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【re:START】キーパーソンInterview

綾小路 翔/氣志團✖平野雄大/(株)フジテレビジョン【中編】

特別連載

5-2

20/6/20(土)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国的な自粛期間真っ只中の5月6日深夜、画期的な番組がオンエアーされた。それが、家フェス『STAY HOME,STAY STRONG〜音楽で日本を元気に!〜』だ。フジテレビ地上波、CS放送フジテレビONE、動画配信サービス「FOD」で放送・配信されたこのプログラムは、総勢38アーティストが、思い思いのスタイルで収録した在宅パフォーマンスを繰り広げるという、まったく新しいスタイルの音楽番組だった。リアル以上に響いた各アーティストのガチな思い、そして短い制作期間で番組を作り上げた制作スタッフのマジな思い、これらを実行委員長の氣志團・綾小路 翔とフジテレビの平野雄大が、その裏側も含めて語り尽くす。

── 地上波へのこだわりというのは最初からあったのでしょうか?

平野 自分自身もたまたまテレビで見たアーティストに心奪われて、大袈裟に言えばそこから人生が変わったっていうことってありますからね。依然、一番影響力のあるメディアだと思うので、地上波ということにはこだわりました。今回は音楽番組というよりも、テレビで開催する音楽フェスということにこだわりました。だからこそ、ちゃんと一人でフィジカルに音楽を完結できるアーティスト、3分で伝え切れる力のある人にオファーしたいと思ったんですよね。

── やっぱりこれは、新型コロナウイルスによる感染症拡大ということがなければなかった番組なんでしょうか?

平野 間違いなくそうですね。あの緊急事態宣言のタイミングで何か言いたいこととか思っていることがすごく溜まっていたと思うんですよ、アーティストのみなさんも。その思いを発する場所をテレビの中に作りたいって思いました。

── それと、深夜の放送だったということが、より視聴者との親密な空気を作り出していたと思います。

平野 そうですね。翔さんがおっしゃったAMラジオ感というのは、深夜だからこそできたという面はあると思います。あと、暗いニュースばかりが流れていて、みんなの心が疲れてきているタイミングだったんで、湿っぽくならないように楽しい番組にして日本中を元気つけよう、というのは皆で意識しました。

── それぞれの出演者のパフォーマンスも素晴らしかったですけど、時折差し込まれる引きの画が印象的で。真っ暗なスタジオの中にポツンとセットがあってそこに一人いる翔さんの画はめちゃくちゃエモかったですね(笑)。あ、翔やんも一人なんだ!って。

綾小路 V4という一番どでかいスタジオの隅にセットが作ってあったんですけど、ちょっと考えて欲しかったのは、スタッフの人との距離がありすぎてカンペが見えないっていうね(笑)。暗いし遠いし。もう途中で見るのやめましたけど。そのへんはライブ感ありましたね。あのセットもね、絶対にそこ映らねーよっていう部分にまでこだわって作っていただいて、大道具さんたちの魂を感じましたね。イメージは中坊の時の友達の家。自分たちが中高生の頃は絶対と言っていいほど、母屋とは別にプレハブの物置みたいな小屋を建ててもらっていたやつがいたんですよ。そこがだいたい溜まり場になっていて。その中には今や一切見なくなりましたが、大型のコンポが置いてあったんですよね。それを熱く打ち合わせで語ったら、ちゃんとセットに反映してくれていましたね。もう気に入りすぎて、2ヶ月くらいあの部屋にステイできるなって思いましたもん(笑)。それくらいクオリティーが高かったです。それもあってですかね、喋りすぎてしまって(笑)。もう自分の部屋で大好きなアーティストやバンドのビデオを見ながら一人でだべってるだけというね(笑)。夕方くらいから収録に臨んで、3時間一本勝負というタイム感だったんですけど、終わったらテッペン越えてましたから(笑)。だから編集の皆さんは相当大変だったと思います。そうやって番組に携わった人たちそれぞれの思いも合わさって、番組の趣旨とか伝えたかったことっていうのが、こんなにも真っ直ぐに視聴者のみなさんにきちんと届くんだっていう手応えは、すごく大きかったですね。正直言って、初めての感覚でした。

平野 それは僕らもそうですね。収録している時から手応えは感じていました。今回スタッフは本当に少なくて、収録現場にいるスタッフも最小限にしました。編集作業もオールリモート作業で、エディターや音効さんに会わずにリモートで指示を出したり修正をしたりしていたんですけど、これで番組できちゃうんだ!っていう興奮はずっとありましたね。逆にリモートでリアルタイムにダイレクトでやった分、視聴者にもダイレクトに伝わったのかもしれません。もちろん我々の制作以前に翔さんだから生まれたグルーヴが絶対にあって、それがあったから面白い番組になったんだと思いますね。大野ケイスケって放送作家がいるんですけど、彼の台本はアーティストのキャッチコピーくらいで、それ以外はほとんど何も書いてないですからね(笑)。

綾小路 はははは。

平野 台本ないと言いながら、それでも普通はあるものなんですけど(笑)、本当にないも同然でしたからね。翔さんじゃなければ成立していないです。阿吽の呼吸というか。

綾小路 大野さんとも長い付き合いなんですけど、もう普段は仕事してんだかしてないんだかわかない人で(笑)。なんでかはわかんないんだけど、いろんなアーティストの現場に関係者っぽくシレ〜っといる人です(笑)。僕と彼との長年のコンビネーションなのか、台本にはどうでもいい情報だけが書いてあったりするんですよ。例えば、ある出演者さんに関して、最近は○○にハマっているらしい、みたいなことが。

平野 勝手にキャッチコピーみたいなのが書いてあったりね。

綾小路 そうそう。お互いにキャッチコピー大好きだから。いいの思いついたら、これみよがしに書いてある。そこはね、そのまま使うと悔しいから、大野さんのを使うか自分のを使うかっていうバトルが水面下ではあって、そういうところもラジオっぽいんですよね(笑)。だから何て言うか、本当の意味で手作りだったなって思えたんですよ。フェスというものが当たり前に開催されるようになって、だいたい20年ちょっとくらい経ちますけど、その間様々な試行錯誤を重ねて、経験値が高くなっていくとかなりシステマティックになっていく部分というのはあると思うんですよね。でも、今回フジテレビというメディアを利用して僕たちが作ったものって、誰もやったことのないものだったから、手作りでしかできなかったんですよ。あらゆることが、文化祭の模擬店を作っているような感覚で楽しみながら突貫で出来上がって行った。僕が氣志團を始めたのは、「学生時代の心残り」みたいなものがテーマになっているんですよ。あの時にもうちょっとできていたら、とか、あの時にもうちょっと俺たちに面白い発想があったらな、とか、そんな後悔みたいな気持ちを取り返すつもりでやってきたんですけど、それでもどうしても年々ルーティンになっていく部分もあるし、自分たち自身も最初の感覚を失い始めているところもあるなって思ったりもしていたんです。そんな時に、今回のこの番組にお声がけいただいて、いい大人たちが集まって、みんなが同じ方向を向いてそれぞれのスキル全開でやれば、こんな面白いことができるんだっていうのを目の当たりにしたんです。久々にカッコいい大人を見たなって感じですね。そこに一番感動しました。だからこの次に俺たち(バンドマン、ミュージシャン)がやらないでどうするんだ!って思いましたね。こりゃ負けてらんねーぞって。

TEXT:谷岡正浩

『STAY HOME, STAY STRONG〜音楽で日本を元気に!〜』
★楽曲ノーカット4時間完全版

フジテレビNEXT
※スカパー!/J:COM 無料放送

7/2(木)19:00~23:00
7/19(日)14:00~18:00

https://otn.fujitv.co.jp/shss

出演

MC:実行委員長 綾小路 翔(氣志團)

出演アーティスト

AI
ISSA (DA PUMP)
綾小路 翔(氣志團)
宇崎竜童
ウルフルズ
奥田民生
ガチャピン・ムック
かりゆし58
木梨憲武
木村カエラ
鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)
クリスタル・ケイ
Creepy Nuts
KREVA
Kj(DragonAsh)
THE BAWDIES
ジェニーハイ
Zeebra
新里英之(HY)
セイジ(ギターウルフ)
世良公則
TAKUMA(10-FEET)
土屋アンナ
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