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「象は静かに座っている」イ・チャンドン、ホウ・シャオシェンらの絶賛コメント到着

ナタリー

19/10/16(水) 16:12

「象は静かに座っている」ポスタービジュアル

3時間54分に及ぶ中国映画「象は静かに座っている」を鑑賞した、アン・リー、イ・チャンドン、ホウ・シャオシェン、ワン・ビンというアジアの映画監督のコメントが到着した。

本作は廃れた田舎町に暮らす、生きることに疲弊した4人の男女を捉えた群像劇。ただ座り続けている奇妙な象の存在を知った彼らが過ごす長く陰鬱な1日が描かれる。タル・ベーラに師事しながら、完成後に29歳の若さで自ら命を絶ったフー・ボーが監督を務めた。

アン・リーは映画監督という立場から「私たちは身を燃やし、映画に全身全霊を注いでいる。それは世界を明るくするためではないかもしれないが、観客と心を、魂を、分かち合うのだ」とコメント。イ・チャンドンは本作を「最後まで的から外れた矢を追いかける。忘れられないエンディング、そして決して終わることのない映画だ」と称賛し、ホウ・シャオシェンは「正直に言って、私は感動し、恐れを抱いた。これは本物だ。彼は我々が若かった頃よりもより素晴らしい作品を作った」とたたえた。

フー・ボーと同じ北京電影学院出身で、中国で映画を取り続けるワン・ビンは「暗い空を駆け抜け、熱と痛みの中に落下していく彗星のようだ。この映画は、新たな中央集権化制度への変化の中で苦しむ数多くの中国人の内なる不安と、人々がお互いを裏切り傷つけ合う現実を映している。たとえ夜が来ようとも、人々は互いを抱きしめ、愛で不安や恐怖に対抗しなくてはならない」とコメントを寄せている。

「象は静かに座っている」は、11月2日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。コメントの寄稿には、そのほかガス・ヴァン・サント、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ、ショーン・ベイカーらが名を連ねている。

アン・リー コメント

私たちは身を燃やし、映画に全身全霊を注いでいる。それは世界を明るくするためではないかもしれないが、観客と心を、魂を、分かち合うのだ。この映画は、どう作り手が人生を映画に捧げるかの良い例だ。非常に感動した。

イ・チャンドン コメント

「象は静かに座っている」は、最後まで的から外れた矢を追いかける。
忘れられないエンディング、そして決して終わることのない映画だ。

小野正嗣(作家) コメント

象を求めて彷徨う四人をカメラは追いかける。
そのときフー・ボーの眼差しは、
彼らよりも先に、崇高な何かに、
触れれば心が崩壊しかねない〈美〉に到達する。
フー・ボーの悲劇と栄光はそこある。

ガス・ヴァン・サント コメント

類まれな映画だ!

コトブキツカサ(映画パーソナリティ) コメント

息苦しい日常に耐え忍びながら人生に期待するのは愚かなことなのか?
フー・ボー監督が魂を紡いで世界に問いかけた唯一無二な傑作です。

近田春夫(音楽家) コメント

ジャンルを問わず、私は表現全般に求める第一のこととは、強さと新しさだと思っている。
そうした意味でこの作品に出会えたのは幸せだった。

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ コメント

全編を通して驚くべき緊張感を生み出している。
助け合いや思いやりによって欲深さや利己心に抗おうとする
現代の私たちの人間関係についての美しい映画だ。

ショーン・ベイカー コメント

おめでとう。素晴らしい映画だ。

立田敦子(映画ジャーナリスト) コメント

若者も老人も生きにくい、現代の閉塞感を、ゆったりとした、それで親密な時間の流れの中で描ききる傑作。4時間弱という尺があっという間に過ぎるほど、この新人監督の世界にハマってしまった。

田中泰延(青年失業家 / ライター) コメント

3時間54分の「音」を聴き続けて欲しい。
どこへも行けない人間は、自分にだけ聴こえる地獄に包囲されている。
フー・ボーは永遠の3時間54分を削らせないために命を絶ったが、
鳴り響く天国の音とともに立ち上がり、歩き出す象となった。

TK from 凛として時雨 コメント

被写界深度は浅く、根は深い。
バラバラになった枝が物語の中で灰色の地面に吸い寄せられていく。
気付けば僕はフーボー監督が見せたい世界の中にいるのか、
彼の視力の一部となっているのか、そんな画角が全編を漂う。
タバコの煙が妙に白く見えるほどの密度の濃い灰色が続く234分を僕はどう消化すれば良いかがまだ分からない。
物語は1つの幹になり、また地面の中で散りばめられた様に深く。
公開前に命を絶った彼が遺した空白と余韻はあまりにも大きい。
時として死は芸術の形を変えてしまう。
それすらも作品の一部であるかの様に、僕のところへもやってきた。
本当のエンドロールは僕らの届かない場所にある気がした。

チバユウスケ(The Birthday) コメント

とても美しい映画だった。映像の色味、時間の流れ方。とても美しい。
そして激しい

ホウ・シャオシェン コメント

正直に言って、私は感動し、恐れを抱いた。これは本物だ。
彼は我々が若かった頃よりもより素晴らしい作品を作った。

町山広美(放送作家) コメント

何かしなければ堕ちるばかりだし、何かすれば悪い方に転げ堕ちる。
今より悪くならない場所にただ座っていることさえ、難しい。
そんな彼らの一日に234分立ち会って、まだもうすこしここに留まらせてと思うのは、どうしたことだ。すごい映画だ。
このろくでもない世界に愛着をおぼえさせて、監督だけが去ってしまった。

ワン・ビン コメント

暗い空を駆け抜け、熱と痛みの中に落下していく彗星のようだ。この映画は、新たな中央集権化制度への変化の中で苦しむ数多くの中国人の内なる不安と、人々がお互いを裏切り傷つけ合う現実を映している。たとえ夜が来ようとも、人々は互いを抱きしめ、愛で不安や恐怖に対抗しなくてはならない。

(c)Ms. CHU Yanhua and Mr. HU Yongzhen

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