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スモーキー歌声と幻想的な音世界で注目のさらさ。デビュー曲を携えたリリース パーティーに潜入!

ぴあ

さらさ「ネイルの島」リリースパーティ

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7月に配信されたデビュー・シングル「ネイルの島」が現在ラジオ各局でパワープレイされ、アンニュイでいて心地良いその音楽でファンを増やしている、シンガー・ソングライターさらさ。8月7日に、WALL&WALLで“「ネイルの島」Release Party”が開催された。ゲストは、ミュージシャンでありファッションデザイナーでもあるMÖSHI(モシ)。さらさ 、MÖSHIともに新たな世代の表現者として注目のアーティストだ。

まず登場したのは、MÖSHI。DJのPause catti(パウゼ・カッティ)とのステージで、グラフィカルな映像とトラックで1曲目「Painting」から、フロアを盛り上げていく。現在、ニューヨークのパーソンズ大学院でデザインを学ぶMÖSHIは卒業制作の真っ最中で、この日の楽屋でも提出が間近に迫った作品を縫っていたという。そんななか、さらさのリリースパーティという特別な企画に呼んでもらったからと、友人と作ったシャツを着てステージに立った。

一見、佇まいやサウンド、低音で響かせるラップはクールで洗練された印象だが、曲やパフォーマンス、MCから伝わってくるのはフレンドリーでエモーショナルなMÖSHIという人の人柄だ。フロアを温かく巻き込みながら、kiki vivi lily(キキヴィヴィリリー)をフィーチャーした最新シングル「Waiting feat.kiki vivi lily」や「Your Name」等を披露し、さらさのステージへと繋いだ。

リリースパーティということで、スペシャルなバンド編成だとアナウンスされていたさらさのステージ。その“さらさバンド”のメンバーは、以前からライブサポートを務めているTomoaki(Gt)、そしてオオツカマナミ(Ba)、粕谷哲司(Dr/ Yogee New Waves)、ゲストとして谷本大河(Flute&Sax/SANABAGUN.)というラインナップ。

MCでメンバー紹介をした際、それぞれのアーティストについての熱い想いを興奮気味に吐露して、いち音楽ファンの顔に戻っていたさらさだが、この手練れたちとともに独自のグルーヴと時間とを編み上げていく、濃密なステージを作り上げていった。

その1曲目は「グレーゾーン」。スローなビートにビター&スウィートなフルートの音色が絡んで甘美な痺れを生むサウンドと、さらさの憂いを帯びたスモーキーなボーカルとのハーモニーは抜群だ。物語の余韻を味わい自分だけの時間へとダイブさせてくれるような贅沢なリズムが、その歌と音楽に宿っている。

22歳のさらさだが、その歌声は深く落ち着いていて、メロディを紡いでいくリズムやタイム感もまた魅力的だ。歌と音とで酩酊させるような心地よさで、観客の体をゆったりと揺らしていく。「温度」では、サックスの情熱的なフレーズに対して、気だるいボーカルが低音のメロディをなぞる。

会場の空気もほどけ、アンサンブルとまったりと溶けていったところで、さらに「朝」でジェントルなビブラートを響かせる。高校時代からセッションバーに通い、大人のミュージシャンに混じりジャズやソウルを嗜み培ってきたボーカルの妙味は、ライブで本領を発揮する。

一転して、MCでは22歳の素顔が炸裂する。コロナ禍でライブができなかった中で、久々の有観客のライブ、そしてバンドセットのステージだという喜びが抑えきれず、普段はあまりMCをしないそうだが「今日は、興奮気味のMCになりそう」と大きな笑顔を見せた。

同世代の男女──SNSやプレイリスト等を通じその音楽に触れた早耳のリスナーや、友人、音楽仲間たちが大半を占めたフロアは、歓声をぐっと飲み込んで、あたたかな拍手で身近な才能を祝す。

中盤は、フォーキーで牧歌的なギターを掛け合う「踊り」、そしてMÖSHIのステージも務めたPause Cattiを呼び込んで、ともに作ったシングル「DRAPE (feat.さらさ)」を披露。オーガニックなバンドサウンドとは一味ちがう、エレクトロなサウンドに歌声を響かせる。

そして後半、「このまま」をエモーショナルに聴かせると、ラストに据えたのはデビュー・シングル「ネイルの島」。この曲ができたことが、シンガー・ソングライターをやってみるきっかけになった大事な曲だと紹介した。音源よりも躍動感がある生のバンドによる演奏に、ボーカルも豊かさを増して、たゆたうメロディが醸す幻想的なシーンを立体化する感覚だ。

ゆらりゆらりと体を揺らす観客ともシンクロして心地いい。実際、夏の今頃の時期に書かれた曲ということで、陽炎のようなギターサウンドと、そのメロウな揺らめきのなかにメランコリックな翳りを帯びた情感が、繊細な歌で表現されている。これからたくさんの人の記憶や物語に寄り添っていくだろう、美しいサマーチューンは、ぜひ生で体感してもらいたいと感じた。

止まない拍手の中アンコールにたったさらさは、新曲を披露。昨年1年、コロナ禍等でいろんなことを考え、変化したこともある。その変化を受け入れて作った曲だと語る。「ネイルの島」など、ゆったりとスローテンポな曲が多いさらさだが、リズミカルなビートがある曲で、これからへの広がりも覗かせた。そして最後に改めて来場者やメンバー、MÖSHIへと感謝を述べ、「今日は、みなさんにぐっすり眠れる魔法をかけておきました」とチャーミングな笑顔で、ステージを去った。

取材・文:吉羽さおり 写真:森好弘

■Debut Single 「ネイルの島」
7月7日(水) Digital Release レーベル:ASTERI ENTERTAINMENT
形態:ストリーミング&ダウンロード

■プロフィール
湘南中部の茅ヶ崎育ち。弱冠22歳のシンガーソングライター。 湘南の”海風”を受け自由な発想と着眼点で育ってきた。音楽活動だけに留まらず美術作家、アパレルブランドのバイヤー、フォトグラファー、フラダンサーとマルチに、そして自由に活動の場を広げている。 悲しみや落ち込みから生まれた音楽のジャンル”ブルース”に影響を受けた自身の造語『ブルージーに生きろ』をテーマに、ネガティブな感情や事象をクリエイティブへと転換し肯定する。そこから創り出される楽曲は、ジャジーなテイストを醸し出しソウル、R&B、ROCKあらゆるジャンルを内包しALTERNATIVEな雰囲気を纏い、聴く者を圧倒する。 どこかアンニュイなメロディの楽曲と、憂いを帯びた歌声は特にライブ(生演奏)でその力を発揮し、見るものを虜にする。SNSメディアを中心に、書籍・映画等あらゆる展開を続ける体験投稿サービス”純猥談”への楽曲提供や、既存のパッケージに囚われず、完全DIY、完全ハンドメイドで作成したCDは手売りのみという状況の中、音楽関係者や“耳年増”なリスナーの目に留まり、若い世代を中心に注目を浴びている。

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