですべてを告白した薫に心が告げる「消えて」という一言と、完全に2人の信頼関係が崩壊する瞬間。はやくもクライマックスさながらの緊迫した空気がこのドラマを包み込んだようだ。 (文=久保田和馬)

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