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ChouCho、『naked garden』で表現するアニソンとアコースティックサウンドの魅力「素の歌を届けたい」

リアルサウンド

19/12/15(日) 18:00

 アニメ『ガールズ&パンツァー』シリーズなどのテーマソングを数多く歌うChouChoが、11月27日にアコースティックアルバム『naked garden』をリリース。声とピアノを中心にしたシンプルなサウンドによるアレンジで、彼女が定期的に開催しているアコースティックライブで好評だった曲を中心にμ’sの「Snow halation」やメロキュアの「Agape」などのアニソンカバー、スターダスト☆レビューの「木蘭の涙」のカバーも収録。美しく透明感がある癒やし系の声質、表現力豊かなボーカリゼーション、シンガーとしてのChouChoの歌声をたっぷり堪能することができるものになった。(榑林史章)

アコースティックライブはお客さんとの交流の場

ーーアコースティックライブをやるようになったきっかけは?

ChouCho:アニソンの作り込まれた音楽も好きですが、アコースティックサウンドも好きで、もともとその両面を見せていきたいと考えていて。1stツアーの時から、バンドセットの中にアコースティックコーナーを設けていました。そのコーナーをひとつのワンマンライブとしてしっかり見せたいと思って、2017年から始まったのが『ChouCho Acoustic Live “naked garden”』で、来年2月の回で10回目を迎えます。

ーーアコースティックサウンドが好きになるきっかけはあったのですか?

ChouCho:きっかけはいくつかあって、そのひとつが『MTV Unplugged』です。学生の時によく観ていて、ロックの曲がすごくしっとりとしたアレンジで演奏され、そのアーティストや曲の新たな魅力が発揮されていて。曲って演奏が違うだけで、こんなに色が変わるんだなと感動しました。もうひとつは、父親の影響です。父は、若い頃はバンドをやっていて歌手デビューを目指していたそうで、私が物心つく前からよく家でもアコースティックギターを弾いていました。そういう音楽のある風景が、子どもの頃から自然と身近にあったことは大きいです。

ーーアコースティックの魅力は?

ChouCho:その曲の、また違った魅力を発見できることです。言えるのは、良いメロディは、アコースティックにしても映えるということ。結局メロディが強い曲は、楽器を減らしてシンプルにしても、良い曲のままです。ただアコースティックは、歌がダイレクトに届くので、緊張感はありますね。音数が減れば減るほど、歌の感情や歌の表現がダイレクトに届いてしまうので、もっと歌が上手くなりたいと思うようになりました。今回アコースティックアルバムをレコーディングして、それはさらに思います。歌が丸裸になるというか。タイトルの『naked garden』も、そういう素の歌を届けたいという意味で付けています。

ーー第1回目のアコースティックライブを開催した時は、どんな気持ちでしたか?

ChouCho:第1回目は、歌とピアノ1本だけでした。お客さんとの距離がすごく近く、ライブハウスでバンドとライブをやるのとはまったく違う環境だったので、緊張はしたんですけど、より気持ちを届けることができたんじゃないかという手応えがありました。1回目から、びっくりするくらいアットホームな雰囲気で、みんなで共有したこの温かさをもっと大きなものにしていきたいなって。

ーーお客さんからの感想は?

ChouCho:毎回アンケートを書いてもらっていて、それが驚異的な回収率です。ライブ直後のリアルな感想をたくさんいただけるので、それを参考にして次に活かすということを繰り返しながら、アコースティックライブを続けてきました。

ーー実際にアンケートを参考にして実現したものは?

ChouCho:カバー曲ですね。ライブハウスでやる時はリクエストコーナーがあって、開演前に歌ってほしい曲をみんなに書いてもらって、ステージで箱から紙を引いて、「○○さんありがとうございます。○○さんからのリクエストで、○○を歌います」と。みなさんいろいろな曲を書いてくださって、夏なら夏の曲とかその季節に合った曲だったり、アニソンだけじゃなくJ-POPもたくさんあって。お客さんもドキドキしながら観てくださって、私もすごく楽しいです。

ーーパーソナリティーがハガキを読みながら番組を進行していく、ラジオの深夜放送みたいな距離感ですね。

ChouCho:そうですね。その場でパッと演奏して歌えたり、お客さんとコミュニケーションが取れるほどの距離の近さは、アコースティックライブの魅力です。素の自分になれますし、のびのびとやれています。ホール会場の時は、楽曲を1曲でも多く届ける意識ですけど、ライブハウスはおしゃべりが多めになります。私が一方的にライブをやるのではなく、それこそラジオ番組のようにみんなと一緒に作ってきたからこそ、こうして10回目を迎えることができたと思っています。最初はこんなに続けられるとは思っていなくて。

ーー最初は、不安もあったんですか?

ChouCho:もちろんありました。誰も来てくれなかったらどうしよう〜って。私が普段歌っている曲はアニメのテーマソングで、ポップで明るい曲ばかりだし。お客さんも一緒に歌ったりジャンプして盛り上がるのが楽しくて、ライブに足を運んでくださる方が多い。それとは真逆のことをやるわけですから、どれくらいの方が来てくれるのかまったく読めませんでした。でも蓋を開けてみたら、ありがたいことに毎回ソールドアウトしています。

ーーアコースティックのアレンジとカバー以外の曲選びは、どういう風に決めていくんですか?

ChouCho:リハで試しながらですね。これはアコースティックにハマるだろうと思ってやってみたけど、合わなかったという曲もあって。アコースティックライブは回によって楽器編成が違うので、ピアノだけだとリズムが取れなくて一度は却下になったけど、そこにギターが入ったらすごく良くなったから復活したという曲もあるし。リハでそういう試行錯誤をしながら、曲選びとアレンジをやっています。

μ’s、メロキュアにリスペクトを込めてカバー

ーー今作は、新曲の「リコリス」を除いて、アコースティックライブで評判の良かった楽曲を選曲して制作。アコースティックアルバムをリリースするアイデアは、いつから考えていたんですか?

ChouCho:2015年にアコースティックシングル『transient blue』を出したことがあって、それは3曲入りでライブ会場限定発売だったので、アコースティックライブを始めた時から、いずれは出そうと思っていました。次が10回という区切りでもあるので、記念的な意味も含めて今回満を持してお届けしよう、と。

ーーまず新曲の「リコリス」は、歌から始まる切ない楽曲。ピアノとカルテットのサウンドで、ドラマチックに展開します。タイトルの「リコリス」は彼岸花のことで、とても悲しい事に直面した時に書いた曲だそうですね。

ChouCho:聴いていただいた通り、私が深い悲しみに直面した時に溢れ出た思いを歌詞にして、そこにメロディを乗せて作っていきました。ある出来事の直後に作った曲で、今聴いても涙が出ますし、歌詞を書いた時もずっと泣いていました。初めて歌詞先行で作った曲で、こんなにも自分の感情をそのまま表現したのも初めてのことです。

ーー生々しい感じがありますね。

ChouCho:そうですね。でも、書かなきゃ自分が前に進めないと思ったんです。だから自分が前に進むための決意の意味もあります。ただ自分の感情ではあるんですけど、決して独りよがりにはしたくないという気持ちもあって、どんな人が聴いてもその人の経験に当てはまるように、言葉を選んで書いています。悲しい曲ですけど、最終的には希望を感じてもらえるものにしたいと思って作りました。

ーーアカペラで始まるところから、グッと引き込まれます。

ChouCho:最初はピアノと歌で始まる想定だったんですけど、レコーディングしている途中でアカペラが良いんじゃないかというアイデアが出て。それで急遽、冒頭はアカペラで歌うことになりました。

ーー自分の経験を歌にしたことで、自分の中でそれが消化された感じですか? 整理を付けることができたと言うか。

ChouCho:消化や整理ができたかと言えば、そうではないのですが……。ただ、自分の経験を言葉ではなく歌で語ることができたのは、歌手になったからであって、私はそういうことがしたいから曲を作っているのだと改めて思いました。ここまで深い部分を飾らない言葉で曲にしたのは初めてで苦しかったんですけど、今回で終わりではなくて、これからもそういう曲をもっと作っていきたいと思いました。

ーー今作には、カバーを3曲収録。まず「Snow halation」は、『ラブライブ!』のμ’sが歌った曲で、今の時期にもぴったりの選曲。

ChouCho:アンケートでもリクエストが多くて、アコースティックライブでも歌ったことがあります。原曲はすごくアップテンポでキラキラとした曲ですけど、私はグッとテンポを落としてカバーしました。アコースティックアレンジにしてもメロディのきれいさは変わらずで、むしろ新たな魅力を発見することができました。アニメファンの支持率の高さの理由を改めて納得しました。

ーーテンポをゆっくりにしたことで、“大人の「スノハレ」”になったという印象でした。

ChouCho:確かにそうかもしれませんね。このテンポは、アレンジの村山☆潤さんとスタジオに入って、テンポを替えながら何度も歌って決めていったんです。遅くすることで歌詞の言葉一つ一つが聴く人により伝わると思ったので、ひと言ひと言を噛みしめるような気持ちで歌いました。『ラブライブ!』のファンの方にもぜひ聴いていただいて、「Snow halation」の可能性を感じてほしいです。

ーーアニソンの新旧の名曲2曲が揃っているのもポイントで、アニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』の挿入歌「Agape」のカバーも収録。こちらは、パーカッションも入ったアコースティックバンドのセットで、テンポ感はあまり変わらず速いままですね。

ChouCho:私がメジャーデビューする前、ニコニコ動画で「歌い手」として活動をしていた時に、イベントで他の歌い手さんとデュエットしたことがあって。その時に「すごく良い曲だ!」と、改めて気づいたんです。アコースティックライブをやる時にはぜひこの曲をやろうと思っていて、今回のアルバムにも収録したいと思いました。ただすごく難しい曲で、サビメロは息継ぎする隙間がないほどです。

ーーメロキュアが歌った伝説の曲です。2002年の曲で、90年代のJ-POPのエッセンスが残っていて、そこも魅力ですね。

ChouCho:とても病みつきになる魅力がありますね。一度聴くと、ずっと頭の中でぐるぐるしているくらい耳に残るメロディと、ベースラインが印象的です。「スノハレ」もそうですが、カバーをやる時は楽曲の良さを絶対に殺したくはなくて、楽曲に対するリスペクトの気持ちを大事にして録りました。

ーーそしてJ-POPのカバーとして、スターダスト☆レビューの名曲「木蘭の涙」も収録しています。

ChouCho:この曲もアコースティックライブで歌ったことがあるのですが、スターダスト☆レビューさんの曲は、父親が好きで子どもの頃から慣れ親しんでいました。でも大人になって改めて歌詞を読んで、こんなに切ない内容だったんだと驚きました。

ーー歌詞の根底にあるものが、「リコリス」と同じなんですよね。

ChouCho:はい。スターダスト☆レビューさんがこの曲を歌っているライブ映像も観たんですけど、曲と歌詞の素晴らしさはもちろん、歌声も本当に素晴らしいので、それにもすごく感動しました。「良い」なんていう言葉では表現しきれないほどで、本当に切ないし。それで、ぜひ私も歌ってみたいと思いました。

ーーアニソンではないですけど。

ChouCho:アコースティックライブで披露した時に、アンケートの「今日良かった曲は?」という質問の答えで、「木蘭の涙」を書いてくださった方がすごく多かったんです。私がこの曲から感じた思いが、聴いてくださった方にも届いたんだなと実感しました。だからアニソンではないけど、アルバムにもぜひ入れたいと思いました。

ーーファンにこういう曲があることを知ってほしい気持ちもあるでしょうね。

ChouCho:そうですね。若い方はきっとご存じないでしょうけど、良い曲はどんなアレンジでも魅力を損なわないのと同じで、良い曲はアニソンとかJ-POPとかジャンルに関係なく、良いと思ってもらえるものだと思っています。今作に洋楽は入っていませんが、ライブではマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」やOasisの「Wonderwall」など洋楽カバーも歌って好評なので、いつか私のルーツと呼べるいろんなジャンルの楽曲を一堂にカバーしたアルバムも出せたらいいなと思っています。

ライブ感を大事に「木蘭の涙」をピアノと同録

ーー今作には他に、「カワルミライ」や「優しさの理由」、「starlog」や「piece of youth」など、ChouChoさんの代表曲と呼べる、人気アニメの楽曲を収録。原曲との、歌声や表現の違いも魅力ですね。

ChouCho:テンポ感が変わるだけで私の中から引き出されるものが変わりますし、歌詞を改めて読んで、最初にレコーディングした時とは違う感じ方をする時もあります。例えば「piece of youth」は、アコースティックライブでやったことがあるのですが、その時とはアレンジを変えて、カルテットとピアノで収録しています。また「カワルミライ」は歌だけで収録していて。

ーー「カワルミライ」は、歌とコーラスだけで構成されていて、聖歌隊のような雰囲気も感じて、すごく神々しいです。

ChouCho:一度、こういう声だけで構成したものも作ってみたくて。

ーー単純にレコーディングに時間がかかるんだろうな〜と思いました。

ChouCho:メインのメロディとコーラスは別日に録っていて、コーラスの日は7時間かかりました。コーラスはその場で作りながら録っていくやり方で、村山☆潤さんから「こんなのはどうかな」と、その場でコーラスのメロディを提案されて、それをどんどん録っていく感じでした。低くて声が出ないこともあって、どの音が一番良いか、探りながら作っていって。原曲とはがらりと雰囲気を変えているので、楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

ーー声もアコースティック楽器の一つですね。

ChouCho:それこそ“naked”ですね。私の声に、包み込まれるような体験をしてほしいなと思います。息づかいや細かいニュアンスまで、じっくり聴いていただけたら嬉しいです。ブレスは、ヘッドフォンやイヤフォンで聴いたら、本当に耳元で呼吸しているくらいの感じで聴こえると思うので。

ーー逆に、録るのにそれほど時間がかからなかった曲はありますか?

ChouCho:「木蘭の涙」はライブ感を大事にして、グランドピアノの演奏と歌を同時録音しました。同録はすごく緊張感があって。テンポが揺れたりとか完全に一定ではなくて、でもそこが良いところでもあります。歌うほうとしても、その揺れに乗ることで、より感情を込めやすくなりますね。

ーーラスサビは、特に感情を込めていて。

ChouCho:そこは、すごく盛り上がりますね。まさにライブのような感じで、どんどん気持ちが高揚していって。ああいう自然な盛り上がりは、同録でなければ出せないものだと思います。ピアノと同録したのは番組の企画としてやったことはありますが、CDに収録するのは初めてです。この機会に、たくさんの人に聴いてほしいです。

ーーそして、2月にはアコースティックライブの第10弾『ChouCho Acoustic Live “naked garden” vol.10 』を開催します。

ChouCho:大阪と名古屋は2公演ずつあるので、両方来ていただいても楽しめるような内容を考えています。

ーーちょうどバレンタインの前後ですね。国生さゆりの「バレンタイン・キッス」をカバーしてみてはどうですか?

ChouCho:バレンタインっぽいことも、ぜひやりたいですね! 「バレンタイン・キッス」も良いですけど、あんなに可愛らしい曲を私が歌うのは、ちょっと照れが……。考えさせてください(笑)。

ーーアコースティックライブは、ChouChoさんのライフワークとして続けていきたいものですか?

ChouCho:アコースティックライブは、アットホームで素の自分を大事にできる場所です。自分にとっては「ただいま」と言えるホーム感のあるライブで、MCでは関西弁が出てしまったり、自分が心から楽しめる場所です。なので今後も、みなさんと会える場を定期的に作っていきたいと思っています。

ーー“naked garden”としての、今後の展望はありますか?

ChouCho:今は東名阪でしかやっていないので、他の県でもやりたいですし、いずれは海外でもやってみたいですね。あと“naked garden”とは別に個人的な展望なのですが、10月にソロデビューした声優の仲村宗悟さんのデビュー曲「Here comes The SUN」を作詞作曲させていただきました。楽曲提供は初めてで、それも男性の曲ということで貴重な経験でした。自分の持っているものを発揮する新たな場として、楽曲提供もどんどんやっていきたいです。

(取材・文=榑林史章/写真=三橋優美子)

■リリース情報
 『naked garden』
発売:2019年11月27日(水)
価格:¥3,000(税抜)
1.リコリス
 作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤
2.カワルミライ(TVアニメ『神様のメモ帳』OP主題歌)
 作詞:こだまさおり 作曲:中山真斗 編曲:村山☆潤、ChouCho
3.優しさの理由(TVアニメ『氷菓』OP主題歌)
 作詞:こだまさおり 作曲:宮崎 誠 編曲:村山☆潤
4.Snow halation(μ’s 2ndシングル)
 作詞︰畑 亜貴 作曲:山田高弘 編曲:村山☆潤
5.starlog(TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』OP主題歌)
 作詞:松井洋平 作曲:川本 新 編曲:村山☆潤
6.木蘭の涙(スターダスト・レビュー カバー)
 作詞:山田ひろし 作曲:柿沼清史 編曲:村山☆潤
7.明日の君さえいればいい。(TVアニメ『妹さえいればいい。』OP主題歌)
 作詞:松井洋平 作曲:yuxuki waga(fhána) 編曲:村山☆潤
8.Agape(TVアニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』挿入歌 カバー)
 作詞・作曲:岡崎律子 編曲:村山☆潤
9.piece of youth(『ガールズ&パンツァー 劇場版』主題歌)
 作詞:ChouCho 作曲:酒井陽一 編曲:村山☆潤
10.searchlight(3rdアルバム「color of time」収録曲)
 作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤

■ライブ情報
『ChouCho Acoustic Live“naked garden”vol.10』
大阪・BANQUET HOUSE
2020年2月8日(土)
【1部】開場 14:00 / 開演 14:30
【2部】開場 18:00 / 開演 18:30

名古屋・sunset BLUE
2020年2月9日(日)
【1部】開場13:00 / 開演13:30
【2部】開場17:00 / 開演17:30

東京・HAKUJU HALL
2020年2月16日(日)
開場13:30 / 開演14:00

チケット:[前売り]大阪・名古屋 ¥5,000(税込) / 東京 ¥5,500(税込)
※未就学児童入場不可
問合せ:ハイウェイスター 

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