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BTSメンバーを想定した兵役法の改正、その背景と入隊延期によるメリットは? DJ泡沫氏に聞く

リアルサウンド

20/12/7(月) 6:00

 韓国国会において、12月1日に兵役法の改正案が可決された。内容は軍への入隊の延期対象に大衆文化芸術分野の優秀者が追加されるというもの。入隊年齢が近づいているBTSメンバーを想定した立法とされており、改正によって30歳までの延期が認められる(以前は30歳まで延長可能だったが、近年の改正で延長期間がなくなり現在は28歳まで)。入隊延期による影響やメリット/デメリットなどについて、韓国アーティストはじめ、韓国文化にも詳しいライターのDJ泡沫氏に話を聞いた。

 多くの韓国アーティストたちは満28歳まで活動し、入隊しているが、この背景について泡沫氏は以下のように語る。

「国防の義務は韓国憲法第39条に明記されています。韓国内での男子の兵役というのは納税などと同じく、重要な義務。ですが、学生であれば試験や海外留学、アーティストならツアーなどといった特殊な都合がある場合は一定期間延長可能で、多くのアイドルはギリギリに入隊する場合がほとんどです。最近は低年齢化していますが、日本に比べると韓国のアーティストはデビューが少し遅く、一般的に20歳前後。そこから3〜5年で人気が出始めるという傾向で、20代後半の人気絶頂期に活動ができなくなってしまうのは痛いので、28歳ギリギリまで入隊を延ばすことが多いのだと思います。グループの活動が途切れたり、一部のメンバーが不在だとファンダムのモチベーションが下がりがちですから」

 泡沫氏は、今回の改正案自体は1年ほど前からあったが、可決されたのはBTSが米ビルボードチャートで1位を獲得したこと、また先日『第63回グラミー賞』にノミネートされたことなど、様々な形で韓国の名前を世界に広める活動も影響しているのでは、と推測。しかし、今回のような特例ともいえる措置には国民だけでなくファンの間でも賛否が分かれているようだ。

「現在は新型コロナウイルスの影響で有観客でのライブや、海外での活動がしづらくなっています。以前と同じようにライブができるようになるのは数年後という説もある。30歳ギリギリで入隊するとちょうどコンサートができるようになった時期にメンバーが全員揃っていない……という可能性もあります。そう考えるとオフライン活動が制限されている今の時期に行ってしまった方が良いのではという意見もありますね。また、近年までは人員の余剰や軍備縮小傾向による期間短縮などが進んで現在では、期間が1年半〜1年9カ月程度と以前より短かくなってきていますが、韓国も日本同様少子化が進んでおり、今後は国が想定している兵力がキープできなくなっていくだろうと予想されています(参照)。状況次第では将来的には兵役期間や判定基準がまた変更される可能性も。そうしたことを考えると今の段階で入隊する方が良いかもしれません。ただ、現状のまま出来る限り人気を伸ばし続けることや、アワードのことなどを考えると延長するメリットもあると言えます」

 最後に、BTSの今後について以下のように語った。

「BTSは“7人での活動”を重視してきたグループなので、7人が揃っていない期間中には多少なりと影響は出てくるかもしれません。1992・1993・1994・1995・1997年生まれとメンバー同士の年齢が近いので、これから次々に入隊していくと考えると、欠員がある状態がある程度は続くことになります。いわゆる“完全体”ではない時にどう活躍するのかが大切なのでしょう」

 兵役は厳しい訓練や義務もあるが、アイドルや芸能人にとってはある意味では一般社会のやファンダムの注目からある程度遮断された環境で一般の人と同じ立場で触れ合える貴重な機会という側面もあるのではないか、とも話してくれた。改正案は可決されたものの、実際に延長するかどうかを選択するのはBTS自身だ。納得いく選択ができることを願いたい。

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